いい大人が乗ってもさまになる HONDA CRF250RALLY
更新日:2024.09.09
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このバイクはいわば「ラリー・レプリカ」である。2013年にダカールラリーに復帰したホンダのファクトリーチーム、HRCのCRF450ラリーのスタイリングをできるだけ忠実に再現し、250㏄というリーズナブルな排気量クラスで商品化した。写真で見るより実物はずっとカッコいい。
text:春木久史 photo:齋藤真奈 [aheadアーカイブス vol.172 2017年3月号]
text:春木久史 photo:齋藤真奈 [aheadアーカイブス vol.172 2017年3月号]
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いい大人が乗ってもさまになる HONDA CRF250RALLY
▶︎プレス発表の場には、CRF250RALLYと一緒に、2017年のダカールを走り、戻ったばかりのファクトリーマシン CRF450RALLYも展示された。並べてみても決して見劣りしない車格がこのバイクの魅力だ。
ぼくはオフロードの専門家なので、この種のモノには少々うるさいのだが、このバイクにはがっかり感を覚えずに済む。
4スト250㏄単気筒。ますます厳しくなっている排出ガス規制が出力に与える影響は、排気量が小さいほど顕著で、それゆえ本物のラリーバイクの走りとは程遠いことが分かってはいても、それでも欲しくなるようなスタイリングの魅力がある。
このバイクの原型が登場したのは2015年の東京モーターサイクルショーだ。すでに発売されていたトレールモデルのCRF250Lをダカールラリー風にカスタムしたコンセプトモデルとして注目を集めた。
これが「かっこいい」と評判になって商品化につながっていくのだが、昨今、SNSの時代である。「どうせ市販される時には、似ても似つかないバイクになっているよ」「ホンダのような大きな会社では無理だ」と言いたい放題。しかし開発者もニンゲンである。しかも揃ってバイク好きだ。
開発チームを率いる杉山栄治氏(彼もオフロードレーサーだ)は言う。「絶対、このままの形で出してやるって思いました。意地ですね」 ラリー車のスタイリング的な特徴を維持するため、あえてリアサスを長くして車高を上げてしまったところなど、なかなか。
必然的にシート高が上がって、一般的なライダーには扱いにくくなってしまうところだが、その分ソフトなセッティングで乗車時の足つき性を確保。さらにローダウン仕様を別に設定してまで、オリジナルを維持することにこだわった。
「カッコ良さ」への執着は、細部に至り、それがこのバイクを一種の本物にしているのだ。
一般的にこの手のバイクは「オフロードバイク」と呼ばれるが、正しくは「オフロードも走れる」という意味であり、道を選ばずどこにでも行ける乗り物と位置づけられる。
かつて、若者にとって乗り物とは、自分の世界を拡げてくれる夢のツールであり、オフロードバイクはその中でも先駆的な存在だった。
だからあらゆるニーズに合わせ、50㏄から600㏄超まで、各メーカーに10機種ものラインアップが用意され、それぞれに輝きを放っていたものだが、今はわずか2〜3機種だ。
だが、作り手がその1台に込める情熱は決して小さくなっていない。ちょうど1年前に発売されたCRF1000Lアフリカツインに続けて、そう思わせてくれるバイクに出会った。
ぼくはオフロードの専門家なので、この種のモノには少々うるさいのだが、このバイクにはがっかり感を覚えずに済む。
4スト250㏄単気筒。ますます厳しくなっている排出ガス規制が出力に与える影響は、排気量が小さいほど顕著で、それゆえ本物のラリーバイクの走りとは程遠いことが分かってはいても、それでも欲しくなるようなスタイリングの魅力がある。
このバイクの原型が登場したのは2015年の東京モーターサイクルショーだ。すでに発売されていたトレールモデルのCRF250Lをダカールラリー風にカスタムしたコンセプトモデルとして注目を集めた。
これが「かっこいい」と評判になって商品化につながっていくのだが、昨今、SNSの時代である。「どうせ市販される時には、似ても似つかないバイクになっているよ」「ホンダのような大きな会社では無理だ」と言いたい放題。しかし開発者もニンゲンである。しかも揃ってバイク好きだ。
開発チームを率いる杉山栄治氏(彼もオフロードレーサーだ)は言う。「絶対、このままの形で出してやるって思いました。意地ですね」 ラリー車のスタイリング的な特徴を維持するため、あえてリアサスを長くして車高を上げてしまったところなど、なかなか。
必然的にシート高が上がって、一般的なライダーには扱いにくくなってしまうところだが、その分ソフトなセッティングで乗車時の足つき性を確保。さらにローダウン仕様を別に設定してまで、オリジナルを維持することにこだわった。
「カッコ良さ」への執着は、細部に至り、それがこのバイクを一種の本物にしているのだ。
一般的にこの手のバイクは「オフロードバイク」と呼ばれるが、正しくは「オフロードも走れる」という意味であり、道を選ばずどこにでも行ける乗り物と位置づけられる。
かつて、若者にとって乗り物とは、自分の世界を拡げてくれる夢のツールであり、オフロードバイクはその中でも先駆的な存在だった。
だからあらゆるニーズに合わせ、50㏄から600㏄超まで、各メーカーに10機種ものラインアップが用意され、それぞれに輝きを放っていたものだが、今はわずか2〜3機種だ。
だが、作り手がその1台に込める情熱は決して小さくなっていない。ちょうど1年前に発売されたCRF1000Lアフリカツインに続けて、そう思わせてくれるバイクに出会った。
▶︎吸排気系の設計変更で、前モデルのCRF250Lよりも約1kwピークパワーが向上。極低回転でのパワー・トルクも増え、レスポンスも向上。オフロードでの軽快な走りにつながっている。
▶︎ラリーバイクのスタイリングは、ツーリングの実用性能にもつながっている。特にウインドプロテクションは良好で、高速走行も快適だ。
CRF250 RALLY
価格:¥648,000(税込)/¥702,000(税込、ABS装備)
いずれも前後サスを変更してシート高を65㎜下げたローダウン仕様あり。
総排気量:249cc
最高出力:18kW(24ps)/8,500rpm
最大トルク:23Nm(2.3kgm)/6,750rpm
CRF250 RALLY
価格:¥648,000(税込)/¥702,000(税込、ABS装備)
いずれも前後サスを変更してシート高を65㎜下げたローダウン仕様あり。
総排気量:249cc
最高出力:18kW(24ps)/8,500rpm
最大トルク:23Nm(2.3kgm)/6,750rpm
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text:春木久史/Hisashi Haruki
1966年生 北海道在住 ビッグタンクマガジン編集長、frmシニアエディター。自らラリー、エンデューロに出場しながら各誌にレポートを寄稿。戦績: 2006年ISDEニュージーランド大会ブロンズメダル、2001年ラリーモンゴリア総合3位、2006年北京〜ウランバートルラリー市販車部門優勝、2007年ファラオラリー完走ほか。現在の愛車はKTM690ENDURO-R、Husqvarna TE449、KTM250SXF
text:春木久史/Hisashi Haruki
1966年生 北海道在住 ビッグタンクマガジン編集長、frmシニアエディター。自らラリー、エンデューロに出場しながら各誌にレポートを寄稿。戦績: 2006年ISDEニュージーランド大会ブロンズメダル、2001年ラリーモンゴリア総合3位、2006年北京〜ウランバートルラリー市販車部門優勝、2007年ファラオラリー完走ほか。現在の愛車はKTM690ENDURO-R、Husqvarna TE449、KTM250SXF