クラッチスタートシステムって何かご存知ですか?
更新日:2024.09.09
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いま日本で販売されている新車のほとんどはATだ。運転免許にもAT限定があり、MT車を運転したことがないというドライバーも多い。つまり、MTの運転操作で肝となるクラッチペダルを見たことがない、久しく踏んでいないというドライバーが多数派ではないだろうか。とくに、ずいぶん前に運転免許を取ったけれどATにしか乗っていないというベテランドライバーにとって「クラッチスタートシステム」と聞いても何がなんだかわからないかもしれない。およそ20年前から国産車に標準装備された「クラッチスタートシステム」とは、どんな機構なのだろうか。
文・山本晋也
文・山本晋也
クラッチスートシステムとはMT車のエンジン始動時に必要な作法
MT車のエンジン始動をするときにギアをつないだ状態では、セルモーターの力でクルマが動いてしまうことがある。
そのため安全にエンジン始動するには、トランスミッションをニュートラルポジションにするか、クラッチを切った状態にしておく必要がある。
そのため安全にエンジン始動するには、トランスミッションをニュートラルポジションにするか、クラッチを切った状態にしておく必要がある。
クラッチを切ることで誤作動を防ぐ
しかし、昭和の時代にはドアを開けてキーを回したり、開いた窓から手を入れてキーを回したりして、エンジンをかけることがあった。
そのため、ギアを入れっぱなしにしていることに気付かず、無用な事故につながるケースもあったという。そこで1999年からMT車にはクラッチスタートシステムが義務付けられた。
これは、クラッチを切った状態でなければエンジンが始動しない(セルモーターが回らない)ようにする機構だ。エンジン始動とクラッチペダルの踏み込み(クラッチを切断する)をセットにすることでアクシデントを防止しようという単純な安全装置である。
1999年に義務化となったため、この仕組みをしらないベテランドライバーも多い。実際、「日本一速い男」として知られた某・有名ドライバーは、クラッチスタートシステムを知らなかったためか、レース形式のイベントでマシンのエンジンをかけることができずにスタートで出遅れたということもあった。
そのため、ギアを入れっぱなしにしていることに気付かず、無用な事故につながるケースもあったという。そこで1999年からMT車にはクラッチスタートシステムが義務付けられた。
これは、クラッチを切った状態でなければエンジンが始動しない(セルモーターが回らない)ようにする機構だ。エンジン始動とクラッチペダルの踏み込み(クラッチを切断する)をセットにすることでアクシデントを防止しようという単純な安全装置である。
1999年に義務化となったため、この仕組みをしらないベテランドライバーも多い。実際、「日本一速い男」として知られた某・有名ドライバーは、クラッチスタートシステムを知らなかったためか、レース形式のイベントでマシンのエンジンをかけることができずにスタートで出遅れたということもあった。
クランクのベアリングが傷む可能性も
これは笑い話で済むが、クラッチスタートシステムのデメリットとしては、クランクシャフトを支えるスラストベアリングが傷みやすいと指摘されることがある。
クラッチを切ると、エンジンの中で回転しているクランクシャフトを軸方向に力がかかった状態になる。そのままクランクシャフトをセルモーターで回すために、軸受けであるスラストベアリングに負担がかかるのだ。
とくに強化クラッチにチューニングしているとスラストベアリングの傷みは顕著で、クラッチスタートシステムをキャンセルするオーナーもいるという。
クラッチを切ると、エンジンの中で回転しているクランクシャフトを軸方向に力がかかった状態になる。そのままクランクシャフトをセルモーターで回すために、軸受けであるスラストベアリングに負担がかかるのだ。
とくに強化クラッチにチューニングしているとスラストベアリングの傷みは顕著で、クラッチスタートシステムをキャンセルするオーナーもいるという。
山本晋也
自動車メディア業界に足を踏みいれて四半世紀。いくつかの自動車雑誌で編集長を務めた後フリーランスへ転身。近年は自動車コミュニケータ、自動車コラムニストとして活動している。ジェンダーフリーを意識した切り口で自動車が持つメカニカルな魅力を伝えることを模索中。