PCにデータを飛ばせるトルクレンチ

アヘッドトルクレンチ MAC

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トルクレンチというものをご存じだろうか。今どれぐらいの力でボルトやナットを締めているのかを数値で示す測定具の一種だ。お馴染みなのはクルマのホイールを組み付けるときだろう。ホイールナットを締め付けた最後の仕上げでカチッと音をさせているのを見たことがある方も多いはずだ。

text:近藤暁史 photo:長谷川徹 [aheadアーカイブス vol.156 2015年11月号]
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PCにデータを飛ばせるトルクレンチ

PCにデータを飛ばせるトルクレンチ

●9.5sqデジラチェ[メモルク]無線ホストモジュールセット
品番:TGED060R3Z
小売参考価格:¥200,000(税別)
問い合わせ:KTCお客様窓口 0774(46)4159

ジラチェ「メモルク」シリーズは基本的に業務用として開発された。実際に日立製作所が新幹線の生産現場でメモルクを導入してトルク管理を行っている。ちなみに新幹線1編成(16両)に、約2万本ものボルトが使われているという。


トルクレンチを使う目的は正確な締め付けを行うことなのだが、実情としては整備のプロでも日常的な整備ではトルクレンチを使わず、昔ながらの勘に頼っていることが多い。

また、先のホイールの組み付けでも、カチッを2回鳴らすなど、間違った使い方をしている場合もある。

そもそも締め付けトルクをなぜ管理しなくてはならないのだろうか。

ボルトやナットというのは、ただって摩擦などで固定されているのではなく、ネジ山同士が引っ張り合うことで部品を接合させている。その引っ張る力が微妙かつ重要で、それを保つには正確なトルク管理が欠かせない。

そしてそれは、クルマ全体の精度にも関わってくる。昔のクルマならいざしらず、最新のクルマともなると高精度で各部は組み上げられていて、勘に頼る余地はないというのが正直なところであり、管理はシビアになるばかりだ。
しかしプロと言われる人たちでも締めすぎている傾向にある。正確なトルク管理というのはエンジンの調子にも大いに関係してくるので、トルクレンチの使用は大前提にしてほしい。

それほど大切なトルク管理の強い味方が、KTCがリリースする「デジラチェ」だ。ラチェットレンチにトルク計測機能が付いている点がポイントで、トルクレンチのようにトルクだけを測る専用品ではない。

使う頻度の多いラチェットレンチでトルクが測れるのだから気軽に使えて常にトルクを計測することができる。管理をより簡単にできるようになるというわけだ。

そしてさらに先をゆく新アイテムが登場した。それがデジラチェ「メモルク」だ。メモルクは、無線もしくは有線でPCにデータ転送して作業管理ができることが新しい。

PCと繋がることによって作業した時間や締め付けトルクの数値などを保存したり出力したりすることが容易になった。PCに繋がなくても本体だけで最大200件も記録されるのでトラブルが発生したとしても原因の究明に役立つはずだ。

知らないうちにトルク管理を促す工具が充実してきたことには驚かされた。それだけトルク管理がシビアになってきたということなのだろう。少しでも自分でメンテナンスをするひとなら、普通のデジラチェでも十分なので使ってみてほしい。

一度でも締め付けトルクを数値にしてみるとトルクレンチがないメンテナンスは物足りなくなると思う。簡単な作業だけでもいいし、自転車が好きなら自転車の整備に使ってもいい。またタイヤ交換をプロにお願いしたときに、一緒にチェックしてみるのにもお勧めだ。

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text:近藤暁史/Akifumi Kondo
エンジンのOHから全て自分でやるエンスー自動車ライター&ケミカル&カーケアグッズ評論家。愛車は19歳の時に買ったFIAT500。次々に登場するケミカル&カーケアグッズは使ってみないことには気が済まない、正真正銘メンテナンス馬鹿一代である。
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