TEINの車高調と自動減衰調整機能EDFCを装備した30ヴェルファイアを斎藤聡が徹底解説

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車高を低くしてカッコよくしたい。車高が低くなれば乗り心地は多少悪くなっても仕方ない。ひと昔前、ローダウンサスペンションはそんな感じでした。いま最前線のローダウンサスペンションは、そこから大きな進化を遂げています。今回はそんな超高性能なストリート用サスペンションキット(車高調キット)=テインの「FLEX A」を斎藤聡氏がテストしました。
Chapter
インプレッションドライバー紹介
テスト条件
いざ試乗
高速道路・ワインディングで実力を試した
まとめ
テイン ヴェルファイアギャラリー

インプレッションドライバー紹介

斎藤 聡


モータージャーナリスト。車両のインプレッションはもちろん、タイヤやサスペンションについて造詣が深く、業界内でも頼りにされている存在。多数の自動車雑誌やWEBマガジンで活躍中。某メーカーのドライビングインストラクターを務めるなど、わかりやすい解説も人気のヒミツ。

テスト条件

テスト車両はトヨタ 30系ヴェルファイア。

これにストリート向け車高調キットFLEX Aを装着し、
さらにEDFC アクティブPROを搭載しています。
車高調キット「FLEX A」は、ローダウンによるドレスアップはもちろんのこと、ストリートでの乗り心地改善をテーマに開発されたもの。
ダンパーはツインチューブ式で、ストリートに向いたタイプ。このダンパーには新機構であるハイドロ・バンプ・ストッパーが搭載されています。
どういうものかというと、サスペンションが深くストロークしてダンパーが底付きしそうになると、高い減衰力を発揮して底付きを抑える機構。
車高調整は全長調整式…つまりバネのプリロードを変更することなく車高が変えられるのが特徴。
減衰力は16段伸/縮同時調整式で組み合わされるバネレートはフロント5キロ、リヤ9キロ。
このEDFCアクティブPROは、このダンパーの減衰力の強弱を車内から任意に調整できるコントローラー。
しかも本来16段調整式の減衰力を32段あるいは64段と、より細かく調整することができます。
さらにEDFCアクティブPROが凄いのは、コントローラーを自動調整モードにしておけば、内蔵する前後、左右、上下3軸のGセンサーでGの変化を検知して減衰力の強弱を自動的に調整することができるのです。しかも、ただ硬くするだけでなく例えば、前後の硬さを変えたり、コーナー外側のダンパーを硬くし、内側のダンパーをソフトにするといった調整までできてしまう優れものです。

いざ試乗

まずは、オートモードにセットしてEDFCアクティブPROにまかせっきりで走り出しました。

試乗してみると、ノーマルのヴェルファイアで感じたコツコツとちょっと突っ張った感じの硬さが綺麗になくなっており、滑らかな乗り心地になっていた。しかも、加速すると、車速信号、もしくはGPS ユニット(オプション)がスピードを検知して、車速に応じたダンパーの減衰力を適切にコントロールしてくれるようです。
ダンパーとバネのバランスのオイシイところは車速によって変化するので、減衰力固定式のダンパーだと、車速によって微妙にダンパーが硬すぎたり柔らかすぎたり、ということが起こります。
しかし、この機能によりそれをピタリと適正位置に調整してくれるのです。

高速道路・ワインディングで実力を試した

早速、インターチェンジのカーブや高速道路で車線変更するときに、減衰力が自動調整されることにより、ハンドリングがよくロールを抑えた減衰力に変わってくれます。
また高速道路での巡航では、後ろをややソフト目にして安定性を高めるといった小技も利いており、まさしく至れり尽くせりといった制御になっています。もちろん乗り心地も様々な速度域で上々。快適でしたね。
これだけでも十分に驚くべき性能といえますが、山道に入ると、EDFCアクティブPROは、さらにその凄い性能を発揮します。
左右でダンパーの減衰力を変えてくれるのです。
例えば速いペースで山道を走っているとき、一般的には左右のダンパーの硬さは同じ。コーナリング中に減衰力が変わることはありません。
ところがこのシステムは、左右でダンパーの硬さを変えてくれるのです。具体的には、外側のダンパーを硬くして、内側のダンパーをややソフトしてくれます。
その結果、クルマのコーナー外側のダンパーは硬くしっかりと踏ん張ってくれ、内側のダンパーはスーッとサスペンションが伸びて、タイヤが路面にしっかりと接地してくれる。内側のタイヤのグリップ力がより引き出されるので、4つのタイヤがしっかり路面をとらえている安定感を強く感じるのですね。

まとめ

64段調整があったって、ダンパーとバネの一番マッチングのいい減衰力は一つ。ワインディングではそれを見つけてみよう…などとやや上目線な考え方でワインディングセクションに足を踏み入れたのですが、ダンパーの減衰力が左右で変化するのを見た瞬間、すべてのマニュアル調整を放棄しました。機械でなければコントロ―ルできない領域なのだから、もがいたってかなうわけがないのが本音・・・。
それにしてもこの重くて車高の高いヴェルファイアの快適性を損なわず、しかも驚くほどフットワークの良さを見せてくれたのに改めて驚かされました。

FLEX Aという車高調キット自体快適性と操縦性を両立した出来のいいサスペンションキットだと思いますが、絶対EDFCアクティブPROは必須。
それで車高調キットの性能が2倍にも3倍にも広がるのだから。

テイン ヴェルファイアギャラリー

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