なぜ、RX-8はRX-7直系の後継車ではないと言われたのか?理由を解説

マツダ RX-8

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現在のところ、"最後のロータリーエンジン搭載市販車"となっているのが、マツダ RX-8です。2012年6月に生産終了し、先代のRX-7ともども後継車の目処はまだ立っていません。そもそもRX-8そのものがRX-7の直系では無いと言われますが、その理由はどんなものなのでしょう?
Chapter
ピュアスポーツだったRX-7
FD3Sの後継になれなかったRX-01
フォードの要請で誕生したRX-8は、RX-3の系譜?

ピュアスポーツだったRX-7

1970年代半ばの日本は、オイルショックの影響で「パワーはあるけど燃費があまりにも悪すぎる」と、ロータリーエンジンへの逆風が激しい時代でした。

そこで実用車へのロータリーラインナップ拡充を断念したマツダが、ピュアスポーツ路線に転換したロータリースポーツとして、1978年に発売したモデルが、初代サバンナ RX-7(SA22C)でした。

2人乗り、あるいは2+2の4人乗り3ドアファストバッククーペとして生まれ、優れた動力性能を持ちながらも安価だったことから、日産 フェアレディZともども”プアマンズポルシェ”と呼ばれたRX-7は、ストリートだけでなくレースやラリーでも活躍しました。

リトラクブルヘッドライトを採用して空気抵抗を減らし、ロータリーエンジンでしか実現できない低いボンネット、さらにフロントミドシップのエンジンレイアウトは、それまでのロータリーエンジン搭載実用車とは全く異なる、わかりやすいスタイルのピュアスポーツだったのです。

その意味でSA22Cは、初めてロータリーエンジンを搭載したコスモ スポーツへの回帰とも言えるモデルでした。

2代目FC3Sでは少々太り、インタークーラー装備の関係もあってボンネットも高くなったものの、前置きインタークーラーに変更された3代目FD3Sでは、再びボンネット高の低い流麗なボディとなり、これがロータリーファンにとっての”RX-7最後の姿”として、現在まで目に焼き付けられているのです。

FD3Sの後継になれなかったRX-01

環境性能に厳しいFD3Sの後継車の開発は、早くから進められていました。決まっていたのは、燃費向上のため13Bロータリーからターボチャージャーを廃し、NAに回帰してさらに吸排気ともペリヘラルポートからサイドポート化、高回転型パワーユニットとした新しい13B RENESIS REを搭載すること。

NA化によって低下するパワーとトルクを補うため、後継車は運動性能の向上を目的としたコントロール性の高いマシンとして開発されることになります。

そのパッケージは、NAドライサンプ化でコンパクトになったエンジンを、さらに後ろに、低くマウントし、その他の重量物も徹底してホイールベース内に配置することで、重量物によるヨーモーメントを低減。

また足回りも、バネ下重量低減のためにアルミ製ブレーキローター/キャリパー、マグネシウムホイール、FD3Sから引き続き採用する4輪ダブルウィッシュボーン形式のアルミ製サスペンションなどを採用。サスペンションジオメトリーを始め、マツダの考えるピュアスポーツを実現するため、あらゆる技術が注ぎ込まれていました。

こうして1995年の東京モーターショーに出品された新型ロータリーピュアスポーツ、マツダ RX-01は、メディアなどによる試乗会まで開催され、RX-7後継としてのデビューを懇願されながらお蔵入りとなってしまいました。

そして2002年9月にFD3Sは生産を終了し、マツダからロータリーピュアスポーツは消滅します。

フォードの要請で誕生したRX-8は、RX-3の系譜?

マツダはRX-01を断念したとはいえ、RX-7後継者の開発までは断念していませんでした。

当時、経営不振のマツダを傘下に収めていたフォードとしては、スポーツカーの保険が非常に高額で、プアマンズポルシェ的なポジションにあるRX-7の購買層相手では、新車を開発しても量産化できないことを知っていました。

ただし、保険会社のスポーツカーの基準は曖昧で、4ドア車であれば小型ファミリーセダンとして切り抜けられることに着眼し、後継車は4ドアセダンとして作り直されたのです。それが、RX-8でした。
それ単体では開かず、フロントドアを開けて初めてリアシートにアクセスできるミニマムなリアドアなど、4ドアセダンというよりは限りなく2+2ドアスポーツとでも呼べるものでしたが、家族4人が乗れる十分なスペースを持ったキャビンに、最新の衝突安全性を実現するための補強も加えた結果、コンセプトモデルのRX-01より車重は200kg以上重くなっていました。

エンジンはRENESIS REを熟成し、220psから250psにパワーアップして搭載。とはいえ、”ロータリーロケット”と言われた13Bターボ搭載のRX-7を知っているロータリーファンの間では、ピュアスポーツとしてならともかく、スポーツカーと呼んでいいものかどうか議論が分かれました。

実際、過去には4ドアでファミリー用途に使えるRX-3(日本名サバンナ)やルーチェなどがあったので、RX-8はコスモスポーツやRX-7直系というより、RX-3(サバンナ)の系譜に属するスポーツセダンまたはスポーツクーペと言ったほうが正しいのかもしれません。
当時は賛否両論あったものの、RX-8以降、マツダはロータリーエンジンを搭載した市販車を世に送り出していません。はたして、次のロータリーエンジン市販車は、どんな姿で登場するのでしょうか。楽しみですね。

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