現行スバルに搭載されているボクサーエンジンはそれぞれ何が違うのか?

そもそも水平対向エンジンって何だろう?

エンジンには、燃焼室内の爆発エネルギーを受け止めて運動エネルギーへ変えるために、ピストンと呼ばれるパーツがシリンダー内を往復運動しています。
この動きがクランクシャフトを用いて回転運動に変換されるわけですが、ここで重要なのは、ピストンが往復運動をする向きと数です。

通常のエンジンは、ピストンが地面に対して上下に動くようにレイアウトされている場合が多いのですが、水平対向エンジンは地面に対して水平に動くようにレイアウトされています。
しかも単に横に寝かせているわけではなく、ピストンそれぞれが、180度反対側に動くように配されています。
もうお気づきかと思いますが、お互いの振動を打ち消す効果が大きいので、単気筒や奇数気筒のエンジンではあまりメリットがありません。

最後にこちらの動画をご覧ください。水平対向エンジンの動く様子が分かりやすくアニメーションで表現されています。
確かに、プロボクサーが水平にパンチを繰り出すような動きですね。別名ボクサーエンジンと呼ばれるのも納得できますね。

水平対向エンジンのメリット

では、スバルのエンジンの違いを語る前に、水平対向エンジンンのメリットをチェックしてみたいと思います。

・エンジンの全高を低くできるため、低重心の車両設計が可能
・ピストンが左右対称の動きをするおかげで、エンジンの潜在的な振動を打ち消すことが可能
・エンジンの全長を短く設計できる
・ピストンのバランスウエイトが不要なため、クランクシャフトにかかる負担が小さい

と、ざっとこんな感じです。重心を低くできることは、スポーツカーとしてはとても大きなメリットですね。

水平対向エンジンのデメリット

車画像

当然ながら、デメリットもあります。主に、エンジンの全幅が大きくなるために起こる弊害が目立ちます。
・エンジン幅が広くなるために、設計時に車体側、エンジン側ともに大きな制約を受ける
・上記の理由から、ロングストロークのエンジンは設計し難い
・吸気、排気のラインの取り回しが長く複雑になる
・ピストン下部は、常に重力にさらされているために、上部との摩耗スピードが異なる

と、大きなところではこんな感じです。他にも、吸排気ポートの設計に大きな制限があるので、左右のピストンをバラつきなく動かすのは高度な技術と経験が必要となります。

スバルの水平対向エンジンラインナップをご紹介!

FB16“DIT”

レヴォーグ 1.6GT系に搭載されている、スバル初のダウンサイジングエンジン。
街乗りから、長距離クルージングまで走りを妥協せずにエコに走れる万能エンジンです。

排気量は1600㏄ですが、高効率の小型タービンを採用することで、低回転から高トルクを発生いたします。
また、筒内直接噴射により空燃比を細かく制御。燃費性能も秀逸です。さらに、レギュラーガソリン仕様でお財布にもやさしいです。
最高出力 :125kW(170PS)/4800~5600rpm
最大トルク:250N・m(25.5kgf・m)/1800~4800rpm
ボア×ストローク:78.8×82.0
採用車種  レヴォーグ:1.6GT系

FA20“DIT”

レヴォーグ 2.0GT系、WRX S4、フォレスター 2.0XT系に搭載されているSUBARU初の2000㏄直噴ターボエンジンです。
全幅を広げることが難しい水平対向エンジンを直噴化にして、可変吸気ポートを装着、それをツインスクロールターボで武装しています。
現在考えうる燃焼効率を上げるための全ての機能を導入したハイテクエンジンです。そのスペックは、2000㏄の範疇を大きく超えています。

最高出力:レヴォーグ、WRX S4:221kW(300PS)/5600rpm、フォレスター:206kW(280PS)/5700rpm
最大トルク:レヴォーグ、WRX S4:400N・m(40..8kg・m)/2000~4800rpm、フォレスター:350N・m(35.7kg・m)/2000~5600rpm
ボア×ストローク:86.0×86.0
採用車種:レヴォーグ 2.0GT系、WRX S4、フォレスター 2.0XT系

FA20

SUBARU BRZ、TOYOTA 86 に搭載されている、これら2車種のために専用開発されたNAスポーツエンジンです。7000rpmまでスムースに吹け上がるそれは、高出力だけを追求したのではなく、ライトウエイトスポーツカーの楽しさや扱いやすさにこだわっています。また、水平対向エンジンのメリットを生かした、かなり全高が低いデザインとなっています。

偶然なのかは定かではありませんが、ボア×ストロークがトヨタの車名と同じ86㎜×86㎜となっています。

最高出力:147kW(200PS)/7000rpm
最大トルク:205N・m(20.9kg・m)/6400~6600rpm
ボア×ストローク:86.0×86.0
採用車種:SUBARU BRZ、TOYOTA 86

FB16/FB20/FB25

最近ほぼすべての基本設計をリニューアルしたスバルの新型BOXERエンジンです。

排気量は、1600㏄、2000㏄、2500㏄がラインナップされています。

水平対向エンジンには難しいとされるロングストローク化を実現し、低回転での高トルクを実現、また、可変バルブ機構により燃焼効率をUPさせワンランク上の高出力と低燃費性能も両立しています。スバルで最も汎用性の高いシリーズです。

例:FB20
最高出力:フォレスター:109kW(148PS)/6200rpm インプレッサ、SUBARU XV:110kW(150PS)/6200rpm SUBARU XV HYBRID:110kW(150PS)/6000rpm
最大トルク:196N・m(20.0kg・m)/4200rpm
ボア×ストローク:84.0×90.0
採用車種:フォレスター 2.0i系、インプレッサ SPORT/G4 2.0i系、SUBARU XV/HYBRID

EJ20

スバルといえばWRX。その心臓部にあたるのがスバルの技術の粋を集めたこのエンジンです。1989年に初代レガシィに搭載されて以来、基本はそのままで改良を重ね続けられました。
その結果2000㏄エンジンで300馬力を超えるそのパフォーマンスをたたき出しています。
パワー、トルク、レスポンス、冷却性そのどれをとっても2000㏄エンジンの範疇ではありません。これこそがスバルが誇る、究極の水平対向エンジンと言えます。

最高出力:227kW(308PS)/6400rpm
最大トルク:422N・m(43.0kg・m)/4400rpm
ボア×ストローク:92.0×75.0
採用車種:WRX STI

現在では自動車メーカーで水平対向エンジンを量産しているのは、ポルシェとスバルのみです。このエンジンの開発がいかに難しいか物語っています。
しかし、ポルシェとスバルは両社ともレース界では大きな功績を上げています。これは、同時に他のエンジンでは得られない価値があることを証明しています。

そんな素晴らしいエンジンを作っているメーカーが身近にある私たちは、とても幸運かもしれません。興味を持たれた方は、一度スバル車を試乗してみてはいかがでしょうか?

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