オンナにとってクルマとは? 赤信号ブルー vol.69

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どういうわけか、やけに今日は赤信号に引っ掛かるなぁ、なんていう日は、それだけで少し憂鬱な気分になりがちだ。時には、こちらが停まっているのにクルマも歩行者もまったく通過しなかったりして、なんのための信号待ちだったのかとよけいに腹立たしい。

text:まるも亜希子 [aheadアーカイブス vol.163 2016年6月号]

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オンナにとってクルマとは? 赤信号ブルー vol.69

オンナにとってクルマとは? 赤信号ブルー vol.69

こんなことが続くと、欧米で導入が進んでいるラウンドアバウト(円形交差点)なら、こうした無駄な待ち時間がなくなるのに、との思いが強くなる。

日本でも2014年から本格的な導入促進に向けての実証実験がスタートしていて、ラウンドアバウトを設置してからの1年間、死亡・重傷事故は1件も起こっておらず、混乱なく順調に機能していると聞く。

交差点を直進しないので自然と速度が抑えられることや、出会い頭の衝突がなくなることが大きな要因。信号に頼らず、ドライバーが緊張感をもって安全確認をすることも、事故軽減につながっているのだと思う。

ただ、私は欧州のラウンドアバウトでヒヤリとした経験が忘れられない。それは、延々と田舎道を走ってきたあとに、住宅地のラウンドアバウトにさしかかった時だった。

それまではクルマとバイクしかいなかったから、歩行者の存在がすっかり頭から抜けていたのか、ラウンドアバウトを横断しようとする歩行者にハッとして、急ブレーキを踏むことになったのだった。

一部では進入前に一時停止を義務づけているラウンドアバウトもあるけれど、多くは止まらずに進入できるスタイル。

歩行者はクルマが来ないことを確認すれば、いつでも横断歩道を渡っていいことになるけれど、ウインカーも出さず急に曲がってくるクルマがいないとも限らない。

安全に横断できるかどうかの判断を、大人ならともかく子どもが確実にできるのだろうか。自分が子どもを持つ身になってみると、想像しただけで心臓がバクバクしてしまう。

実際に、長野県の軽井沢町や飯田市に設置されたラウンドアバウト利用者のアンケートを見ると、「以前より危険を感じる」と答えた歩行者も目立つ。

結局のところ、クルマにとっての利点が多いラウンドアバウトも、歩行者の立場になれば、クルマとクロスして渡らなければならず、どちらかの不注意で危険にさらされるリスクは既存の交差点と同じ。

それならば、スクランブル交差点のように赤信号で全てのクルマを止め、歩行者だけが横断できる方がよっぽど安心だ。そう、私を憂鬱にするのはあくまで無駄な赤信号。クルマも歩行者も、みんなが安全にスムーズに交差点を通過できるよう、もっとうまく赤信号を使って欲しいと思うのだった。

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●まるも亜希子/Akiko Marumo
エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集者を経て、カーライフジャーナリストとして独立。
ファミリーや女性に対するクルマの魅力解説には定評があり、雑誌やWeb、トークショーなど幅広い分野で活躍中。国際ラリーや国内耐久レースなどモータースポーツにも参戦している。
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