80年に及ぶ「ビートル」のフィナーレを飾ったザ・ビートルの歴史を徹底解説!

ザ・ビートル 広報画像

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約60年という長期間生産された歴史的な名車であるフォルクスワーゲン・タイプ1をモチーフにしたザ・ビートル。

その歴史は偉大な先祖に比べれば長いものではありませんでした。2019年に生産が終了されたザ・ビートル。

そんなビートルシリーズの最期を彩ったモデルの歴史を振り返っていきます。

文・西川昇吾

西川 昇吾|にしかわ しょうご

1997年生まれ。富士スピードウェイ近隣で生まれ育ち、大学で自動車に関する学習をする傍ら、自動車ライターとしての活動を始める。過去にはコミュニティFMのモータースポーツコーナーにてレギュラー出演経験あり。「書くこと、喋ることで自動車やモータースポーツの面白さを伝える」を目標とし、様々なジャンルのライティングや企画に挑戦中。

西川 昇吾
Chapter
先代モデルよりも強くタイプ1を意識
2013年3月カブリオレ追加
2013年10月ターボ追加
2015年7月一部改良
2016年9月マイナーチェンジ
2016年11月R-Line追加

先代モデルよりも強くタイプ1を意識

先代モデルとなるニュービートルは1998年にデビュー。タイプ1をモチーフに円形を各所にあしらったデザインは、タイプ1の面影を残しつつも独創的でオリジナリティあふれるものでした。

そんなニュービートルのデビューから10年以上の年月が経過した2011年4月。後継モデルであるザ・ビートルが公開されます。ニュービートルに比べると円形基調な部分が少なくなり、よりタイプ1に強くなぞられたデザインに仕上がっていました。
 
当時ニュービートルは約10年のモデルライフが経過していただけに、いささか古さが隠せなくなっていた状況でした。そんな中、ザ・ビートルはフォルクスワーゲンの中でも定番モデルとして定着しているゴルフやポロなどで既に採用していた、評価の高い新世代のメカニズムを搭載。

デザインはもちろん、メカニズムを最新バージョンへとアップデートしてのデビューでした。なお当時の希望小売価格はベースグレードで2,500,000円からとなっていました。
日本市場向けのモデルは2012年から受注を開始。当初は1.2Lエンジンと7速DSGの組み合わせというベーシックなパワートレインのみのラインアップとなっていて、グレードはベースグレードとなる「デザイン」とデザインをベースに内装にレザーを用いた「レザーパッケージ」の2種展開でした。

2013年3月カブリオレ追加

2013年3月に追加モデルとしてオープンボディのカブリオレが販売をスタート。パワートレインはクーペと同様の設定で、グレードは1種類のみのラインアップでした。約10秒で開閉が可能で、50㎞/h以下ならば走行時でも開閉ができるというソフトトップを採用。さらにソフトトップ生地は6層構造であるため、静粛性と対候性の双方に優れていました。

また、オープンカーとなると気になる安全性の部分も考えられていて、クーペ同様の各種安全装備が備えられるのはもちろんのこと、オープンボディならではの装備として、センサーが横転を感知するとリアヘッドレスト背後に内蔵されたロールオーバーバーが瞬時に飛び出し、乗員の安全確保に寄与するロールオーバープロテクションシステムが採用されました。

 当時ザ・ビートルカブリオレの希望小売価格は3,750,000円でした。

2013年10月ターボ追加

2013年10月には2.0Lターボというパワフルなエンジンを搭載したスポーツグレード、「ザ・ビートルターボ」がラインアップに追加されます。

気になるエンジンスペックは以下の通り

最高出力 :155kW(211PS)/5,300-6,200rpm
最大トルク:280Nm(28.6kgm)/1,700-5,200rpm

エンジンのパワーアップの他、機能性あふれるスポーティーなエアロパーツにサイズアップしたブレーキとタイヤ、油温計、ブースト計、ストップウォッチが収められた3連メーターなどの専用装備が用意され、性能も内外の見た目もバッチリスポーティーに仕上がっていました。希望小売価格は3,480,000円でした。

2015年7月一部改良

一部改良を施して2015年7月7日に発売を開始。この発売日はビートル生誕77周年に合わせたものでした。この時の改良ではベーシックなグレードとして「ザ・ビートルベース」が新設定されました。走行性能と装備面は必要十分に備えつつ、加飾系の装備はシンプルにしたこの新グレードはカスタムベースとしての需要を狙うという目的がありました。

ベースの設定により上級グレードとなったデザイン(レザーパッケージ含む)ではレインセンサー、オートライトシステムや、スマートエントリー&スタートシステム“KeylessAccess”を新たに装着。

スポーツグレードのターボではデザインと同様にレインセンサーやオートライトシステムなどが標準装備となったほか、従来標準装備していたナビゲーションシステムをオプション化し、人気が高かったオプション装備の「Coolsterパッケージ」(ダークティンテッドガラス、3連メーター、バイキセノンヘッドライトなど)を標準装備としました。

2016年9月マイナーチェンジ

2016年9月にはマイナーチェンジを実施。グレード構成はベース、デザイン、2.0R-Lineの3つで、ターボが2.0R-Lineへと名称変更した形となります。なお、レザーパッケージはオプションとなりました。

見た目上の変更点としてはバンパーデザインの変更やインテリアでの新デザインの採用などが行われました。安全面ではドライバー疲労検知システム“Fatigue Detection System”を全車に新しく標準装備。

ブラインドスポットディテクション(後方死角検知機能)やリヤトラフィックアラート(後退時警告・衝突軽減ブレーキ機能)をスポーツグレード2.0R-Lineでは標準装備、その他のグレードではオプション装備としました。

その他フォルクスワーゲンが提供するオンラインサービスを搭載したインフォテインメントシステムが標準装備となり、Mirror LinkやCarPlay、Andorid Autoなどのスマートフォンと連携するシステムが使えるようになりました。

2016年11月R-Line追加

2016年11月には新グレードR-Lineが追加。このグレードは2.0R-Lineの弟分となるスポーツグレードで、カタロググレードでは初採用となる1.4LTSIエンジンが採用され、2.0R-Lineと共通のスポーティーなデザインとなっています。なお、エンジンスペックは以下の通り。

最高出力 :110kW(150PS) / 5,000-6,000rpm
最大トルク:250Nm(25.5kgm) / 1,500-3,500rpm
2012年からグレードの追加や装備の変更などを行い、ユーザーに寄り添った改良をし続けてきたザ・ビートルですが、2019年にその歴史に幕を閉じます。ザ・ビートルが生産終了となることで、約80年にわたって親しまれてきた「ビートル」の愛称を継承するモデルはなくなってしまいました。

そのような側面から見ても、ザ・ビートルは偉大な歴史の集大成を飾るモデルとなったのです。
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