私が乗って選んだカー・オブ・ザ・イヤー2018-2019 ベスト5はこれだ!

ジムニー、ジムニーシエラ(大田中撮影)

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第39回2018-2019日本カー・オブ・ザ・イヤーをボルボXC40が受賞した。昨年度のXC60に続く2回目の受賞で、連続受賞は輸入車としては初めてという。

そのXC40とはどんなクルマか?が気になったこともあったので、次のクルマを選ぶついでに試乗してみました。

文/写真・大田中 秀一

大田中 秀一|おおたなか しゅういち

乗りもの、特にクルマ好きで、見ること、乗ること、しゃべることすべてが好き。5年間のレース参戦経験を活かし、レーシングスクールインストラクターも時々務める。大型二種免許も所有していることもあり、運転技術に関しての研究も行なう。モビリティに関わることすべてを興味のままに取材、自動車専門誌並びにweb、経済ニュースサイトなどに寄稿している。世界のマイナーモーターショーウォッチャー、アセアン・ジャパニーズ・モータージャーナリスト・アソシエーション会長、インドネシアにも拠点がある無意識アセアンウォッチャー。

大田中 秀一
Chapter
実に私的なカー・オブ・ザ・イヤー2018-2019
スズキ ジムニー/ジムニーシエラ
トヨタ カローラ スポーツ
トヨタ クラウン
マツダ CX-8
ボルボ V60

実に私的なカー・オブ・ザ・イヤー2018-2019

ところで今の世の中、どのクルマを選んでも性能自体には大差ないと思いませんか?

私は常々そう思っているので、評論家は試乗記書くの大変だろうな~なんて要らぬ心配をしています。

いわゆるヤングタイマーの味が好きな自分には、個性も薄くなりメーカー間の性能差もあまり感じない今のクルマは、安全デバイスも充実していて、使い勝手も格段に良くなっていて確かにそれなりに魅力的だとは思うのですが、お金を払って買うほどのことは……なんて思ってるんです、正直なところ。

そんな自分が新車を買う必要に迫られているのですが、正直どれもいいと言えばいいし、どれも決め手に欠けるといえば欠ける。悩むところです。

そんなところにカー・オブ・ザ・イヤーのニュースを聞いたので、“じゃあいっそ10ベストとメーカーの事情で辞退したクルマから選ぶ”というのもおもしろいかなと考え、全部乗ってみました。

それ以外にも乗ったクルマが何台かあるので、その中からこれはというものを感じたクルマをご紹介したいと思います。車種も着目点もかなり偏ってるのが恐縮ですが、何かの参考になれば幸いです。

スズキ ジムニー/ジムニーシエラ

ジムニーは幼少時から頻繁に目にする環境にあったため、新型も気になっていたので発表されたと同時に見に行きました。しかし、その時点ですでに1年待ちという状態で、ジムニーにいたってはカタログもなくなってしまいしばらく手に入らなかったという状態でした。

そんな状況であったものの試乗車は用意されていたので両方乗せてもらいました。

インテリアが特に先代よりえらい立派になってしまったなという印象でした。それでもまだまだジムニーっぽい。シエラの方はオートマチックトランスミッションだったこともあり、より大人で上質な雰囲気でした。

ジムニーが好きな人はもちろん、特に興味はなかったものの衝動買いしてしまった人にも何か楽しいことをもたらしてくれそうな気がします。

今の季節だと、日本海にカニを食べに行こうか?氷見の寒ブリ?せっかくだからスキーでも始めてみようか?温泉行こうか?それも秘境の、なんていろんな楽しみをイメージさせてくれるクルマだと思います。

アメリカ車はどのクルマでもフロントガラス越しに何かのイメージが浮かぶんですが、日本車では珍しい。これしか買えない人も、お金に余裕がある人がシャレで買ってもいいんじゃないでしょうか。楽しい人生が始まりそうです。

トヨタ カローラ スポーツ

まず1.2リッターガソリンターボエンジン車に乗りました。

試乗コースは、ディーラーから出て左左左左で終了というようなコースが基本で、若干の遠回りがあるかというくらいのものが一般的で、これまでのトヨタ車だとそれでも飽きるくらいのことが多かったのですが、このクルマは違いました。

走り出してほどなく、”おや?何か楽しいで”と思い、同乗のセールス氏に、「ちょっと遠回りして長めに走ってもいいですか?」とお願いしてしまいました。そのままいつも通る、アップダウンカーブがある住宅地とちょっとしたバイパスを走りました。

大したスピードは当然出せない区間なんですけど、それでも充分楽しいと感じました。アクセル、ブレーキの感覚も自然だったし、操作に対する反応、一瞬一瞬のクルマの動きが気持ち良かった。
次に1.8リッターハイブリッドです。

最も感心したのは、ハイブリッドの違和感の少なさです。加速するとき、ブレーキ踏んで減速するとき、何らかの違和感が消えないもので、それがハイブリッド車が好きじゃない大きな理由の一つなんです。しかしこれにはそれがほとんど感じられなかった。スポーツ度はだいぶ弱い感じでしたが、ちょっと興味を持ちました。

トヨタ クラウン

2リッターガソリンターボRS、2.5リッター4気筒ハイブリッドG、3.5リッターV6ハイブリッドGエグゼクティブの3台に乗りました。

カローラスポーツのガソリン車ほどではないにしても、どのタイプもハンドルを切ることが楽しめるようにはなっています。

乗り終えてふと思いました。これまで輸入車を乗り継いできた人の最後のクルマとしてもいいんじゃないかと。歳と共に好みは変わるもの。若いころはドイツ車なんかに乗ってたけど、最近それがちょっと体に合わなくなってきたんだよね、というようなムードになった人にもぴったり合うような気がします。幅が1,800ミリというのも日本では疲れずにどの道も走れる限界幅を守ってもいるし。

世界中を飛び回っていろんなものを見て各国でおいしい料理をたくさん食べてきたけど、最後はやっぱりご飯と味噌汁だよな、畳の上で死にたいよな。でも、いい米とこだわりの釜で炊いたご飯といい材料だけを使って伝統的な製法できちんと作られた味噌じゃないと、という感じで。

昭和の時代は”いつかはクラウン”だったけど、平成が終わる時代の今は”最後にクラウン”でいいんじゃないでしょうか。メーカーはカローラもクラウンも購買年齢を下げようとしているものの、努力に反してカローラで60代、クラウンで70~75歳あたりが買っていると聞きます。いいじゃないですかそれで。
気になるのは、明らかに従来のトヨタ車とは違うこの2車が、従来のトヨタ車ユーザーにどう受け入れられるかというところ。

イギリスで生産されていた初代アベンシスが、当初の”トヨタが作った欧州車”から最後には”欧州で作ったトヨタ車”になってしまったように、初代レクサスGSが徐々にクラウン寄りのテイストになっていったようになってしまったというようなことがまた起こるのか?が今後の注目点です。

クルマのセッティング以外の部分では、6色設定されているジャパンカラーの試乗車を用意するなりメガウェブに並べるなりして実車を見られるようにして欲しいと思います。せっかくのスペシャリティがカタログの色見本だけではイメージが湧かないので、どの人もなかなか踏み切れないと思います。

マツダ CX-8

2.5リッターガソリンと2.2リッターディーゼルに乗りました。

ディーゼルが特にいい。ディーゼルならではのトルクが街中の運転でもパワフルで楽しい。やはりディーゼルエンジンならではの音がけっこう聞こえるんですが、これがいい。運転してるという気になるんです。近年やたら静かなクルマが増えたのでこれが結構新鮮で楽しい気分になります。それだけでディーゼル車を選ぶのもアリだと思います。

何よりも静かであることを重視してハイブリッド車を選ぶ人が多いとトヨタのディーラーで聞いたので、こんな考え方は古いのかもしれませんが。

もう一つは、G-ベクタリング コントロール プラスという機能によるカーブの安定感と楽しさ。ハンドル切り始めから戻して直線に入る間の自然で安定した乗り心地というか挙動を作り出すシステム。

ドライバーは安心してコーナーを走れるし、同乗者にも不愉快なロール(ぐらっとくる傾き)を感じず、車酔いしやすい人ももしかしたら酔わなくてすむかもというシステムです。

似たようなシステムを搭載しているクルマは他社にもありますが、マツダのこれがベストです。こだわったペダル配置と相まって運転しやすいし運転が楽しいクルマです。

これがついていないクルマでも同じような走り方はできるのですが、それにはかなりの鍛錬とセンスが必要です。そういう努力なく自然に運転がうまくなったような感じがするのが嬉しい。

ボルボ V60

このクルマは10ベストではなくノミネート27車の一台です。

V90が好きなんだけど、日本にはサイズが大きすぎることと4気筒エンジンのフィーリングがクルマに合ってないことが残念だと思っていたところに、同じテイストで日本でも使えるサイズになったこれには乗らないわけにはいかないなと思い、XC40のついでに乗りました。

アクセル、ブレーキ、ハンドルといった操作系が実に自然で運転しやすいし、こちらの操作にしたがってすっとクルマが動く感覚が楽しい。同じエンジンのはずなのに、4気筒感が気にならない。
縦型ディスプレイなのでヘディングアップ(進行方向が上)だとこれから行く世界が多く見えて安心だし、映り込み防止コートが施されているのでとても見やすい。
試乗コースの途中でセールス氏に運転を代わってもらいリアシートに座ったのですが、これまた快適。明るいカラーの内装とチルトアップ機構付電動パノラミック・ガラス・サンルーフによって車内が明るいのもいい。
SUVの車高では乗り降りがちょっと……という年老いた両親にも楽に乗り降りができるし、左右独立温度調整ができるので快適に過ごせると思います。

ベスト・オブ・ボルボではないでしょうか。
以上、それは違うだろという批判、そうだそうだという賛成、何言ってるのかわからない、などいろいろ思われるでしょうけれど、これをきっかけにしてクルマのことをちょっとでも考えて、より多くクルマに触れるようになってもらえれば嬉しいです。
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