クルマの4WDとAWDの違いとは?四輪駆動の呼び方が変わったのはなぜ?
更新日:2024.09.09
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四輪駆動車は、これまで4WDという表記が一般的でした。ところが最近は、AWDという表記が増えています。どうして、4WDとAWDがあるのでしょう?クルマ好きならまだしも、一般のドライバーにはAWDよりも4WDのほうが、老若男女、誰にでもわかって親切だと思うのですが…。
「4WD」の起源はスバルにあらず
ご存知のように4WDは、four wheel driveの略です。日本での4WDという呼び名は、1960年代にホープ自動車がホープスターON型4WDという軽の4輪駆動車で使っていたようで、これが市販車に4WDという呼び名を日本で初めて使ったクルマといわれます。
ホープスターON型(ON360)は、マニアの方ならご存知の通り、スズキ ジムニーの原型となった車両です。
それより前、日本初の4輪駆動車といわれる、くろがね四輪起動車(1936年:日本陸軍九五式小型乗用車)の頃は、4WDという言葉が日本には無く、米国など海外では4×4(フォーバイフォー)と呼ばれていたようです。
戦後、トヨタ ランドクルーザーや日産 パトロールなどのカタログに4WD表記があったかは定かではありませんが、スバルがff-1 1300Gバン4WDを作った1970年には、すでに4WDという呼称はありました。
ただし、4WDが一般的だったわけではないようで、当時のモーターショーに展示された同車のボディ側面には[四輪駆動車]と大書されていました。
その後、4輪駆動=4WDが定着していることから、当時のスバルの功績は大きかったと言えるでしょう。
ホープスターON型(ON360)は、マニアの方ならご存知の通り、スズキ ジムニーの原型となった車両です。
それより前、日本初の4輪駆動車といわれる、くろがね四輪起動車(1936年:日本陸軍九五式小型乗用車)の頃は、4WDという言葉が日本には無く、米国など海外では4×4(フォーバイフォー)と呼ばれていたようです。
戦後、トヨタ ランドクルーザーや日産 パトロールなどのカタログに4WD表記があったかは定かではありませんが、スバルがff-1 1300Gバン4WDを作った1970年には、すでに4WDという呼称はありました。
ただし、4WDが一般的だったわけではないようで、当時のモーターショーに展示された同車のボディ側面には[四輪駆動車]と大書されていました。
その後、4輪駆動=4WDが定着していることから、当時のスバルの功績は大きかったと言えるでしょう。
世界的には「AWD」
一方、世界的には軍用車両などで6輪駆動、8輪駆動もあったことから、すべてをひっくるめてAWD(all wheel drive)と呼ぶことが多くなりました。
実際のところ民生用の車で6輪や8輪駆動というのは、オフロードバギーなど特殊車両を除けば、メルセデス・ベンツのGクラスに6輪駆動があるくらいで、市販乗用車としてはそれほど存在しません。
しかし、米国をはじめとしてカスタムカーの盛んな国では、クロカンなど4輪駆動車ベースのリムジンを作る際に6輪駆動などにすることもあり、そういう意味ではAWDという呼び名のほうが都合が良かったのかもしれません。
実際のところ民生用の車で6輪や8輪駆動というのは、オフロードバギーなど特殊車両を除けば、メルセデス・ベンツのGクラスに6輪駆動があるくらいで、市販乗用車としてはそれほど存在しません。
しかし、米国をはじめとしてカスタムカーの盛んな国では、クロカンなど4輪駆動車ベースのリムジンを作る際に6輪駆動などにすることもあり、そういう意味ではAWDという呼び名のほうが都合が良かったのかもしれません。
日本では馴染みが薄い6輪駆動、8輪駆動
6輪駆動や8輪駆動の馴染みが日本で薄い理由は、民生用以外の自衛隊などの車両でも6輪駆動などの装輪装甲車が少なかったこともあるかもしれません。
海外ではこうした6〜8輪の装輪装甲車というのはわりとポピュラーで、それほど険しくない地形を高速で駆け抜け、装軌式より「速い、安い」として各国軍で採用例が多くありました。一方、日本では1982年制式採用の82式指揮通信車まで、6輪駆動の装甲車というものがなく、それ以前には6輪駆動トラックの73式大型トラックがあるくらいだったのです。
よほど険しい場所では、土木用車両も含めて装軌式車両が多かった日本では、全輪駆動といえば、長らく4輪駆動=4WDでコト足りたのでした。
海外ではこうした6〜8輪の装輪装甲車というのはわりとポピュラーで、それほど険しくない地形を高速で駆け抜け、装軌式より「速い、安い」として各国軍で採用例が多くありました。一方、日本では1982年制式採用の82式指揮通信車まで、6輪駆動の装甲車というものがなく、それ以前には6輪駆動トラックの73式大型トラックがあるくらいだったのです。
よほど険しい場所では、土木用車両も含めて装軌式車両が多かった日本では、全輪駆動といえば、長らく4輪駆動=4WDでコト足りたのでした。
日本で初めてAWDを名乗ったのは、ラジコン?
それでも1980年代には、日本でもAWDが誕生します。
ただし自動車ではなくラジコンの話で、無限精機の四輪駆動・四輪操舵車ブルドックAWDSなどがそれです。
それまでのラジコンでは、タミヤが制作したホットショットなどが4WDを名乗っており、当時のラジコン少年も4WD=4輪駆動車でしたから、いきなりAWDと言われると「よくわからないけど、4WDとは違うなにかすごいものに違いない」と、勝手に思っていたものでした。
一方、実車の世界では日本メーカーが国内モデルにAWDの呼称を使うことは無く、1990年代まで4WDが一般的でした。
ただし自動車ではなくラジコンの話で、無限精機の四輪駆動・四輪操舵車ブルドックAWDSなどがそれです。
それまでのラジコンでは、タミヤが制作したホットショットなどが4WDを名乗っており、当時のラジコン少年も4WD=4輪駆動車でしたから、いきなりAWDと言われると「よくわからないけど、4WDとは違うなにかすごいものに違いない」と、勝手に思っていたものでした。
一方、実車の世界では日本メーカーが国内モデルにAWDの呼称を使うことは無く、1990年代まで4WDが一般的でした。
国際化と差別化の中で「AWD」が浮上
状況が変わったのは2000年代にスバルが広報戦略の見直しをかけた時で、水平対向4気筒エンジンをボクサーエンジンと大々的にアピールし、パワートレーンも含め一直線に左右対称なレイアウトをシンメトリカルAWDとして売り出しました。
いわば日本でも世界でも同じように広報宣伝に務めることにしたわけなのですが、それ以外の国産メーカーは変わらず4WDというステッカーを貼っていたので、現在でも日本では4輪駆動車=4WDのほうが通りがいいのです。
対するスバルは、ラジコン少年と同様に「4WDとなにが違うのかわからないけど、なんかすごそう?」というイメージ戦略で成功を収めます。
いわば日本でも世界でも同じように広報宣伝に務めることにしたわけなのですが、それ以外の国産メーカーは変わらず4WDというステッカーを貼っていたので、現在でも日本では4輪駆動車=4WDのほうが通りがいいのです。
対するスバルは、ラジコン少年と同様に「4WDとなにが違うのかわからないけど、なんかすごそう?」というイメージ戦略で成功を収めます。
結局「4WD」とそれ以外はなにが違うのか?
実際のところ、4WDもAWDの一種で呼び方の違いだけです。また、メーカーだけでなくマスメディアも表記を統一しきれないことが、余計にユーザーの混乱のもとになっています。
さらに最近増えた海外メーカーの4輪駆動車は、メルセデスが4MATIC、BMWがxDrive、VWは4MOTION、アウディならQuattroといった具合で、名前だけではAWDであることがピンときません。
そう考えると”国際化のために4WDではなくAWDと呼ぶことにした”というのも、大して説得力が無いような気もします。スバルのシンメトリカルAWDのように、商品名と考えるべきでしょう。
結局のところは、海外の友人などに対しては、4×4(フォーバイフォー)やAWDと表現し、日本国内では4WDや四駆などと自由に表現して良いのではないでしょうか。
さらに最近増えた海外メーカーの4輪駆動車は、メルセデスが4MATIC、BMWがxDrive、VWは4MOTION、アウディならQuattroといった具合で、名前だけではAWDであることがピンときません。
そう考えると”国際化のために4WDではなくAWDと呼ぶことにした”というのも、大して説得力が無いような気もします。スバルのシンメトリカルAWDのように、商品名と考えるべきでしょう。
結局のところは、海外の友人などに対しては、4×4(フォーバイフォー)やAWDと表現し、日本国内では4WDや四駆などと自由に表現して良いのではないでしょうか。