じつはガルウイングドアを持っていたトヨタ車。セラって、どんな車?

トヨタ セラ

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今回は、トヨタの中でも珍しい特徴を持つセラ(E-EXY10)とはどんなクルマなのかを紹介します。

長らく「80点主義」と評されるでクルマを作ってきたトヨタにも、時々これはどうしたのかと目を見張りたくなるようなクルマが登場することがあります。そんなトヨタらしからぬクルマの代表といえば、このセラをおいて他にはありません。
Chapter
トヨタ セラの概要・歴史について
トヨタ セラの特徴的なエクステリア
トヨタ セラのインテリアはどうなっている?
気になる⾛⾏性能は?
燃費・維持費は?
中古相場について

トヨタ セラの概要・歴史について

初代セラは、トヨタが1990年に発売した3ドアクーペです。

当時、トヨタでは北米で女性が通勤・通学用途に用いるセレクタリーカー需要を満たすため、サイノスという1,300~1,500ccの2ドアクーペを販売していました。サイノス自体がタコツーシリーズ(ターセル、コルサ、カローラII)をベースに生産された派生モデルだったのですが、セラはそのサイノスの派生型になります。

ただし、普通のクルマと言えるのはそこまでで、なんとセラは左右ドアにバタフライドアを採用していたのです。

バタフライドアとは、一般的に「ガルウイングドア」とまとめて呼ばれる、上方に開くドアの一種で、前上方に向かってガバっと開き、左右ドアを全開にすれば羽を広げた蝶のようになります。

トヨタのイメージ向上のため、若手エンジニアのアイデアを採用して好きに作らせた結果こうなったらしく、このバタフライドアと、全体がガラスのキャノピーとも言えるエクステリアが、最大の特徴でした。

トヨタ セラの特徴的なエクステリア

全体のエクステリア(外装)は、ドアを閉めていれば柔らかい流線型で構成され、優しそうな雰囲気に溢れています。しかし、最大の特徴となるバタフライドアを開けばその雰囲気は一気に変わります。バタフライドアとは、一般的に「ガルウイングドア」とまとめて呼ばれる、上方に開くドアの一種です。前上方に向かってガバっと開き、左右ドアを全開にすれば羽を広げた蝶のようになります。

このバタフライドアは乗降時のスペース確保に困りそうですが、セラの場合では、上方向に61.47cm、横方向に42.74cmしか広がらない設計になっているので、天井が187.5cm以上、隣のクルマとの間が42.74cmあれば立体駐車場に入れることが可能です。

ただ、ドアを開閉するときには、注意が必要になります。植え込みがある場所に停止し、助手席のドアを開いたりする場合には、道路標識や街路樹に当てたりこすったりして傷つけてしまうリスクは高いので、ドアを開くときにはかなり気をつかう必要があるでしょう。

重たいドアの開閉には困らぬよう、ダンパーを使っていたり、ヒジで押し上げるためのくぼみや、閉める際につかむグリップが備えられており、トヨタらしく使い勝手が考えられた、良好なつくりになっています。

ドアを開けばその瞬間に注目の的になりますが、その後落胆されます。理由は、ガラスエリア以外はごくごく普通のコンパクトな3ドアハッチバッククーペであり、期待される特徴的な装飾があまり無いからです。要するに、サイノスを丸くしただけの地味なクルマなのです。

トヨタ セラのインテリアはどうなっている?

セラはガラス面積が大きいため、車内は丸見えになります。ステレオやスイッチなどインパネ部分は全体的に丸みのあるデザインを採用。見られることを想定してつくられているので、けっしておしゃれではないというわけではないのですが、エクステリアのインパクトを考えると、無難にまとまっている印象を受けます。

そして、このガラスエリアが大きいことでコクピットの頭上はオープンカーのような開放感もありますが、風を感じることはありません。

あまりにも広いガラス面積のため。陽光にはあぶられ寒い時は一気に熱が逃げるという特徴もあることから、車格に対して容量の大きいエアコンが搭載され、快適性を増す努力が行われています。

現代ならば紫外線を防ぐUVカットフィルムや、熱源である赤外線を防ぐIRカットフィルムなどを施工すれば、より快適な車内となるでしょう。

また、フロントシートはセミバケットシートが採用されており、ゆったりとしたスペースも確保されています。しかし、リアシート側にはフロントシートほどのスペースが用意されていません。そのため、4人乗り仕様ではありますが、リアシートは荷物を置くスペースとしての利用がメインと考えた方が無難です。

気になる⾛⾏性能は?

エンジンは、1.5L 直4DOHCの5E-FHEで、サイノスと同じ高出力型ハイメカツインカムです。とはいえ、最高出力110psと単なる実用エンジンには違いないので、走行性能に関して特筆すべきことはなにもありません。

そのため、セラをスポーティにしようとして、スターレット用4E-FTEターボエンジンから流用したタービンやインタークーラーを装着した「セラ・ターボ」へとカスタマイズするオーナーもいました。

ハンドリングに関しては、上部が重たいトップヘビー傾向があり、横転などを防ぐためにリアのロールセンターがサイノスより高められています。

その他は、あくまで雰囲気を味わうクルマのため、特別優秀、あるいは特徴があるわけでも無く、トヨタの普通のクルマとして普通に走ります。

ただし、ベースを同じくしているスターレットのパーツが多用できることから、チューニングは比較的容易です。

燃費・維持費は?

初代セラの燃費はAT車が10・15モードカタログ燃費で12.0km/L、5MT車は14.6km/Lとなっています。しかしカタログ燃費ではMT車が断然勝っているにも関わらず、実燃費ではAT車が勝るというケースが多いようです。

これはおそらくドライバーの問題で、AT車のセラに乗ろうと思う人は純粋に「雰囲気を楽しむ」方向でおとなしいドライブ。対してMT車の場合は、スポーツカーとして使ってしまう人が多く、激しいドライビングを行っていると思われます。

ただし、マニュアルミッションのギア比は、1.3LやスターレットNAと同じものが使われているため、MTでも若干燃費が伸びない作りになっていることは確かです。

誤解を恐れずに言ってしまえば、ガラス張りのガルウイングドア(バラフライドア)が目的で作られたクルマとも言えます。

中古相場について

1990年からの4年間しか製造されず、日本ではあまり需要の無い平凡な走行性能のコンパクトクーペ。しかも実用性が優れるわけでも無い特異なバタフライドアということで、販売台数はそう多くはありません。

しかし珍車扱いで注目度があり、生産終了からすでに26年が経過していることから、中古車市場ではレア車となっています。

それでは現在はプレミア価格がついているのでは…と予想しますが、大手中古車情報サイトによると、たった6台しか掲載されていないレア車にも関わらず、価格はわずか85~135.2万円(2020年6月16日時点)。珍車でかつ、プレミア性のあるレア車ですから、バーゲンプライスという見方もできます。 

スターレットやタコツーのような実用車の部品で走行に必要な部分はいくらでも修理ができますし、動力性能に不満があればターボ化もできます。外装パーツを除けば修理にもまだそれほど不安はありません。比較的維持もしやすいでしょう。
ガルウィングという独特な特徴をもつトヨタ代セラ。多少実用性が劣っても、変わったクルマが欲しいと言うなら、オススメしたいクルマです。セラのような強い個性をもったクルマも今ではなかなかないので、他とは違うものを求める方にはぴったりなモデルです。
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