大島優子2輪免許を取る

アヘッド 大島優子

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『かつてバイクという乗り物があった。現在ではごく一部の愛好家をのぞけば、一般にはほとんど乗られていない』

未来の図鑑にオートバイがそんな風に記載されたらなんだか悲しい。だがそんな妄想が冗談でなくなるくらいバイク市場は縮小し、若者のバイク離れも深刻化している。

text:山下敦史 [aheadアーカイブス vol.141 2014年8月号]
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大島優子2輪免許を取る

大島優子2輪免許を取る

理由はいろいろだろうけど、そもそもバイクとふれあう機会が減ってることも大きな問題だろう。バイクはもはや身近な乗り物ではないのだ。

前2輪、後1輪という日本車では珍しいスタイルと、戦略的な価格で話題を呼ぶヤマハの3輪スクーター「トリシティ」のプロモーションで、同車のCMに出演している元AKB48の大島優子が、教習所で二輪免許取得に挑戦するという企画が進行している。

自動車免許を持っていない彼女にとっては、これが初の教習所だ。web連載で公開されている映像は、現時点でちょうど卒業検定に臨むところ。次はいよいよトリシティで公道デビューか? というクライマックスだ。

まあしかし、企画内容にどうこういうのが趣旨ではないのだ。タレント人気にあやかっただけじゃん、なんて言う人もいるだろうが、それだけかな? むしろ僕にはヤマハがある種の本気、というか、危機感を持っているように思えるのだ。

クルマやバイクに縁のなかった20代半ばの女性として大島優子をCMに起用したり、秋葉原で大規模な発表・試乗会を催したり、以前このページで紹介したMT-09のプロモーションアニメ製作なども手掛けてみたり。本来バイクという商品を作って売るのが仕事のヤマハが、もはやそれだけでは商売、というかバイク文化が成り立たなくなる、と感じてこれら一連のプロモーションに取り組んでいるようにも取れる。

自社製品を売るだけでなく、バイクと人との接点を作りたいという熱意がそこにあるのだ。大島優子が免許取ったから自分も、と思う人がどれほどいるかはわからないけど、その効果や結果は正直、どうでもいい。バイクを取り巻く状況がよくない中で、悲観するでなく、ヤマハは攻めて見せたのだ。バイク会社ならやっぱり攻めなくちゃ。

そしてもしよかったら、僕ら「一部の愛好家」もできることを探したい。文化を継承なんて気負わずともいい。乗る、一緒に乗る、伝える。小さくても広げられることがあるはずだ。未来の図鑑を少しでもいい方向に書き換えるために。

トリシティ125
車両本体価格:¥356,400(税込)
エンジン:水冷4ストロークSOHC2バルブ
排気量:124cc 
最高出力:8.1kW(11ps)/9,000r/min
最大トルク:10Nm(1.0kgm)/5,500r/min 
シート高:780㎜

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text:山下敦史/Atsushi Yamashita
1967年生まれ、長崎県出身。PR誌の編集員を経てフリーに。以後、映画や書籍の評論及びレビューを中心に映像エンターテインメントやIT、サイエンス関連の記事などを執筆。著書に『プレイステーション 大ヒットの真実』(日本能率協会マネジメントセンター)、『「ネタになる」名作文学33』(プレジデント社) など。
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