【知っておきたい知識】減衰調整で何が変わるのか?やり方は?

減衰調整

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サスペンション構造の基本は、車両への衝撃をスプリングで吸収し、スプリングの跳ねをショックアブソーバーの抵抗力で収めるというものですが、その抵抗を減衰力と呼びます。

車高を調整できるサスペンションは俗に車高調と呼ばれていますが、多くの車高調には減衰力調整の機能もついています。

今回は、減衰調整をすることで生じるメリットにはどのようなものがあるか、また調整時の注意点などを見ていきます。

足回りのセッティングを考えている方は、参考にしてみると良いでしょう。

吉田 恒道|よしだ つねみち

1980年代、大学卒業後ファッション・モード専門誌「WWD Japan」編集部勤務を皮切りに編集者としてのキャリアを積む。その後、90年〜2000年代、中堅出版社ダイヤモンド社の自動車専門誌・副編集長に就く。以降、男性ライフスタイル誌「Straight’」(扶桑社)など複数の男性誌編集長を歴任し独立、フリーランスのエディターに、現職。著書に「シングルモルトの愉しみ方」(学習研究社)がある。

吉田 恒道
Chapter
どんな場合に減衰調整をするメリットがあるのか
減衰調整のやり方をチェック!
減衰調整するときに気を付けたいポイントは?

どんな場合に減衰調整をするメリットがあるのか

はじめに書いたように、減衰調整をすることでショックアブソーバー(以下「ショック」)の特性を変えることができます。つまりクルマを乗り換えることなく、自分好みの乗り味やハンドリングに調整することができるのです。

全ての車高調に減衰調整機能がついているわけではなく、車高調でないサスペンションでも減衰調整可能な製品もあるので、この点は注意が必要でしょう。

減衰調整の方向性としては、ソフトなセッティングとハードなセッティングの2方向がありますが、乗り心地を重視する場合はショックをソフトに設定します。これで路面からの衝撃をしっかりと吸収し、快適な乗り心地になるのです。

反対にハードなセッティングにすると、ステアリングの応答性やクルマの挙動がダイレクトに伝わるため、スポーティーなドライビングを楽しむのに向いています。ショックが硬めになるだけでなくロールやピッチもおさえるため、直進安定性が高まるなど走行性能の向上にも重要な役割を果たします。

高速道路を走行する機会の多いドライバーは、ニュートラルな特性に合わせることでフラットな乗り味に近づけ、快適さと操縦性能を両立させると良いでしょう。

減衰調整のやり方をチェック!

減衰力の調整の仕方は基本的に、調整用のダイヤルを回転させるというものが多いです。

調整の段階は10数段階から40段階など製品によってもかなり違いがあり、乗り始めから希望どおりのセッティングを見つけるのは困難なので、装着後は実際に走行しながら少しずつ調整を加え、自分に最適な調整位置に仕上げていくことになります。

こう書くと、簡単に減衰調整ができそうな印象も受けますが、車種や製品によっては素人による調整が困難な場合もあります。ダイヤルの位置によっては専用の工具を使う必要がある場合や、ショックそのものを外さないと減衰調整できないものまであり、そうした場合はDIYでの調整は困難でしょう。

整備工場に持ち込んで調整してもらう場合は、工賃に加え手間もかかります。

スポーツ走行を多用するユーザーやレース用車両でもない限り、性能や調整範囲だけでなく自分で減衰調整しやすいかどうかも含めて探し出すようにすると良いでしょう。

減衰調整するときに気を付けたいポイントは?

減衰調整に限らずどんなチューニングでもいえることですが、標準状態の性能をきちんと理解しておくことが求められ、それと比較してどう調整していくかという方向性を決めます。

製品によっても違いますが、説明書に記載されている標準の減衰力にするか、もしくはいちばん柔らかい段階にするなど、特性がわかりやすい状態で走行してみましょう。ベースの状態がわかれば、その状態と比較してソフトにしたいのかハードにしたいのか、その度合いはどれくらいなのかということを把握しやすくなります。

また減衰調整といっても、中にはショックの伸び側と縮み側で別の設定ができるものもあります。単純な構造の短筒式ショックは伸び縮み同時の調整、構造が複雑な複筒式の場合は延びと縮みそれぞれの減衰力が調整できます。

特に伸び縮み別のセッティングができるサスペンションは、舗装路を走行する場合と悪路を中心に走行する場合とで異なるセッティングをすることができ、シチュエーションに応じた減衰調整が可能です。

しかし十分な性能をもつものは高額なものもあり、減衰調整のショックアブソーバーを選ぶ際は、自分の求める性能や予算などもあらかじめ十分検討しておく必要があります。さらに前述のとおり、減衰調整をするにはサスペンションを外す必要があるものもあり、DIYで対応できない方は整備工場に依頼する工賃も発生します。

減衰調整ができるというメリットを最大限に活かし、自分のドライビングスタイルによりあったサスペンションに設定できるよう、購入前に注意したい点は数多くあるのです。
アームやスプリングとともにサスペンションを構成する主なパーツであるショックアブソーバーですが、その減衰調整を活かすことで、ショックをはじめサスペンションの能力を最大限に発揮することができ、ひいてはそれが安全な走行を実現させます。

減衰調整のできるショックは車高調と一緒に語られることが多く、混同して理解しているユーザーも多いかもしれませんが、全く別のものであることを理解しておくと良いかもしれません

減衰調整機能がついているショックを装着しているユーザーや、今後の装着を検討しているユーザーは、今回ご説明した点に留意し、失敗のないサスペンションセッティングをしたいところです。

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