ホンダ インサイトを公道試乗!普遍的なクルマの良さを実感した!
更新日:2024.09.09
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ホンダから3代目となる「インサイト」が登場した。「インサイト」という名前は、初代、2代目とハイブリッド専用モデルであった。1999年に登場した初代は超空力性能を持つアルミボディと専用の3気筒エンジンによって世界最高レベルの燃費性能を実現した2シータークーペ。2009年にデビューした2代目は1.3Lエンジンと薄型モーター、CVTを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載。税抜価格180万円~という低価格がインパクトを残したことが記憶に残る。そんなインサイトが復活したというわけだ。
文/写真・山本晋也
文/写真・山本晋也
インサイトのレビュー①|復活した3代目インサイトは1.5Lエンジンの2モーターを組み合わせた
2018年12月に甦った3代目は、ハイブリッド専用車という点においてはインサイトの系譜であることを主張するが、クルマとしては完全に別物になった。
全幅が1820mmの立派なボディのCセグメント・セダンとなった。パワートレインは1.5Lエンジンに2モーターハイブリッド「スポーツハイブリッド i-MMD」を組み合わせたもの。つまり、ほとんどの領域においてモーターだけでタイヤを駆動するシステムとなっている。高速巡航時はエンジンの出力を直接タイヤに伝えて効率よく走らせるというのも「スポーツハイブリッド i-MMD」の特徴だ。
燃費性能はJC08モードが31.4~34.2km/L、よりリアルワールドに近いといわれるWLTCモードで25.6~28.4km/L。Cセグメント・セダンとしては十分なものだが、トップランナーというわけではない。新型インサイトは燃費スペシャルカーを目指していないのだ。
全幅が1820mmの立派なボディのCセグメント・セダンとなった。パワートレインは1.5Lエンジンに2モーターハイブリッド「スポーツハイブリッド i-MMD」を組み合わせたもの。つまり、ほとんどの領域においてモーターだけでタイヤを駆動するシステムとなっている。高速巡航時はエンジンの出力を直接タイヤに伝えて効率よく走らせるというのも「スポーツハイブリッド i-MMD」の特徴だ。
燃費性能はJC08モードが31.4~34.2km/L、よりリアルワールドに近いといわれるWLTCモードで25.6~28.4km/L。Cセグメント・セダンとしては十分なものだが、トップランナーというわけではない。新型インサイトは燃費スペシャルカーを目指していないのだ。
インサイトのレビュー②|走りの良さはタイヤの空気圧からも感じられる
事実、初の公道試乗において、少なくとも市街地を走っている限りにおいては、エコカー的なフィーリングは皆無。あくまでCセグメント・セダンとして高いレベルの走行性能を実現していることが実感できる。しかも、基本的にはモーター駆動であるからシフトショックもなく走りはスムースそのもの。
加速についてもエコカーにありがちな燃費重視の“反応を鈍くした”フィーリングではなく、モーター駆動ならではのダイレクト感をしっかりと引き出したものに仕上がっている。自動車のパワートレインとしてドライバーの操作を素直に表現するといったもので、好印象だ。
こうした上質な走りを目指したことはタイヤの指定空気圧からも感じ取れる。その数値は前後とも220kPa(2.2kgf/cm2)、燃費を重視したエコカーでは空気圧を250kPa程度の高めに設定していることが多いが、新型インサイトの数値は燃費だけを考えた設定ではないことを示している。
実際、ハンドリングのリニアリティレベルも高い。とはいえ、スポーツカーのようなキレキレのものではなく、あくまでも操作に対して素直に反応するという味付け。アクセル、ステアリングともにさらにダイレクト感を強調するものではなく「普通に良い」と表現したくなるフィーリングだ。
加速についてもエコカーにありがちな燃費重視の“反応を鈍くした”フィーリングではなく、モーター駆動ならではのダイレクト感をしっかりと引き出したものに仕上がっている。自動車のパワートレインとしてドライバーの操作を素直に表現するといったもので、好印象だ。
こうした上質な走りを目指したことはタイヤの指定空気圧からも感じ取れる。その数値は前後とも220kPa(2.2kgf/cm2)、燃費を重視したエコカーでは空気圧を250kPa程度の高めに設定していることが多いが、新型インサイトの数値は燃費だけを考えた設定ではないことを示している。
実際、ハンドリングのリニアリティレベルも高い。とはいえ、スポーツカーのようなキレキレのものではなく、あくまでも操作に対して素直に反応するという味付け。アクセル、ステアリングともにさらにダイレクト感を強調するものではなく「普通に良い」と表現したくなるフィーリングだ。
また、全長こそ4,675mmと小型車サイズだが、ボディ幅が1,820mmと広いボディは市街地での取り回し性も気になるが、ボンネット(エンジンフード)の視認性がよく、Uターンなどもしやすいのはインサイトの美点。Cピラーのサブウインドウがついているので斜め後方の視界も広い。かなり真面目に作り込まれたパッケージであることが実感できる。
過去のインサイトは、ハイブリッドカーだから空力重視で視界は二の次といった雰囲気もあったが、新型インサイトにはそうしたエクスキューズは感じられない。
過去のインサイトは、ハイブリッドカーだから空力重視で視界は二の次といった雰囲気もあったが、新型インサイトにはそうしたエクスキューズは感じられない。
インサイトのレビュー③|良くできた「普通のセダン」にモーター駆動のアクセント
だからといって、地味でつまらない「普通のセダン」というわけではない。
コクピットに座れば、前進や後退を操作するのはホンダ独自の「エレクトリックギアセレクター」。ホンダ車の中では採用例は増えてきているが、Dボタンを押して走り出すのは、まだまだ未来感がある。ユニークなのはパドルセレクターを備えていることで、これは回生ブレーキの強さを三段階で調整できるというもの。
走行モードについては「EV」、「NORMAL」、「SPORT」、「ECON」の4パターンから選ぶことができる。燃費重視のECONモードであっても、モーター駆動らしいダイレクト感はスポイルされていない。SPORTモードではレスポンスの良さを少々過剰に演出しているようにも思えるが、これぞモーター駆動! と感じるドライバーも多いことだろう。
しっかりとしたボディを作り、そこに電動パワートレインを載せたという成り立ちの新型インサイトは、そのセッティング幅の広さを「普遍的なクルマの魅力」を高めるために活用したクルマである、と感じる。
基本的にモーターだけで駆動することによるスムースネスは、他のパワートレインでは太刀打ちできない。遮音性や乗り心地の面でもかなり高いレベルとしていることも滑らかな走りの魅力を引き上げているといえる。
試乗したグレード(EX)のメーカー希望小売価格は税込み349万9200円となっているが、高級感のある走りを体感すると、この価格が妥当に思えてくる。8インチ・インターナビや渋滞対応ACCなどからなる先進安全装備「ホンダセンシング」が標準で、オートブレーキホールド付きEPBも備わるなど装備は充実。
350万円という絶対額は安いとはいえないが、走りのクオリティや装備内容を考えると価格以上の価値を感じるのが新型インサイトだ。
コクピットに座れば、前進や後退を操作するのはホンダ独自の「エレクトリックギアセレクター」。ホンダ車の中では採用例は増えてきているが、Dボタンを押して走り出すのは、まだまだ未来感がある。ユニークなのはパドルセレクターを備えていることで、これは回生ブレーキの強さを三段階で調整できるというもの。
走行モードについては「EV」、「NORMAL」、「SPORT」、「ECON」の4パターンから選ぶことができる。燃費重視のECONモードであっても、モーター駆動らしいダイレクト感はスポイルされていない。SPORTモードではレスポンスの良さを少々過剰に演出しているようにも思えるが、これぞモーター駆動! と感じるドライバーも多いことだろう。
しっかりとしたボディを作り、そこに電動パワートレインを載せたという成り立ちの新型インサイトは、そのセッティング幅の広さを「普遍的なクルマの魅力」を高めるために活用したクルマである、と感じる。
基本的にモーターだけで駆動することによるスムースネスは、他のパワートレインでは太刀打ちできない。遮音性や乗り心地の面でもかなり高いレベルとしていることも滑らかな走りの魅力を引き上げているといえる。
試乗したグレード(EX)のメーカー希望小売価格は税込み349万9200円となっているが、高級感のある走りを体感すると、この価格が妥当に思えてくる。8インチ・インターナビや渋滞対応ACCなどからなる先進安全装備「ホンダセンシング」が標準で、オートブレーキホールド付きEPBも備わるなど装備は充実。
350万円という絶対額は安いとはいえないが、走りのクオリティや装備内容を考えると価格以上の価値を感じるのが新型インサイトだ。
新型インサイト 画像
山本晋也
自動車メディア業界に足を踏みいれて四半世紀。いくつかの自動車雑誌で編集長を務めた後フリーランスへ転身。近年は自動車コミュニケータ、自動車コラムニストとして活動している。ジェンダーフリーを意識した切り口で自動車が持つメカニカルな魅力を伝えることを模索中。