ボンネットマスコットが取り付けられていた日本車5選
更新日:2024.09.09

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高級車のブランドを象徴するアクセサリーといえば、メルセデス・ベンツのスリーポインテッド・スターや、ロールス・ロイスのスピリット・オブ・エンジェル、ジャガーのリーピング・ジャガー(キャット)など、ボンネットマスコット(ボンマス)を思い浮かべる方も少なくないでしょう。これらボンマスは、高級車の象徴であり、ひと昔前の国産車でも、ボンマスを純正装着していた車種があったことを覚えていますか?
文・吉川賢一
文・吉川賢一
①日産 シーマ
日本がバブル経済の真っ只中にあった1988年に誕生した初代シーマ。そのボンネットに装着されていたマスコットには、地中海沿岸に約20種類が分布する植物(アカンサスの葉)をデザインしたものでした。
3ナンバーサイズのスタイリッシュなデザインと大型セダンらしからぬ加速力が特徴で、37万円〜という高額にもかかわらず飛ぶように売れました。ここから生まれた「シーマ現象」という言葉は、流行語大賞の銅賞を獲得。日産社員にはシーマ効果で特別ボーナスが出るなど、社会現象を起こしました。
3ナンバーサイズのスタイリッシュなデザインと大型セダンらしからぬ加速力が特徴で、37万円〜という高額にもかかわらず飛ぶように売れました。ここから生まれた「シーマ現象」という言葉は、流行語大賞の銅賞を獲得。日産社員にはシーマ効果で特別ボーナスが出るなど、社会現象を起こしました。
日産 シーマ
②日産 プレジデント
初代プレジデントは1965年に誕生し、トヨタ自動車のセンチュリーと並び、国内メーカーにおける最高級車として販売されていました。2代目から装着が始まったボンマスは、羽のようなデザインになっています。
プレジデントという車名は、英語で大統領・総裁・頭取・社長統率者を意味し、日本の政治経済を取り仕切るトップにふさわしいクルマという思いから名付けられました。その名の通り、官庁や要人輸送に運用されるなど日産自動車の最高級セダンとして時代を飾ったクルマです。
プレジデントという車名は、英語で大統領・総裁・頭取・社長統率者を意味し、日本の政治経済を取り仕切るトップにふさわしいクルマという思いから名付けられました。その名の通り、官庁や要人輸送に運用されるなど日産自動車の最高級セダンとして時代を飾ったクルマです。
日産 プレジデント
③日産 セドリック/グロリア
セドリックは、トヨタ クラウンのライバル車として日産自動車が、1960年から2004年まで販売していた高級セダン。グロリアは、1959年から2004年まで販売されたプリンス自動車の高級セダンでした。1971年に発売された4代目(230型)から、同じ基本構造を使った姉妹車として生産されました。
グロリアという車名は、ラテン語で「栄光」という意味。発売当時、官公庁や公用車として多く使用されるなど、宮内庁と深いつながりがあった富士精密工業(後のプリンス自動車工業)が、ご成婚が予定されていた皇太子明仁親王(今上天皇)と正田美智子さん(現・皇后)にちなんで名付けたといわれています。
一方、セドリックは、イギリスの児童向け小説「小公子」の主人公にちなんだものでした。
それぞれのボンマスは、セドリックがNISSANの頭文字”N”をデザイン。グロリアは、羽を広げた鶴をデザインしたものです。面白いのは、ボンマスを初めて装備した時期で、プリンス自動車のグロリアが3代目で装着していたのに対し、セドリックは5代目の430型まで待たなければなりません。
グロリアは、プリンスと日産が合併したあとも、続けて生産され、宮内庁に納入されることも多く、貴賓車として各宮家で使用され、皇太子明仁親王がご自身で運転されていたこともあったそうです。
グロリアという車名は、ラテン語で「栄光」という意味。発売当時、官公庁や公用車として多く使用されるなど、宮内庁と深いつながりがあった富士精密工業(後のプリンス自動車工業)が、ご成婚が予定されていた皇太子明仁親王(今上天皇)と正田美智子さん(現・皇后)にちなんで名付けたといわれています。
一方、セドリックは、イギリスの児童向け小説「小公子」の主人公にちなんだものでした。
それぞれのボンマスは、セドリックがNISSANの頭文字”N”をデザイン。グロリアは、羽を広げた鶴をデザインしたものです。面白いのは、ボンマスを初めて装備した時期で、プリンス自動車のグロリアが3代目で装着していたのに対し、セドリックは5代目の430型まで待たなければなりません。
グロリアは、プリンスと日産が合併したあとも、続けて生産され、宮内庁に納入されることも多く、貴賓車として各宮家で使用され、皇太子明仁親王がご自身で運転されていたこともあったそうです。
日産 グロリア 画像
④三菱 デボネア
デボネアは、1964年に誕生し1999年まで製造されていた三菱の最高級セダンです。売上はいまひとつだったのですが、三菱グループの重役向け専用車としての需要が、大きな支えとなっていたようです。
ボンマスが取り付けられたのは1986年デビューの2代目で、丸枠に三菱のスリーダイヤが埋め込まれたデザインは、旧三菱財閥創業家である岩崎家の家紋「三階菱」と、土佐藩主家である山内家の家紋「三つ柏」から考案された、由緒あるものでした。
ボンマスが取り付けられたのは1986年デビューの2代目で、丸枠に三菱のスリーダイヤが埋め込まれたデザインは、旧三菱財閥創業家である岩崎家の家紋「三階菱」と、土佐藩主家である山内家の家紋「三つ柏」から考案された、由緒あるものでした。
⑤マツダ ルーチェ
1966年に誕生したマツダの高級車がルーチェです。1981年に発売された4代目以降に、ボンマスが装着されていました。小さい縦長のなかに、ルーチェ(LUCE)の頭文字であるLが刻まれています。ルーチェはイタリア語で、光や輝きを意味します。
1982年には、世界初のロータリーターボを搭載し、マツダ高級車のイメージ確立を狙いましたが、個性的すぎたデザインの影響もあり、日本での販売は決して好調とは言えませんでした。
1982年には、世界初のロータリーターボを搭載し、マツダ高級車のイメージ確立を狙いましたが、個性的すぎたデザインの影響もあり、日本での販売は決して好調とは言えませんでした。
ボンネットマスコットが激減しているワケ
かつて多くの国産高級車がボンマスを採用していましたが、歩行者保護の観点から乗用車の突起物規制が適用されたことで、2009年以降、国産新型車からボンマスが消滅しました。そんなこともあり、オークションなどで数万円という高値で取り引きされるボンマスもあるようです。
ちなみに、2009年以降のクルマで、ドレスアップのためにボンマスが取り付けられていると車検を通すことができません。しかし、2008年12月31日までに登録されたクルマで純正装着となっているクルマであれば対象外ですので、車検を通すことができます。
ちなみに、2009年以降のクルマで、ドレスアップのためにボンマスが取り付けられていると車検を通すことができません。しかし、2008年12月31日までに登録されたクルマで純正装着となっているクルマであれば対象外ですので、車検を通すことができます。
現在では、多くがボンマスから突起の少ないエンブレムに変わっています。ボンマスを懐かしく感じるようになるのは、もうすぐかも知れませんね。
吉川賢一
モーターエンジニア兼YouTubeクリエイター。11年間、日産自動車にて操縦安定性-乗心地の性能技術開発を担当。次世代車の先行開発を経て、スカイラインやフーガ等のFR高級車開発に従事。その後、クルマの持つ「本音と建前」を情報発信していきたいと考え、2016年10月に日産自動車を退職。ライター兼YouTube動画作成をしながら、モータージャーナリストへのキャリア形成を目指している。
