クラッチスタートシステムって何かご存知ですか?

クラッチ

※この記事には広告が含まれます

いま日本で販売されている新車のほとんどはATだ。運転免許にもAT限定があり、MT車を運転したことがないというドライバーも多い。つまり、MTの運転操作で肝となるクラッチペダルを見たことがない、久しく踏んでいないというドライバーが多数派ではないだろうか。とくに、ずいぶん前に運転免許を取ったけれどATにしか乗っていないというベテランドライバーにとって「クラッチスタートシステム」と聞いても何がなんだかわからないかもしれない。およそ20年前から国産車に標準装備された「クラッチスタートシステム」とは、どんな機構なのだろうか。

文・山本晋也
Chapter
クラッチスートシステムとはMT車のエンジン始動時に必要な作法
クラッチを切ることで誤作動を防ぐ
クランクのベアリングが傷む可能性も

クラッチスートシステムとはMT車のエンジン始動時に必要な作法

MT車のエンジン始動をするときにギアをつないだ状態では、セルモーターの力でクルマが動いてしまうことがある。

そのため安全にエンジン始動するには、トランスミッションをニュートラルポジションにするか、クラッチを切った状態にしておく必要がある。

クラッチを切ることで誤作動を防ぐ

しかし、昭和の時代にはドアを開けてキーを回したり、開いた窓から手を入れてキーを回したりして、エンジンをかけることがあった。

そのため、ギアを入れっぱなしにしていることに気付かず、無用な事故につながるケースもあったという。そこで1999年からMT車にはクラッチスタートシステムが義務付けられた。

これは、クラッチを切った状態でなければエンジンが始動しない(セルモーターが回らない)ようにする機構だ。エンジン始動とクラッチペダルの踏み込み(クラッチを切断する)をセットにすることでアクシデントを防止しようという単純な安全装置である。

1999年に義務化となったため、この仕組みをしらないベテランドライバーも多い。実際、「日本一速い男」として知られた某・有名ドライバーは、クラッチスタートシステムを知らなかったためか、レース形式のイベントでマシンのエンジンをかけることができずにスタートで出遅れたということもあった。

クランクのベアリングが傷む可能性も

これは笑い話で済むが、クラッチスタートシステムのデメリットとしては、クランクシャフトを支えるスラストベアリングが傷みやすいと指摘されることがある。

クラッチを切ると、エンジンの中で回転しているクランクシャフトを軸方向に力がかかった状態になる。そのままクランクシャフトをセルモーターで回すために、軸受けであるスラストベアリングに負担がかかるのだ。

とくに強化クラッチにチューニングしているとスラストベアリングの傷みは顕著で、クラッチスタートシステムをキャンセルするオーナーもいるという。

【お得情報あり】CarMe & CARPRIMEのLINEに登録する

商品詳細