楽チン?スポーティ?ポルシェのセミAT、PDKの魅力とは?

MTモード付きATのティプトロニック

MTモード付きATのティプトロニック

ご存知のように、ポルシェは90年代前半にZF製のMTモード付きAT、ティプトロニックを採用し、世のメーカーがこれはカッコイイ、ということで右へならえ的にMTモード付きのATを普及し始めました。しかしこの機構はほとんどがトルコン式のAT。もちろん、ティプトロニックもそうです。

これらはオーソドックスなPRND21といった、シフトパターンの数字のギヤ部分を別な場所に設けただけとも、言えなくもありませんでした。

メカニズムはル・マンのマシンと同じ

メカニズムはル・マンのマシンと同じ

いち早く市販車にデュアルクラッチシステムを採用したのはVW・アウディグループのDSG(写真)です。

これはクラッチペダルこそないものの、れっきとしたクラッチシステムを持つミッション。クラッチを切ったりつないだりするのは機械が行いますが、構造はMTとさほど変わらないもの。そのメカニズムは1980年代のグループCカーでル・マン4連覇の偉業を成し遂げたポルシェ956や962Cと同じです。つまりポルシェこそセミATの先駆者だったのです。

玄人から素人もOK

玄人から素人もOK

そして時代は流れ、本家筋にあたるポルシェにも写真のPDKというレーシングテクノロジーが生み出したミッションが搭載されました。

その昔、納車したその日にクラッチを減らした、というようなポルシェ神話はもう昔の話。しかもこの2ペダルMTはATモードもあり、シフトレバーを操作する必要のない待乗りオバサン的な運転も可能。もちろん2ペダルゆえAT限定免許で運転できてしまうのです。

ありきたりな表現ですが今日AT限定の免許取得者がいとも簡単に400psオーバーのクルマをドライブし、プロ並のシフト操作をクルマがやってのけてくれます。しかし、ひとたびMTモードを選択し高回転までエンジンを回せば、スポーツカーの代名詞的存在のオーラを五感で感じられることになります。

自分で考えるミッション

自分で考えるミッション

特にPDKのすごいところはミッションが判断する点。どういうことか申し上げますと、直線でスピードがのった後の鋭角なコーナー。このときドライバーに求められる事はしっかり減速することだけです。

スピードの落ち方に反応しPDKはギアを落とし、旋回後の加速は絶妙なパワーバンドを使いシフトアップしてくれる。これはタイトコーナーに進入しても同じ事。タイトコーナーのそれは1速まで落ちてしまうことも。自分の心が見透かされているようで気持ち悪いやら気持ちイイやら。もちろんギアの選択を自分で行うことも可能という抜群の商品力。

不満点があるとすれば…

不満点があるとすれば……

唯一不満をあげるとすれば、ヒール&トゥが出来ないこと。ブレーキを踏みつつ、アクセルを煽って回転を合わせて低いギアに落とす、これはスポーツカー乗りには大きなマイナスかもしれません。

あるいは、一昔前のフェラーリオーナーならば誰しも出来るダブルクラッチ。クラッチをいたわる意味でもシフト操作の度にニュートラルでクラッチをつないでアクセルを入れることも必要ないのです。自分で操っている実感が乏しいといえば乏しく感じられる場面も無きにしもあらずです。

それでも気分はレーシングドライバー

それでも気分はレーシングドライバー

しかし、ル・マンレーサーを母に持つミッション、気分は962Cで総合優勝を果たしたヨアヒム・シュトゥックになりきれるような気もします。スポーツクロノパッケージ(ダッシュボード上のストップウォッチが有名)をオプションすれば6,500rpmをキープしてスタートダッシュを決められるローンチコントロールもボタン一つという安楽さ。普段使いからサーキットまでまさに万能選手です。

ポルシェの素晴らしいところのひとつが抜群の商品力にあります。日常域でも使え、サーキットユース、そし、油脂類の管理さえしていれば壊れないマシン、それがポルシェでもあります。930の頃のワイルドさからより洗練され、テクノロジーを味方につけた現在のポルシェ。最新のポルシェは最良のポルシェたる由縁かも知れません。

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