ジュリアにクリーンディーゼルエンジン搭載を実現したアルファロメオの車!
更新日:2024.09.09
※この記事には広告が含まれます
アルファロメオにジュリアの名前が復活したのが2016年のこと。後輪駆動と後輪駆動ベースの4WDで復活したジュリアは、その完成度の高い走りの性能で注目を集める存在となった。そして復活から2年、ジュリアにディーゼルエンジンが登場した。欧州ではマストといわれるディーゼルエンジンのラインアップだが、果たしてジュリアとディーゼルエンジンの相性は?
文・斎藤聡
文・斎藤聡
ジュリアには最高出力190馬力の2.2Lディーゼルエンジン搭載モデルもある
写真:アルファロメオ ジュリア 2.0 ターボ スーパー
ステアリングを握り、走り出した瞬間から沸き立つような高揚感に包まれ、心拍数さえ上がってきます。“ラテンの熱い血”とはよく言ったもので、アルファロメオには間違いなくイタリアの熱い血が流れています。そして突如復活を果たしたジュリア・クアドリフォリオには、まさしく熱い血潮の脈動と高鳴る鼓動を感じすにはいられません。このクルマに乗って、アルファロメオがまた好きになりました。
写真:2.9 V6 BI-TURBO クアドリフォリオ
一説には、もっともパワフルな「2.9 V6 BI-TURBO クアドリフォリオ」ありきでジュリアは作られたのだといいます。パワーとシャシーがもっともバランスしているのが、クアドリフォリオだというわけです。確かに2.0 スーパーに試乗してみると、明らかにシャシー性能に余裕を感じます。そんなクルマの作り方もいかにもイタリア人が作ったクルマだなと感じてしまいます。
写真:アルファロメオ ジュリア 2.2 ターボ ディーゼル スーパー
さて、ジュリアシリーズにもう一つユニークなエンジンを搭載したモデルが登場しました。2.2Lターボディーゼルエンジンを搭載した「ジュリア2.2 ターボ ディーゼル スーパー」です。
と、その前にジュリアについて簡単に説明しておきましょう。ジュリアは、2015年にアルファロメオ159の後継モデルとして登場しました。後継モデルといっても159とはまったくの別物で、プラットフォームは「ジョルジオ」と名付けられた新設計のプラットフォームです。ちなみにジョルジオは、マセラティ社と共同開発したもので後輪駆動を基本に4輪駆動も用意されています。
と、その前にジュリアについて簡単に説明しておきましょう。ジュリアは、2015年にアルファロメオ159の後継モデルとして登場しました。後継モデルといっても159とはまったくの別物で、プラットフォームは「ジョルジオ」と名付けられた新設計のプラットフォームです。ちなみにジョルジオは、マセラティ社と共同開発したもので後輪駆動を基本に4輪駆動も用意されています。
写真:アルファロメオ ジュリア 2.2 ターボ ディーゼル スーパー
ボディタイプは4ドアセダンのみとなっています。ボディサイズは、全長4,645mm×全幅1,865mm×全高1,435mm、ホイールベースは2,820mmで、これは欧州Dセグメントと呼ばれる、メルセデスベンツCクラス、BMW3シリーズ、アウディA4、ジャガーXEなどと同じクラスになります。
搭載する2.2Lディーゼルエンジンは最高出力190馬力、最大トルク450Nmを発揮。これで欧州ユーロ5より厳しいといわれる日本のポスト新長期排ガス規制をクリアしたクリーンディーゼルでもあるのです。
ジュリアのディーゼルエンジンは心躍るスポーツテイスト
写真:アルファロメオ ジュリア 2.2 ターボ ディーゼル スーパー
試乗してみると、当たり前ですが、クワドリフォリオとはだいぶテイストが違います。攻めるような熱い走りを求められるクワドリフォリオと比べると、グッと落ち着いたDセグメントの落ち着きとスポーティセダンの味わいが同居しています。
写真:アルファロメオ ジュリア 2.2 ターボ ディーゼル スーパー
仕事柄、様々な新しいクルマに乗りますが、最近のプレミアムセダンには、メーターパネルも多機能なモニターになっているケースが多くあります。それはそれで新しくて良いのですが、ジュリアでは、まずドライバーズシートに座り、視線をインパネに向けると定石どおりにアナログのタコとスピードの2眼メーターが目に入ります。このアナログな景色がオジサンには妙に刺さるのです。ジュリアのニクいところは、アナログメーターをあえて採用するように、クルマ好きが悦ぶような小技を所々に効かせているところです。
ジュリアの選べる「d」「n」「a」3つのドライブモード
写真:アルファロメオ ジュリア 2.2 ターボ ディーゼル スーパー
とはいえディーゼルエンジンですから、走りの性能はそれほど期待できないのでは…、なんて思ってしまうわけですが、いざ走り出してみると、ディーゼルエンジンならではの低回転域のトルクの厚みが、スルスルとクルマを加速させてくれます。Dレンジに入れていると4,000回転くらいでシフトアップを繰り返していきます。
感覚的にはエンジンをもう少し回したいところですが、このシフトプログラムが、トルクのオイシイところをうまく繋いでくれるので、車速のノリが素晴らしく良いのです。
写真:アルファロメオ ジュリア 2.2 ターボ ディーゼル スーパー
試しにマニュアルモードでレブリミットの始まる5,500回転まで回してみると、ちゃんとスムーズにまわってくれます。
パワー感的には5,000回転か、もう少し低めの回転でシフトしていったほうが気持ちよくはありますが、いずれにしても速さはさほど変わらないようです。つまりドライバーの気分によっていろんな走り方が楽しめるということでもあります。
写真:アルファロメオ ジュリア 2.2 ターボ ディーゼル スーパー
それにしても450Nmの最大トルクは非常に強力で、試乗ステージである箱根ターンパイクのきつい上りでも、車重を感じさせずスイスイ加速してくれ、また足回りのセッティングがこのエンジンの特性とよく合っているのです。
ドライブモードが「d」「n」 「a」の3段階で選べ、元もスポーティな「d」は、エンジンプログラムもスポーティーなものになっていますが、いずれもゴツゴツする硬さはなく、「d」は引き締まったサスペンションセッティングで、スポーティーなドライブに向きますが、個人的には、しなやかで乗り心地が良い「n」がしっくりきました。
写真:アルファロメオ ジュリア 2.2 ターボ ディーゼル スーパー
乗り心地のいい「n」モードですが、クルマの前後重量バランスがいいせいか、カーブでもスイッと素直に旋回に入りバランスよく曲がってスムーズにカーブを立ち上がることができます。クワドリフォリオのようなスパルタンなスポーティさはありませんが、ディーゼルでも、バランスのいい身体能力が実感できます。
こんな身のこなしひとつにも、ジュリアに込めたアルファロメオ的クルマ作りの哲学がよく表れているなあと感じるわけです。
エンジンは決して刺激的とは言えませんが、ぶ厚いトルクの厚みとスムーズにまわるエンジン特性を、巧みにジュリアの操縦性とマッチングして、運転していて思わずニンマリとしたくなるようなスポーティテイストを与えられていて、なかなかに魅力的なクルマだと感じました。
斎藤 聡 | SATOSHI SAITO
モータージャーナリスト。車両のインプレッションはもちろん、タイヤやサスペンションについて造詣が深く、業界内でも頼りにされている存在。多数の自動車雑誌やWEBマガジンで活躍中。某メーカーのドライビングインストラクターを務めるなど、わかりやすい解説も人気のヒミツ。日本自動車ジャーナリスト協会会員、日本カーオブザイヤー選考委員。