頭や視線のブレをなくすシート搭載!?1.8Lと2Lガソリンのマツダ3を試乗レビュー!

マツダ3 ファストバック

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アクセラからマツダ3へ。そこにはマツダが目指す「マツダプレミアム」の思いが込められているのです。単なるモデルチェンジではなく、これまでマツダが培ってきた走りのテクノロジーをすべて詰め込み、クラスを超えた魅力を持ったクルマを作る、そんなマツダの熱をひしひしと感じます。新しいマツダを担う技術の一つであるスカイアクティブXの紹介はもう少し先になりそうですが、まずは、2Lのガソリンエンジンとミドルサイジングの思想から新開発された1.8Lディーゼルエンジンとともにマツダ3がどんなクルマなのか。どんな走りを見せてくれるのか、ご紹介します。

文・斎藤聡/写真・宮越孝政
Chapter
マツダ3から始まる、マツダの新しい走りの魅力
運転のしやすさを作り出す、不思議なシート
誰にでもオススメできる、Gベクタリング・コントロール・プラスの質感の高い走り

マツダ3から始まる、マツダの新しい走りの魅力


いよいよマツダ3の国内販売が始まりました。今までは、国内において、アクセラと呼ばれていましたが、今回のモデルチェンジを機にマツダ3に統一されました。今後この数字を使ったモデル名となっていくようです。これはマツダが「マツダプレミアム」の実現に向けた新世代商品の第一弾です。

アクセラ改めマツダ3は、すべてにおいて新しく、意欲的なクルマといえると思います。

デザインは2010年から始まったマツダのデザインテーマである「魂動デザイン」を深化させ新たなエレガンスを表現。具体的には、ボディにキャラクターラインを施さず、面の起伏によってボディの美しさを表しているのだそうです。何かを加えるのではなく引くことで美しさを表現する、引き算の美学といっています。

Mazda3のボディタイプはハッチバックとセダンの2タイプ。いずれも起伏に富んだ面構成によって構成されたエクステリアデザインとなっています。


マツダ3で興味深いのは、先代アクセラと比べ、とくにハッチバックではボディサイズが若干ですが小さくなっています。全長4,460mm(-10)、全幅1,795mm(0)、全高1,440mm(-30)という具合です。アクセラのボディサイズカテゴリーは、欧州Cセグメントと呼ばれ、フォルクスワーゲン・ゴルフやメルセデス・ベンツのAクラスがこのカテゴリーに入りますが、いずれも全幅1,800mmを超えようかというサイズになっています。その際限のない拡大路線に逆らい1700mm台に収めた点は高く評価したいところです。

マツダでは人間中心の設計思想というのを掲げていますが、Mazda3のボディサイズもそんな思想が背景にあるようです。搭載するエンジンは、いまのところガソリンの1.5Lと2L(スカイアクティブG)と新開発の1.8Lディーゼル(スカイアクティブD)の3種類です。今後ディーゼルエンジンのように圧縮着加火するガソリンエンジンのアクティブXの搭載も予定されています。

組み合わされるトランスミッションは、1.5LFFに6速MTの設定があるほかはすべて6速ATが組み合わされています。また駆動方式は4WDとFFが用意されています。

運転のしやすさを作り出す、不思議なシート


今回試乗することができたのはプロトタイプモデルです。2Lのガソリンエンジンと1.8Lのディーゼルエンジンにはそれぞれハッチバックとセダンが用意されていました。

まずはハッチバックに新開発の1.8Lディーゼルを搭載したモデルから試乗しました。


試乗に当たってまず興味を引かれたのがシートでした。マツダからは、頭や視線のブレをなくすようにシートを作ったと説明を受けました。人は、歩くときに膝→腰→首と順に上下動や左右の動き修正し、最終的に頭の揺れを小さくすることで視線がぶれず安定して物が見えるように、知らず知らずのうちにコントロールしているので、その動きをシートの作りに取り入れているとのことです。


実際に走らせてみると、例えば右カーブではしりの右側に力が、逆に左カーブでは左に力がかかるようになっています。たぶん意図的に体の重心点を(少しだけ)動かすことで、背骨から肩、首がバランスする動きをさせ、頭の動きを少なくするように作られているだろうと感じました。

結果的には、右から左へと切り返すような場面で、視線が安定していて運転しやすいと感じます。もうちょっとわかりやすい例を挙げると、カーブで大きく首を内側にかしげて走っている人を見かけますが、そういったシーンが修正され首がスッとまっすぐ立って走れるイメージです。


体を固定するのがいいシートなのかと思っていましたが、じつは体…特に腰の重心移動をある程度許容したほうがコーナリング中の体のバランスを保ちやすくなるです。これはちょっと目から鱗的インパクトがありました。


新開発のディーゼルエンジンですが、マツダは以前からダウンサイジングではなくミドルサイジングがよいのだといっていますが、このエンジンがまさにそれ。クルマにとって必要なサイズの排気量を与えることでドライバビリティも実用燃費も良くなるという考え方です。

この1.8Lディーゼルターボは、パワーこそ116馬力と控えめですが、最大トルクが270Nmあり、しかも1,600回転から発揮されるので、低回転からの加速を多用するハンドリングコースでは、思いのほか力強く気持ちよく走ることができました。


これは街中を走るときにも、そのまま当てはまるだろうと思います。

一方、高速域はどうかというと、圧縮五比14・8対1というロープレッシャーディーゼルのおかげで、5500回転までスムーズに回ってくれるため、気持ちよく加速することができます。さすがにテストコースの解放された場所だともうちょっと加速に迫力があっても…という気はしますが、一般道ならテストコースほど長くアクセルを踏み続けている場面はまずありませんから、パワーによる伸び感よりもトルクが作り出す力感のほうが際立ち(ギヤ比の設定も関係していますが)、ちょうどいい力のエンジンと言った印象です。

誰にでもオススメできる、Gベクタリング・コントロール・プラスの質感の高い走り


一方セダンは、2Lガソリンエンジンの組み合わせで試乗しました。

この2Lガソリンエンジンは、最高出力こそ156馬力と突出してはいませんが、低回転からトルクが出ていることと、高回転域でもトルクの落ち込みが少ないので、伸びのいい心地よいエンジンです。振動やノイズが大きいわけではありませんが、圧縮比が13・0対1と高圧縮比なためか、エンジンの存在感があって“エンジンで走る自動車”という感覚が実感できます。


シートの面白さについてはすでに書きましたが、それに加えてG‐ベクタリング・コントロール・プラスという、従来のエンジン制御に加えてブレーキによるヨーモーメント制御を行ったシステムが採用されています。


といっても普通に走っていたらまず絶対に判らないような制御です。どこかでスロットルを(自動で)閉じたとか、ブレーキをかけたといった操作感は皆無です。事象的にいうと、ハンドルを切ると切ったように…つまりドライバーの意図どおりにクルマがスイスイ走ってくれる、というのを縁の下の力持ち的にアシストしてくれるのがこのシステムです。

その結果、ハンドリングコースを走らせてみると、リヤのトランクセクションの分、リヤセクションのイナーシャ(≒慣性モーメント)の大きいと思われるセダンと、少なめなハッチバックでクルマの動きが「ほぼ同じ」動きになっていました。

試乗しているときは全く気にならなかったのですが、改めて間思い起こしてみると、スッと旋回に入った瞬間のリヤの落ち着きがとても似ているのです。


意識的にリヤを振り出す(滑らせる)ような動きを作り出した時は、わずかにズズッとリヤが滑る感触はあるのですが、動きは予想よりもずっと小さく、しかも落ち着いているんです。


だからといって無個性というわけではなく、Mazda3に乗るとハッチバックもセダンも運転しやすく、ハンドル操作に対してクルマが素直に動いてくれるという感覚があります。

個人的にはそのあたりの躾けの良さが素晴らしく出来のいい既製服という感じがしてしまい、ちょっと物足りなく感じる部分ではあるのですが、実際に一般道で自分の足、あるいは家族の足として考えた時、この乗り易さと素直さは捨てがたいものだと思います。

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