あり?なし?左右非対称なデザインの車

左右非対称にはワケがある?

トヨタ ランドクルーザー70

シンメトリー、つまり左右対称であることは古代から「美」のひとつとされてきました。それは車でも同じです。作業車などを除いて、ほとんどの車はシンメトリーです。左右のバランスが同じであることは、当然ながら走行中のバランスがいいということです。

スバルはシンメトリーなメカニズムの配置にこだわって造っており、そのバランスの良さを謳っています。モータースポーツの最高峰であるF-1のマシンは、ドライバーが乗るポジションも含めてシンメトリーです。

ところが、世の中にはアンシンメトリー、つまり左右非対称な車が存在します。たとえば、リアゲートが左右非対称になっているというモデルは、意外と多くあります。ランドクルーザー70などオフロード4WDに多いのが、「観音開き」と言われる左右非対称のリアゲートです。6:4、もしくは7:3の比率で、左右のどちらかが小さく開きます。

車両後部に十分なスペースがない場合でも、荷室の物を積み降ろしできるようにという配慮から、このように設計されました。さらに、オフロードで車体が傾いている場合、ボディに歪みが生じて大きな1枚のリヤゲートだと開かないといったときに、ボディの歪みによる影響が少ない小さな開口部なら開けることができるという理由もあります。

トヨタ ハイエース バン

ボディサイドの右と左で、ドア(開口部)デザインが違うということは、ワンボックス車では珍しくありません。トヨタ ハイエースや日産 NV350は、スライドドアは左側のみというスタイルが一般的です(左右スライドドアも設定されています)。

ワンボックスは荷物などの積み下ろしで、できるだけ大きな開口部があったほうが便利。ですが、開口部が大きくなり過ぎてしまうと、今度はボディの強度が確保できなくなります。そこで、片側は大きなスライドドアにして、反対側は運転席のドアのみで開口部を設けないというデザインが多いのです。

ただし、昨今は両側が開いたほうが便利という理由から、両側スライドドアにするモデルも多くなってきました。こうしたモデルは、フロアやルーフ内に補強材を入れて強度を確保しています。

ダイハツ タント 2013

※写真は3代目タント

左右非対称デザインで、最初に登場して驚いたのが2007年に登場した2代目「ダイハツ タント」です。車体左側後部にピラーレスのスライドドアを採用。左サイドのドアをすべて開けると、なんとAピラーとCピラー以外は、なにも残らなかったのです。まさにミラクルオープンドアでした。

軽自動車のように小さなボディでは、それでなくともボディ強度を出すのが大変です。それなのに、あれほどの大開口部を出すというのは、エンジニアにとって大冒険だったに違いありません。これにより、後部座席へのアプローチが容易になったことは言うまでもありません。

三菱 ミニカトッポ

後部座席へのアプローチを考慮して…という点で言えば、三菱 ミニカトッポや、トヨタ ポルテ&スペイドも同様です。

トッポは、初代では右側よりも左側のドアが大きな2ドア、2代目は助手席側に2枚のドアを備えた1+2ドア。ポルテは、初代が右側にドア、左側はスライドドアの2ドア。姉妹車としてスペイドが追加された2代目では、右側に2枚のドア、左側はスライドドアの2+1ドアとなっています。

スズキ ワゴンR 初代

懐かしいところでは、初代ワゴンRもサイドのデザインが左右で違っていました。運転席側後ろのドアがない1+2ドアだったのです。トールワゴンブームの先駆けとなった初代ワゴンRですが、デビュー当初は「ドアの枚数を減らしてコストを下げている」などと言われることも。ですが、実際の理由は別にあったのです。

ファミリーカーとして想定されたワゴンRは、子供が不用意に車外(おもに道路側)に降りないようにという配慮から、右側の後部ドアをなくしていました。ところが、結局使いづらいということから、2代目ではシンメトリーなデザインに変更されました。

次ページまだまだある左右非対称な車

関連キーワード

この記事をシェアする

最新記事

アヘッド Car & Motorcycle Magagine ahead archives