昔のSUVでよく見かけたフロントガード、なぜ最近見なくなったの?

1980年代後半から1990年代中頃にかけて、クロスカントリー4WDブームが巻き起こりました。クロスカントリー4WD(クロカン四駆)とは、今でいうSUVのこと。三菱 パジェロやトヨタ ランドクルーザー、いすゞ ビッグホーン、日産 テラノといったモデルを、街中でよく見かけたものです。

文・木谷宗義

Chapter
昔のクロカン四駆の定番カスタマイズ
衝突時の危険性が問題になり姿を消した
今もパーツとして残っているものの……

昔のクロカン四駆の定番カスタマイズ

日産 テラノ 1993

当時のクロカン四駆といえば、フロントにスチールやステンレスのパイプで作られた「フロントガード(=グリルガード)」をつけるのが定番カスタマイズ。

フロントガードを装着していない車の方が少数派なのでは?と思うほど、多くのユーザーが純正オプション/社外パーツを問わずさまざまなフロントガードを装着していました。

衝突時の危険性が問題になり姿を消した

三菱 デリカ スペースギア

フロントガードの役目は、その名前や見た目からもわかるように、障害物や衝突物からボディを守ること。

フロントグリル周辺だけを守るものから、ヘッドライトまわりまでガードするもの、バンパー下部のみを守るものなど、さまざまなタイプがあり、藪をかき分けて進むためのブッシュバー、カンガルーとの衝突から守るバンパーと一体型のカンガルーバーなど目的によってもさまざまな形状が存在していましたが、今ではほとんど見なくなりました。

そのもっとも大きな理由は、歩行者との衝突時の危険性です。フロントガードを装着したクロカン四駆では、歩行者との衝突時に歩行者のダメージが大きく、1990年代中頃よりフロントガードの危険性が疑問視されるようになりました。

それにともない徐々にメーカーも製品を縮小、衝突時の危険性の少ない樹脂製のフロントガードも登場しましたが、クロカンブームの終焉やモデルチェンジによってフロントガードが似合わないデザインの車が増えたことなどもあり、2000年代にはほとんど見かけないアイテムとなりました。

今もパーツとして残っているものの……

衝突安全性については、2005年に歩行者頭部保護の法規制がスタートし、2013年からは頭部保護の強化および脚部の保護規制も追加されました。

海外では今も必要としている地域もありますし、オフロード走行を楽しむ人にとっては実用的なパーツのひとつであるため、今もパーツメーカーから発売されてはいますが、かつてのように「定番アイテム」となることはもうなさそう。フロントガードをつけたクロスカントリー4WDは「90年代らしいスタイル」として、記憶されていくことになりそうです。