忘れられないこの1台 vol.45 TOYOTA AE86

vol.45 TOYOTA AE86

アヘッド 忘れられない この1台 vol.45

▶︎トヨタ・カローラ・レビン2ドア1600GTアペックス
名機と謡われた1.6ℓツインカム16バルブの4A-GEU型(通称ヨンエージー)エンジンを搭載し、'83年にデビュー。量販車種のカローラ/スプリンターをベースに、強力なエンジンとスタイリッシュなクーペボディを架装し、作り出されたスポーティーカーは、価格も手ごろで若者を中心に大ヒットを記録。最後のFRレビン/トレノとなったことや、漫画『イニシャルD』に登場したことで、発売後30周年を迎える今尚根強い人気を誇る。トヨタ・ハチロク/スバルBRZの登場で、再度脚光を浴びている。


だが、クイックステアリングが入った超重ステ仕様のラリー車は、初心者にはあまりに厳しく、ある日、狭い路地で側溝に脱輪しかけ、リアフェンダーに大きなへこみを作って、しこたま怒られたことも。LSDの有効性を初体験した浪人生の春だった。

その後、めでたく大学生になると、入れ替わりで兄は卒業。「もう競技には出ないから」と、TE71からAE86レビン2ドアクーペへ乗り換え。グレードはアペックスで、オプションのスポーツパッケージとLSDを組み込み、イントラのアルミホイールを選択した。

こうして新車のAE86が我が家にやって来たわけだが、社会人となった兄は電車通勤となったため、AE86のオドメーターを激しく回転させたはもっぱら僕だった。タナボタ以外のなにものでもない出合いだったが、今にして思えば、新車のAE86を経験できたことは本当にラッキーだった。

最新鋭の4バルブツインカムヘッドを備えた4A-G型エンジンは、アイドリングからレッドゾーンの7700rpmまでわずか0.98秒という驚異的な吹け上がりと優れたレスポンスを誇った。

130PSのパワーも当時としては十分にパワフルで、トルクの細さは否めないものの、1tを切るボディは適度に軽く、軽快に車体を振り回すことができた…、はずなのだが、当時の自分は、やっと若葉マークが取れた程度の初心者で、まさしく若気の至りとしか言いようのない愚かな自爆事故を起こしたこともあった。

それでも10年ぶりに日本で開催されたF1を見るため鈴鹿へ行ったり、大学の合宿で10時間もかけて菅平へ行ったりと、時間だけは大いにあった学生の身分ゆえ、ずいぶんいろいろなところに出かけたものだ。箱根や奥多摩などにもよく出かけたが、クルマの楽しさはもちろん、運転の難しさや怖さなど、多くのことをAE86が教えてくれた。

ところが、忌野清志郎も言っている通り、人生いいことばかりは続かない。兄の転勤に伴い、AE86は、1年半ほどで自分の元から忽然と姿を消してしまった。画してAE86は、思い出の中の「モトカノ」となり、今なお「忘れられない1台」として記憶の中に生き続けている。

あれから25年以上たった今、再びAE86や、それ以上に旧いクルマに接する日々を送っている。周囲には「忘れられない1台」に再び乗る人たちも多く、はっきり言ってこの環境はとても危険だ。

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text:石井成人/Naruhito Ishii
1967年千葉県生まれ 株式会社芸文社勤務。カスタム系自動車雑誌などの編集を担当した後、輸入車専門誌のeS4(エスフォー)を立ち上げ、2010年より「ノスタルジックヒーロー」編集長を務める。現在は、「ノスタルジックヒーロー」、「ハチマルヒーロー」、「eS4」、3誌の編集長を兼任。ヒストリックカーから最新の輸入車+カスタマイズまで、さまざまな面からクルマの楽しさを伝えていくことを目標に悪戦苦闘中。

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