クルマをイジる、楽しさ広がる。
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万年筆、カメラ、JIMNY。軽自動車が単なる道具を越えた!? -APIO社長インタビュー Part1-

アピオ・河野社長に聞いた、ジムニーの魅力。

apio interview

軽自動車規格のボディは、現在の日本ではミニマムサイズ。けれど、この1台から拡がる楽しさは無限大。街乗りや買い物に使える十分な柔軟性や実用性だけでなく、日々の生活では見ることのできない、雲海を望む山の頂、満天の星空広がる大平原など、息をのむ絶景にだって誘ってくれる。

知れば知るほど、乗れば乗るほど、身にしみて分かってくるジムニーの魅力。自分だけの特別な1台を作るとき、まず思い浮かぶのが、カスタマイズやコンプリートカーだが、その深淵を覗くことで、さまざまな迷いが生じ、方向性を見失うこともある。

もちろん、そんなときの試行錯誤もまた自動車趣味の楽しみのひとつ。しかし、ジムニーライフにだって羅針盤は必要。

そこで、ジムニーのプロショップ「アピオ」代表 河野さんにその魅力と楽しみ方を尋ねることにした。

インタビューにお邪魔したのは、佐々木志麻さん。新車で手に入れたジムニーとは、すでに12年の付き合いという佐々木さんは、元プロスノーボーダーという経歴を持つ体育会系エディター。現在は、大手印刷会社で出版物の編集ディレクターを務めるかたわら、2016年10月に自身の会社を設立。オートバイのツーリングコラム、スポーツメーカーのカタログやWEBサイトの監修・執筆などを手がけている。

ジムニーならオシャレに旅を楽しむことができそうだ

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--まず初めに河野さんにとってジムニーという存在について教えてください。

もともとはバイク好きで、旅好き。バイク仲間でジムニーに乗っていた友人も多かったので、当時から興味はあったのですが、初めて手に入れたクルマは、トヨタのランドクルーザーでした。

でも、ランクルだと林道の途中で行き止まりに遭遇した場合、Uターンなどの回避が困難。車体も重くて、路肩が弱い林道があったりするとクルマが傾いたり、ちょっと休憩するにも気を使うなど、苦労がありました(笑)。

キャンプ場で、ジムニーとかフィアット・パンダ4✕4のように、小柄な洒落たクルマで格好いいタープを張ってたりすると、オシャレですよね。ところが、ランクルで1人だったりすると「これからアフリカ旅行されるんですか?」というぐらい大げさ。一人旅向きのクルマではなかったんですね。

就職した直後、バイクしか持っていなかった時代、よく行っていたソロツーリングでは自分の身の回り品だけで気軽だった。それを考えると、ジムニーのほうが手軽で自由。自分の性格にも合っていました。一人旅なら、小さなバーナーでも十分楽しい。それと同じですよ。

なによりジムニーの良さは、車幅が狭く、車体も軽いので機動性が高い。運転している時間も楽しくて、その延長には感動もあります。マニュアル車なら、クルマとの対話、路面との対話もより楽しめると思います。

ジムニーには、いまの車が無くした、個性や官能性が生きている

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--ランクルに限らず、他のSUVとの違いはどんなところだと思いますか

林道でも街中でも小回りが効くこと。加えて、3気筒のターボエンジンとボディ、足回りの構造がよく出来ていて、乗っていても心地イイところでしょう。

 一方で、最新の軽自動車のように、驚くほど燃費に優れているわけじゃない。後席に乗る人はちょっと狭いと思うかもしれません。でも、ジムニーの魅力って、他の嗜好品と同じで、実際に触って、使って、好きになってからじゃないとら分からない部分も多いんですよ。

 ジムニーは、言葉や数値のように、簡単に表現できないところにこそ、魅力がある。これからの時代、そういうモノが生き残るんじゃないかな、と思っています。

--ジムニーには、他の軽自動車にはない個性や魅力がある?

現代のクルマは誰が乗っても良く走るように出来ています。それはマスプロダクトを標榜する自動車メーカーにとっては正解だと思います。でも、個性という点では物足りない。

現行型ジムニーがデビューしたのは約20年前ですが、しっかりと個性を持っているし、メーカーの主張も感じられます。

イタリアの車はしばしばエンジン音が官能的と言われますが、クルマにはそういったスペックに表れない性能があると思うんです。エンジンの官能性だったり、手に触れるパーツの感触だったり、メーカーの歴史だったり…、クルマってそういう積み重ねも重要ですよね。

ジムニーも、そういったいろいろな要素の複合体。さまざまなエッセンスの積み重ねが、ジムニーの魅力なのかなと思ってます。

エッセンスを残しながら、性能をアップする

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--そういったジムニーをより楽しんでもらうため、アピオではどういったスタンスでパーツや車両を手掛けているのでしょうか?

ジムニーは、イジる素材としての魅力にも溢れています。もともとの素性もイイので、パーツ交換だけ個性を発揮することも出きますし、目的に合わせて性能の向上も図れます。

アピオでは、先ほどお話したジムニーのエッセンスという部分も大事に、アフターパーツを設計・製作しています。

ただ、時代によってお客さまの好みも変化しますし、ジムニー自体も進化しています。以前はこれがベストだと思っても、そのベストも変わってしまうこともある。10年前からラインナップされているサスペンションキットの“つよし君”ひとつとっても、時流に合わせて、何回か設定を変えています。

乗り心地を優先して減衰力を低めに設定していた時期もあったのですが、現在は減衰力を高めに設定したほうがバランスが良く、クルマも楽しいということがお客さまも分かってきた。それに、レカロシートを装着すると長距離を走っても、疲れ知らずなジムニーになります。

自動車の歴史から考えると、百数十年前にガソリン自動車が作られたことで、移動手段がラクダや馬から変わった。最初、車はただの道具だったはずなんだけど、ほどなくして世界初の自動車レースも開催された。つまり、車を動かすことに快楽を見出し、移動するという行為が楽しいと思う人が出てきたんですね。

自分の趣味で考えると、記録するための道具でありながら、書くという行為が快楽につながっている万年筆や、カメラも同じなんです。

ジムニーと林道。そして万年筆とトラベラーズノート

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--万年筆といえば、アピオのユーザーにはおなじみの林道マップを、「トラベラーズノート」に付けるようになったきっかけも、そういった趣味の延長ですか?

林道マップを書き始めたのは2009年頃。アピオで林道のコンテンツを作ろうと動き始めた頃でした。


オフロード専門誌の取材で林道に行ったんですが、道中が楽しくて1泊2日の予定が「もう1泊しよう!」って、2泊3日に延びてしまった。ルートを案内してくれたのは、専門誌のカメラマン。後ろからついて行くだけでどこを走ったのかよく覚えていなかった(苦笑)。 楽しかったけどちょっと消化不良が残った。


当時は、GPSも無いし、ナビはほとんどの林道を表示しません。「これは記録しておかないと忘れてしまう」と思い、そのとき持って行ってた「トラベラーズノート」にルートマップと簡単なメモを書いたことがきっかけです。

最初は、自分の記録用にと書いていたんですが、どうせなら印象に残った風景もちょっと入れて、ルートマップには影をつけて、絵には解説を書いて…、という感じに発展したものです。

書くための万年筆やインクは十分に揃っていたので、それをたくさん使いたいという欲求もありました。(笑)そして書くという行為から生まれる快楽。純粋に書くことが楽しいんですね。

こうして、ジムニーと林道旅、万年筆が「トラベラーズノート」で繋がった、というワケです。

「トラベラーズノート」により河野さんの趣味、その数々が結びつき、ひとつの作品として多くのジムニーファン、林道愛好家に知られることとなった。そして、この「トラベラーズノート」はもうひとつ、アピオならではのカタチとして結実することになるのだが、それは後編で。

※編集部注:トラベラーズノートは、トラベラーズカンパーの製品です。サイズはA5変形で、リフィルをゴムバンドで挟み込んで使うよう設計。書きやすさこだわった無地の紙と使い込むほどに味と風合いが高まる革カバーが特徴です。

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