Letter From Mom 夫とこどもとクルマたち vol.5 贅沢なキャンプ

2歳の夏を迎えた娘に、なるべく自然と触れ合う時間を作ってあげたいと思い始めたのは、少し前のこと。公園へは毎日のように行っているけれど、砂場で汚れた手に嫌な顔をし、虫が寄ってくれば逃げ回り、風で帽子が飛べばヘソを曲げ、もう帰ろうなどと言う。外が苦手というわけではなさそうなのに、時間を忘れて夢中で遊ぶ姿がなかなか見られず、ちょっと心配になっていたのだった。

text:まるも亜希子 [aheadアーカイブス vol.177 2017年8月号]

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vol.5 贅沢なキャンプ
アヘッド Letter From Mom

vol.5 贅沢なキャンプ

できればキャンプ場でBBQでもしてみたいが、よく考えるとけっこうハードルが高い。道具を1から揃え、それを使いこなす術を身につけなければならないし、クルマに積むところから現地でのセッティング、食材の調達から調理、後片付け。

夫も私もアウトドア経験はあまりなく、それをすべて自分たちでやると想像しただけでゲンナリしてくる。

そんな時、「グランピングを体験してみませんか」とお誘いが。今、世界中で流行しているというグランピングは、グラマラスとキャンピングをかけた造語で「贅沢なキャンプ」を意味するらしい。

自然の中で、ホテルに泊まるようなサービスを受けながらキャンプができる、と聞いてもなんだかピンとこなかったが、道具は何もいらないから手ぶらでどうぞと言われ、出かけてみた。

整備された道でたどり着いた森の中に、ぽっかりと空いた広場には白く大きなテントが並び、まるで異国へ迷い込んだかのよう。テントの前にはテーブルやBBQコンロ、ハンモックや焚き火用のファイヤーピットが置かれていて、クルマはそのすぐ脇に停められる。

テントの中を覗くと、ふかふかのベッドにソファ、冷蔵庫やヒーター、湯沸かし器などが揃って居心地良さそうだ。娘は早くもキャーキャー言いながらそこら中を駆け回り、あまりノリ気じゃなかった夫も娘を追いかけ回して遊んでいる。

その間にスタッフが食材や調理道具などを届けがてら、コンロの炭火を起こしてくれた。調理は野菜を切るくらいのもので、ほとんど焼くだけのラクラクBBQ。家では飲むヒマもないビールまで開けて、久しぶりにゆっくりと食事を堪能した上に、後片付けはまたスタッフにお任せできるのが、本当にありがたかった。

テントに入ると、降り出した雨の音が手に取るように聞こえてくる。娘は「あめがふってるね」と何度も言い、テントの中に迷い込んできた蛾を見ても動じない。ほんの数時間なのに、ちょっと頼もしく思えるのはやっぱり自然のチカラだろうか。

眠りについた娘を見ながら、来てよかったとしみじみ思った。それに、まだ2歳だと寝袋を使うのは難しいから、ベッドで眠れるグランピングは小さな子どものいるファミリーでもトライしやすい。

こうして、何歳からでも自然の中で過ごす時間を楽しめること。そして大荷物が必要ないから、たとえオープンカーでも出かけられること。ただラクができるだけでなく、グランピングの「贅沢」はどんな人にもどんなクルマにも、自然を身近にしてくれる魅力もあるのだなと感じた。

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text:まるも亜希子/Akiko Marumo
エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集者を経て、カーライフジャーナリストとして独立。
ファミリーや女性に対するクルマの魅力解説には定評があり、雑誌やWeb、トークショーなど幅広い分野で活躍中。国際ラリーや国内耐久レースなどモータースポーツにも参戦している。

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