リムジンを普通免許で運転できるって本当？

リムジン（Limousine）は、もともとフランス語を語源とした名称で、”御者のいる個室付き馬車”のことを表していました。

現在では、ショーファードリブンと呼ばれる専用運転手がハンドルを握る大型のセダンのことを一般的にリムジンと表現しています。

オーナーが後席に座るため、リムジンはドライバーズスペースよりも後席の居住性を第一に考えられており、多くのリムジンはストレッチと呼ばれる全長＆ホイールベースの延伸が行われています。

ときに、6メートルを超えるほどの全長を持つリムジンも多く、それにともないホイールベースも長く、内輪差が大きくなるので、普通のセダンを運転するよりも技術を要することになります。

普通免許で運転できるのは、普通自動車、小型特殊自動車、原動機付自転車の3種類です。

この普通免許の対象となる車両より大きな車を運転するためには、2017年に新しく施行された免許制度によって誕生した準中型自動車免許が必要となります。

普通自動車免許は、車両総重量3.5トン未満、最大積載量2トンまでの車両で、準中型免許では車両総重量7.5トン未満、最大積載量4.5トン未満までが可能です。

普通免許、準中型免許とも、車両総重量と最大積載量と乗車定員に制限があるものの、ボディ寸法やホイールベースに対する規定はありません。

ただし、道路法及び車両制限令において、道路の構造を保全し、交通の危険を防止するために、走行できる車両寸法の最高限度は、幅2.5メートル、長さ12メートル、高さ3.8メートル（一部の道路や車種については特例あり）とされています。

※普通免許、準中型免許はどちらも乗車定員10名以下の車両のみを運転することができます。

つまり、普通自動車免許でも車両総重量3.5トン未満であれば、ストレッチされたリムジンを運転することは可能です。

それでは、普通免許で運転できない車両総重量3.5トン以上のリムジンは存在するのでしょうか。

例として、リムジンの代名詞ともいえるロールス・ロイス ファントム エクステンディッドホイールベースの車両総重量は3,170kg、メルセデス・マイバッハのS650の車両総重量は2,575kgとなっています。

その他にも、自動車メーカーの販売するロングホイールベース車で3.5トンを超えるモデルは、調べてみた限りありませんでした。

ただし、コーチビルダーなどにオーダーしたリムジンによっては、3.5トンを超える可能性があります。その場合に限っては普通免許でリムジンを運転することはできません。

また、自家用のリムジン（白ナンバー）は普通免許で運転できますが、旅客営業用のリムジン（緑ナンバー）は、タクシーと同じように自動車第2種運転免許が必要となってきます。


このように、リムジンを運転する際には仕様の確認や運転技術が必要である一方、運転免許に対するハードルはそれほど高くないと言えるでしょう。