人を喜ばせたい 〜ホンダ四輪販売50周年

アヘッド ホンダ四輪販売50周年

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ホンダの人たちとレース観戦をしている時だった。パーツの破片などで汚れたコース上を、オフィシャルが竹箒で掃除している映像が流れると、「ずいぶん原始的な掃除用具でやるもんだね」と誰かがひとこと。

text:まるも亜希子  [aheadアーカイブス vol.130 2013年9月号]
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人を喜ばせたい 〜ホンダ四輪販売50周年

人を喜ばせたい 〜ホンダ四輪販売50周年

▶︎50周年を記念し、T360などの展示やパレードを開催。(Enjoy Honda)


すると「なにかいい道具を造れないものかな」、「汎用で出来そうじゃないか」と、みんなが瞳をキラキラさせながら話し出す。ある時は、極寒の屋外で発電機がなかなか始動しない。

するとホンダの若いエンジニアたちが寄ってきて、周りにあった段ボールやガムテープなどで、発電機に何か工夫をし始めた。数分後、ブルンと見事に始動し、寒さで震えていたみんなから歓声が上がった。

こういう時のどこか懐かしい感覚は、なんだろう。子供の頃に、「こんなものがあったらいいな」という想像を友達と夢中で話したり、困った時にはどうにかして自分で解決しようと、身近な物を使って工夫したり、瞬間風速的な情熱、と言うといちばん近いだろうか。

ホンダの人たちと話していると、そんな感覚がフッと沸き上がってくることがある。

本田技研工業創業者の本田宗一郎は、生涯を通じて瞬間風速的な情熱を持ち続けた人だったようだ。思いついたら即実行、現場でエンジニアたちに混ざって研究に熱中する。

人と話すのが好きで、人を喜ばせるのが大好き。本田宗一郎は、「私は技術を研究しているのではない。“どういうものが人に好かれるか”を研究している」と語っていたと聞く。

ホンダが1963年に初めて創った4輪車は、T360という軽トラックと、S500というスポーツカーだった。暮らしが便利になるクルマも、乗ってみたいと心が踊るクルマも、どちらも人を喜ばせる。これこそが、ホンダのクルマづくりの原点ではないだろうか。

近頃は、喜ぶ側の人だけでなく、喜ばせる側の人、つまりクルマづくりをする人たちの心にも、ホンダはあらためて着目しているように感じる。面白いと思ったらとにかくやってみよう、試してみよう。そんな言葉が聞こえてくる。
▶︎子どもたちに、夢やアイデアをカタチにする楽しさを伝えている。(子どもアイデアコンテスト)


また、将来を担う子どもたちの育成にも一役買って出て、「子どもアイディアコンテスト」では、ものづくりへの興味や達成感を。栃木県のツインリンクもてぎにある「ハローウッズの森」では、自然の中でゼロからのものづくりや、人と自然との関係を学ぶ場を提供。これも突き詰めていけば「心」の研究と言えるだろう。

そして何よりクルマは、人が人に会いに行くためにある。つくる人、乗る人、迎える人、見る人、それぞれが喜ぶクルマを、ホンダはこれからも生み出していってくれるはずである。

▶︎森の中の工房で、木馬づくりを体験。(ハローウッズの森)
▶︎ファミリー向けの自然体験プログラムも充実している。(ハローウッズの森)

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text:まるも亜希子/Akiko Marumo
エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集者を経て、カーライフジャーナリストとして独立。ファミリーや女性に対するクルマの魅力解説には定評があり、雑誌やWeb、トークショーなど幅広い分野で活躍中。国際ラリーや国内耐久レースなどモータースポーツにも参戦している。
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