完全にセルフではなかった!? セルフスタンドの裏側

ガソリンスタンド

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現在、ガソリンスタンドの8割が「セルフ式」となっていると言います。セルフ式スタンドとは、セルフサービス式のガソリンスタンドという意味で、給油から支払いまで、ドライバー自身が行いますから、店員さんは必要ないように思えます。しかし実際には、店員さんがいなければスタンドを営業できません。そんな、セルフ式スタンドの裏側を解説します。

文・赤井福
Chapter
ガソリンは危険物
セルフスタンドの仕組み
完全無人化にはリスクがある

ガソリンは危険物

ガソリンや軽油は、引火爆発を引きおこす危険物であることはご存じのとおりです。そのガソリンを取り扱うためには、「危険物取扱者甲種」もしくは「危険物取扱者乙種4類」の資格が必要です。

セルフ式ガソリンスタンドにも、それら資格を持ったスタッフが必要で、油脂類の保管から、給油方法の指導、監視までを行っています。無人の状態では、セルフといえど営業ができないのです。

セルフスタンドの仕組み

フルサービスとセルフ式では、給油機や店舗の構造などに違いがあります。

セルフ式の給油装置は、お金を入れて給油ノズルのレバーを引けば、ガソリンが出てくるわけではなく、店舗内のスタッフが給油機の給油解除ボタンを押して、はじめて給油ができるという仕組みです。

この監視作業は、スタンド内に配置された監視カメラで行っています。すべての給油レーンにはカメラが設置されており、ドライバーが給油口にノズルを入れていることを係員が確認し、給油許可ボタンを押すと給油できるようになります。

ちなみに、一度に給油できる量は100リッターまで(軽油や灯油は200リッター)で、給油開始から終了までを4分間で行う必要があります。これらは消防法で定められており、量の上限を超えたり、制限時間を超えると、給油は自動的にストップする仕組みになっています。

また吐出量も、フルサービスのガソリンスタンドで有資格者が給油する場合は、毎分45リッターから60リッターですが、セルフ式では誤操作による事故防止のため、毎分35リッター程度に抑えられています。

セルフスタンドでは乗ってきた車両以外に給油をすることは認められていません。例外として、積載車に乗せてきた車両への給油を行うことはできますが、携行缶など別の容器に移し替えることは、危険物取扱者の資格保有者しかできません。

携行缶への給油が必要な場合には、スタンドのスタッフに行なってもらってください。

完全無人化にはリスクがある

多くの方々にとっては、フルサービスからセルフ式にすることで人件費が抑えられ、結果、ガソリン価格が安くなるのは歓迎すべきことです。

しかし給油機やシステムが高性能になっても、クルマ側が現在の給油口のままなら、ガソリンが漏れ出すリスクがあるため、完全無人化にすることは難しいといえます。

爆発物であるガソリンを何千リッターも貯蔵しているガソリンスタンドは、非常に危険な場所でもあります。そのため裏側では、危険物取扱者が責任をもって仕事をしているのです。

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文・赤井福
大学卒業後、金融業に従事。その後、6年間レクサスの営業マンとして自動車販売の現場に従事する。若者のクルマ離れを危惧し、ライターとしてクルマの楽しさを伝え、ネット上での情報発信を行っている。
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