スズキ初の軽乗用EV「e SKY」を先行試乗!航続距離310km、実際に乗って感じた“スズキらしさ”とは?

eSKY
スズキ初の軽乗用EV「e SKY(イースカイ)」が、いよいよ登場する。

2025年の「JAPAN MOBILITY SHOW」でコンセプトモデル「Vision e-Sky」として披露されていたが、今回はより市販モデルに近い姿となったe SKYを、袖ケ浦フォレスト・レースウェイでひと足先にチェックすることができた。

一充電走行距離は310km、交流電力量消費率は97Wh/km。EV専用に新開発したプラットフォームを採用しながら、車両重量を1,030kgに抑えるなど、軽量・コンパクトなクルマづくりを得意としてきたスズキらしさが随所に盛り込まれている。

では、スズキが初めて手掛ける軽乗用EVは、実際に乗るとどんなクルマなのか。今回は、自動車ライターの伊藤梓さんが内外装から使い勝手、そして実際の走りまでチェックした。

※本記事に記載している車両の数値は、現時点のプロトタイプに基づく参考値です。市販時には変更される場合があります。

CARPRIME編集部

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Chapter
スズキ初の軽乗用EV「e SKY」とは?
EV専用プラットフォームを採用。それでも車重は1,030kg
コンセプトカーの面影を残した、親しみやすいデザイン
荷室もしっかり確保。EVだからといって実用性を犠牲にしない
シンプルだけど新しい。10.1インチディスプレイも採用
後席は大人でもゆったり。頭上と足元にも余裕あり
普通充電と急速充電を1カ所に集約
いよいよ試乗。第一印象は「EVなのに自然」
1,030kgの軽さはコーナーでも実感
アクセルを床まで踏んでも、加速はあくまでスムーズ
ワンペダルドライブならアクセル操作だけでもしっかり減速
「EVに乗った」というより「スズキの軽に乗った」

YouTube動画本編もぜひチェックしてほしい

スズキ初の軽乗用EV「e SKY」とは?

e SKYの開発コンセプトは、「Easy to Switch! いつもの軽から、無理なくEVへ。毎日を変えずに、走りを変える。」。

EVだからといって特別な使い方を求めるのではなく、これまでガソリンの軽自動車に乗っていたユーザーでも自然に乗り換えられることを目指して開発された。

スズキはe SKYの商品特徴として、「少ない電気でたくさん走る」「走りも快適」「ちゃんと“使える”」の3つを掲げている。

搭載する駆動用バッテリーの容量は26kWh。プロトタイプの参考値として、一充電走行距離310km、交流電力量消費率97Wh/kmを実現している。

充電時間の目安は、普通充電の場合、3kWで約8時間、6kWで約4.5時間。50kWの急速充電では、80%まで約25分とされている。

日常の買い物や送迎、通勤などを中心に考えれば、十分に実用的な航続距離といえそうだ。

EV専用プラットフォームを採用。それでも車重は1,030kg

e SKYで注目したいのが、その軽さだ。

軽EV専用に新規開発された「HEARTECT(ハーテクト)」プラットフォームを採用し、床下にバッテリーを効率よく配置。軽量化と高剛性を両立している。

プロトタイプの参考値では、ボディサイズは全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,625mm。ホイールベースは2,460mm、最小回転半径は4.4m、車両重量は1,030kgとなっている。

バッテリーを搭載するEVは重量が増えやすいが、e SKYはスズキが得意としてきた軽量・コンパクトなクルマづくりをEVでも追求した。

この軽さが、後ほど紹介する実際の走りにも大きく表れていた。

コンセプトカーの面影を残した、親しみやすいデザイン

エクステリアは「SMART」「ICONIC」「COZY」をテーマにデザインされている。

フロントで目を引くのが、3本のラインを組み合わせた特徴的なライトだ。EVらしくフロントグリルまわりもすっきりと仕上げられ、先進感を持たせながら、どこか親しみやすい表情となっている。

伊藤さんも実車を前に、「かわいいですよね。かなりアイコニックな目元になっているんじゃないでしょうか」と、そのデザインに注目していた。

サイドでは、ボディを弓なりに走るショルダーラインも特徴的。このデザインには、かつてのスズキ「フロンテ」にも見られた弓形のピークから着想を得たモチーフが取り入れられている。

リアライトにもフロントと共通するデザインを採用し、前後で統一感のあるスタイリングに仕上げられている。

荷室もしっかり確保。EVだからといって実用性を犠牲にしない

続いてチェックしたのがラゲッジスペース。

床下にバッテリーを搭載するEVでは、パッケージングによって荷室の床面が高くなってしまうケースもある。しかし、e SKYでは荷室もしっかりと確保されている。

実際にリアゲートを開けた伊藤さんも、「思ったよりフロアが上がっていなくて、しっかり荷物が載るようになっていますね」とコメント。

後席を倒せば荷室をさらに拡大でき、普段の買い物から大きな荷物を載せたい場面まで、軽自動車として日常的に使いやすいパッケージングとなっている。

シンプルだけど新しい。10.1インチディスプレイも採用

インテリアも、エクステリアと同様に「SMART」「ICONIC」「COZY」をキーワードにデザインされている。

水平基調のインパネに大型ディスプレイを組み合わせ、シンプルでありながら先進的な空間に仕上げた。

なかでも目を引くのが、10.1インチディスプレイオーディオ。大画面によってナビゲーションなどの視認性も高められている。

このほか、2段トレイコンソールやステアリングヒーターなど、日常での使いやすさを考えた装備も用意される。

インパネの一部にはリサイクルPET由来の素材も採用。単に環境配慮をうたうだけでなく、素材そのものをデザインの一部として見せているのも特徴だ。

伊藤さんはシートについても「ファブリック素材で座り心地が良く、サイドサポートもしっかりしている」と評価していた。

後席は大人でもゆったり。頭上と足元にも余裕あり

後席にも実際に乗り込んでチェックした。

身長163cmの伊藤さんが、自身のドライビングポジションに合わせた運転席の後ろに座っても、足元には脚を組めるほどのスペースを確保。

頭上にも拳2個程度の余裕があり、軽自動車ながら窮屈さは感じにくかったという。

特に、頭まわりまで四角く取られたキャビン形状によって、数値以上に圧迫感の少ない空間に感じられたのも印象的だった。

バッテリーを床下に搭載しながら、軽自動車に求められる室内空間や荷室をしっかり確保しているところにも、「ちゃんと“使える”」EVを目指したe SKYの考え方が表れている。

普通充電と急速充電を1カ所に集約

充電口は、ガソリン車で給油口が設けられるような車体側面に配置されている。

カバーを開くと、普通充電と急速充電のポートを同じ場所に集約。初めてEVに乗り換えるユーザーでも分かりやすい構成となっている。

さらに、純正ナビでは現在のバッテリー残量から到達可能な範囲を確認できる機能も用意される。

「あとどのくらい走れるのか」「どこで充電すればいいのか」といったEVならではの不安を減らすための機能も盛り込まれている。

いよいよ試乗。第一印象は「EVなのに自然」

ここからは袖ケ浦フォレスト・レースウェイで実際にe SKYを走らせてみる。

サーキットとはいえ、今回は全開走行ではなく、一般道での走行をイメージした試乗だ。

走り始めてすぐ、伊藤さんが感じたのがアクセル操作に対する自然な反応だった。

EVではアクセルを踏んだ瞬間から大きなトルクが立ち上がり、力強い加速を見せるモデルも多い。

しかし、e SKYはそうした「EVらしい強烈な加速」を前面に押し出していない。

「モーター感がないというか、自然に運転できる。ちゃんと踏んだ通りにスムーズに動かせるようなトルクの出方」というのが伊藤さんの第一印象だった。

これは偶然ではない。

メーカー資料でも、ガソリン車の乗りやすさを残しながら、EVにしかできない楽しく快適な走りを目指したことが示されている。

まさに「Easy to Switch」という開発コンセプトが、そのまま走りに表れているようだ。

1,030kgの軽さはコーナーでも実感

そして、走り始めてもうひとつ印象的だったのが車体の軽さだ。

スラロームやコーナリングでは、ハンドルを切った際にボディが大きく揺すられる感覚が少なく、素直に向きを変えていく。

伊藤さんも、「EVでこんなに軽いのは本当に素晴らしい」「重さで外側に引っ張られる感じがなく、スーッとコーナリングしていける」と評価した。

EVはモーターによる力強い加速によって軽快に感じることはあっても、実際にはバッテリーによって車両重量が重くなりやすい。

一方、e SKYのプロトタイプは車両重量1,030kg。この軽さは、加速だけでなく、曲がる場面でもしっかりと感じられたという。

軽く、コンパクトで、扱いやすい。スズキがこれまで軽自動車で磨いてきた長所が、EVになってもしっかりと残されている。

アクセルを床まで踏んでも、加速はあくまでスムーズ

ストレートではアクセルを大きく踏み込み、加速もチェックした。

もちろん軽自動車として十分な力強さはある。

しかし、アクセルを床まで踏み込んでも、身体がシートに強く押し付けられるような唐突な加速は感じにくい。

伊藤さんは、「トルクは足りなくないけれど、急な加速感がない。助手席の人にも優しいですよね」と話す。

EVだからこそ出せる大きなトルクを、単純な速さの演出に使うのではなく、日常で扱いやすい出力特性に仕立てている。

ドライバーだけでなく、同乗者にとっても快適な走りを狙ったセッティングといえそうだ。

ワンペダルドライブならアクセル操作だけでもしっかり減速

試乗ではワンペダルドライブも試した。

通常走行では回生による減速感が抑えられ、ガソリン車から乗り換えても違和感の少ないフィーリングだったが、ワンペダルドライブを選択すると印象は大きく変わる。

アクセルを戻した段階からしっかりと減速が始まり、袖ケ浦フォレスト・レースウェイのコーナーでも、場所によってはフットブレーキを使わずにアクセル操作だけで速度を調整できるほどだった。

伊藤さんが特におすすめしていたのが、下り坂での活用。

普段はガソリン車に近い自然なフィーリングで走り、必要な場面では回生を積極的に使う。シーンに応じて使い分けられるのもe SKYの特徴だ。

「EVに乗った」というより「スズキの軽に乗った」

試乗を終えて伊藤さんが最も強く感じたのは、「スズキのクルマだ」ということだった。EVだからといって、強烈な加速や未来的な走行感を必要以上に演出するのではない。

軽量な車体、自然なアクセルレスポンス、扱いやすいハンドリング、そして高い静粛性。ガソリンの軽自動車から乗り換えても戸惑いにくく、それでいてEVならではの静かさやスムーズさはしっかり感じられる。

伊藤さんも試乗後、「軽自動車からさっと乗り換えられるくらい違和感なく、今までのクルマと同じようにしっかり走れる」と評価していた。

プロトタイプでは一充電走行距離310kmを実現しており、自宅に充電環境があれば、夜に普通充電を行い、翌朝からまた日常の移動に使うというEVらしい生活にも対応できそうだ。

「いつもの軽から、無理なくEVへ。」スペックだけでは分かりにくいこの言葉の意味を、実際に運転することでよりはっきりと感じられた。

スズキがこれまで培ってきた軽自動車づくりの考え方を、EVだからといって大きく変えるのではなく、そのまま新しいパワートレインへ落とし込んだe SKY。

価格など、まだ明らかになっていない情報もあるが、「初めてEVに乗る人でも自然に付き合える軽自動車」という存在になりそうだ。
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