現行シーマのライバル車種はレクサスLSなのか?

日産 シーマ (1996)

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日産 シーマと言えば、バブルの時代から続く日産を代表する高級車です。

かつてはシーマ現象と呼ばれるほど人気を博しました。最新モデルにあたる現行シーマは、マーケットにおいてどのようなポジションを確保しているのか?現代におけるシーマのライバルはどのような車なのか?筆者の目線で検証してみました。
Chapter
シーマの出自に迫る
シーマの登場が与えたもの
海外で成功したセルシオ
現行シーマは孤高の存在なのか?

シーマの出自に迫る

初代シーマは、1988年というバブル真っ只中の登場しました。デビュー1年目にして、36,400台という販売台数は「シーマ現象」と呼ばれ、バブル期の成功を表す高級車として日産の代名詞となりました。

これに対抗してトヨタは海外で成功したレクサスLSを、最高という名の「セルシオ」として導入。海外ではトヨタ・セルシオが先行し、日産が追随する。一方、国内ではシーマの後をセルシオが追いかける形となり、経済成長に伴い、既存の高級車では満足できなくなったユーザーの希望を満たすための存在として時代を牽引することとなりました。

シーマの登場が与えたもの

時代を遡ると、1988年はまさしくバブルの真っただ中だったのです。当時は日産にはプレジデントが。トヨタにはセンチュリーやクラウンと言った高級車が存在しました。しかしこれらはほぼ運転手付きの「ショーファーカー」であり、一般的に購入の対象となるモデルではなかったのです。

それまで市場で活躍してきたセドリック・グロリアやクラウンも、かつては高性能だった2000ccと言うエンジンサイズ、いわゆる「5ナンバー」と「3ナンバー」の狭間で揺れ動く形となり、経済成長に伴って向上してきた人々の経済力は、自らハンドルを握るオーナーカーのカテゴリーでさらなる高級感を求める様になりました。

発売当時は3ナンバーに特化するという選択肢には大きな決断が必要で、日本国内にいおいてはマーケットへの告知タイミングと実際の販売モデル投入からシーマが先行して成功をおさめた形となります。

海外で成功したセルシオ

シーマ登場後の1989年、トヨタは米国市場にレクサスを投入。当時のアメリカではメルセデスやBMW、あるいはリンカーンなど大型の高級車マーケットが形成されており、日本車はあくまで大衆車の一部にすぎず、高級車への参入の余地はないと言われているような状態でした。

しかしLS(初代セルシオ)の登場は予想外の展開を見せるのです。その快適性・静粛性や日本車らしいクオリティの高さは他ブランドを圧倒し、高い評価を受けることとなります。セルシオの採用したV8エンジンの静粛性は当時の基準において一線を画すものであり、ジャガーが直列エンジンからV型に変更する際にはお手本にと言われるほど完成度の高いものでした。

すでに日本国内ではクラウン、センチュリーというモデルが存在したため当初見送られたセルシオの日本導入も、先行する「シーマ現象」を受け実現することとなり、とうとう国内のドライバーズカーにおける「シーマVSセルシオ」という構図ができあがることとなるのです。

現行シーマは孤高の存在なのか?

しかし、80年代から続いた両者のライバル関係は21世紀に入って激変します。シーマは2001年の4代目モデルがマイナーチェンジを繰り返し、2010年まで10年間もの長きにわたり生産されました。

4代目シーマは、バッジエンジニアモデルとしてプレジデントと事実上統合されたことにより、かつての「ショーファーカー」のポジションに移行していかざるを得なくなったのです。さすがにこの時代の設計を引き続き使い続けるとなると、デザインの流行の変化や技術的な発展も後続モデルに追い抱えられる形となり、同じ日産のフーガの登場によりドライバーズカーとしてのポジションは薄れていくこととなりました。

対してセルシオは2006年にレクサスより「LS」として日本国内にブランニューとして導入。こちらはメルセデス・ベンツ SクラスやBMW 7シリーズに対抗するべく、ハイブリットモデルからロングホイールベースモデル、Fスポーツの様なドライバーズモデルなどかつてのシーマ・セルシオの様にショーファーからオーナードライブまで網羅するモデルとなったのです。

現行モデルのシーマは2012年に登場。フーガをベースにハイブリット専用モデルとしてデビューしました。レクサスLSが輸入車を想定したハイエンドモデルなのに対し、シーマは価格的にも7~800万円台のうえ、V6に限定したレイアウトからも、どちらかと言えば日本国内を主と想定したモデルなのではないかと思われます。
別々の道を歩み始めたように見えるシーマとセルシオ。そこにはかつてのシーマVSセルシオの図式は現行モデルで見ることはできません。また、それぞれの進化する道も異なっていくのではないかと思います。ここまでご説明したキャラクターからシーマは同格の輸入車や国産車と比較される事は少ないのではないでしょうか。

おそらく現行モデルのシーマがその販売台数を伸ばしていく上で最大のライバルとなるのは、これまで販売してきたシーマ自身、なのかもしれません。

シーマのライバルはシーマ。これまでのシーマユーザーからの買い替えを促進できるかどうかがひとつの鍵となるかもしれません。
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