車のルーフについている、サメのひれのような出っ張り。これってなに?

シャークフィンアンテナ

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クルマのルーフについている三角形の出っ張り。これは、「シャークフィン」と呼ばれ、直訳すると「サメのひれ」。シャークフィンという名称は、もともとF1で採用された空力アイテムに由来しています。では、このシャークフィンの役割とは何でしょう。

文・吉川賢一
Chapter
シャークフィンはF1から始まった
シャークフィンのメリット
耐久マシンはシャークフィン搭載が義務
乗用車についているのは、シャークフィンアンテナ

シャークフィンはF1から始まった

2017年シーズンのF1マシンには、車の後方側面のエンジンカバーからリアウィングにかけて、カーナンバーと巨大なスポンサー広告が描かれたシャークフィンが装着されていました。

このシャークフィンがF1に初めて登場したのは2008年、レッドブルのRB4が、リアウィングに当たる乱流を制御するために採用しました。F1の規約変更にともない、2010年を最後に一度その姿を消しましたが、2017年になって復活。

シンガポールGPでは、フォース・インディアが、先端に細かいうろこ状のパーツをつけたシャークフィンを搭載し、コーナリング時の気流制御に効果的だと評判になりました。

しかし、ふたたび2018年からはレギュレーションで禁止され、今シーズンは見ることができません。

シャークフィンのメリット

シャークフィンには、フロントウィングやサスペンションで跳ね上げられて乱れた気流を、リアウィングに当たる前に整え、リアのダウンフォースを増加させる役目があります。

特に、コーナリング中にサイドから流れてくる気流を安定させてくれることで、マシンを制御しやすくなると言われています。

ドライバーによると「シャークフィンを搭載したマシンの方が、リアが安定している」とのことで、その効果は確実に感じられるようです。

耐久マシンはシャークフィン搭載が義務

1999年のル・マン24時間レースにて、メルセデス・ベンツCLRが、予選、決勝前練習走行、決勝レースと、3回続けてエアボーンクラッシュを起こしました。これは、車体底部に風が入り込み、車体が浮き上がってしまう事故です。

その後、2010年にもマシンが宙を舞う事故が発生。翌年からLMPクラスのマシンには、シャークフィンの設置が義務付けられることになります。

耐久マシンにおけるシャークフィンは、車両のスピン時にエアダムスポイラーとして機能し、空気の抵抗を利用して、車体が浮き上がり、簡単にスピンするのを防ぐ働きがあることから、この事故をきっかけに巨大なシャークフィンが義務付けられることになりました。

乗用車についているのは、シャークフィンアンテナ

最近の乗用車には、ルーフの後方に、小さなシャークフィンアンテナが取り付けられています。このシャークフィンアンテナのなかには、渦巻き型のコイルと電子基板が組み込まれており、山間部やビル街など、さまざまな電波環境のなかを移動するクルマでも、安定して電波を受信することができるようになっています。

シャークフィンアンテナは固定式ですので、洗車時や屋内駐車場に入れる際に、折り曲げたり引っ込める必要はありません。さらに、車のシルエットにスッキリとなじんでいる点も利点です。

また、その効果は小さいですが、シャークフィンアンテナは、F1におけるシャークフィン同様、車両の安定性向上にも役立っています。飛行機の垂直尾翼によって、機体が左右に揺れてしまうのを抑制する役目をもっているように、シャークフィンアンテナも気流を左右に流すため、車両後部が左右に揺れるのを防ぐ効果があるといいます。

F1と乗用車では、見た目も大きさも、さらに使用する目的も異なりますが、クルマを安定させるために重要なパーツであることに変わりありません。乗用車ではその効果を感じられないかもしれませんが、小粒でもピリリと効く「空力アイテム」なのです。

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