スバルの水平対向エンジンへのこだわりはいつまで続くのか?
更新日:2024.09.09
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スバルのお家芸である『水平対向エンジン』は、1969年のスバル1000から最新のフォレスターまで、脈々と受け継がれています。他メーカーが直列やV型のエンジン形式で車両開発を進めるなか、スバルはかたくなに水平対向を採用。その水平対向へのこだわりは、いつまで続いていくのでしょうか。
文・赤井福
文・赤井福
そもそも水平対向エンジンとは?
水平対向エンジンは、クランクシャフトを中心に水平かつ左右対称にピストンを配置した構造です。左右対称に配置されたピストンが、互いに慣性力を打ち消し合うことで、振動を少なくし、エンジンをスムーズに回転させることができます。また、直列エンジンやV型エンジンよりも、重心を低くことができます。
この2つの利点から、高い走行安定性と機敏なハンドリング性能を引き出すことができるのです。スバルのお家芸のもうひとつ、シンメトリカルAWDと相まって、よりスポーティで滑らかな走りを実現できます。
一方、水平対向にもデメリットがあります。まず水平対向をフロントに積む場合、横方向に広いレイアウトため、タイヤの切れ角を制限し、小回りの効くクルマを作りにくくなりますし、水平対向エンジンを製造開発しているメーカーが少なく、技術開発や競争といったことが起こりにくいため、進化が目覚ましい他メーカーのエンジンに比べて、若干、遅れをとってしまっていることです。
この2つの利点から、高い走行安定性と機敏なハンドリング性能を引き出すことができるのです。スバルのお家芸のもうひとつ、シンメトリカルAWDと相まって、よりスポーティで滑らかな走りを実現できます。
一方、水平対向にもデメリットがあります。まず水平対向をフロントに積む場合、横方向に広いレイアウトため、タイヤの切れ角を制限し、小回りの効くクルマを作りにくくなりますし、水平対向エンジンを製造開発しているメーカーが少なく、技術開発や競争といったことが起こりにくいため、進化が目覚ましい他メーカーのエンジンに比べて、若干、遅れをとってしまっていることです。
特に燃費性能に関しては、コンパクトなXVのハイブリッドモデルですら、JC08モードで19.2km/Lにとどまります。同クラスのカローラスポーツは、同じJC08モードで30km/L以上をマークしますから、ユーザーが燃費を気にする現代において、このデメリットは販売現場の悩みの種になっていることは明らかです。
販売現場はどう思っているのか?
ディーラーの営業マンに話を聞いてみると、
「水平対向を待ち望んでいるお客様はいるものの、それは既存のコアなスバリスト(スバルファン)で、その方々はスバルの新型が水平対向エンジンを積んでいれば自然と購入していきます。しかし、他メーカーからの代替えとなったときに、燃費性能や価格で比べられると、そのテーブルでは太刀打ちできないのです。一時期はアイサイトで強みを発揮しましたが、いまやどのメーカーにも同じような装備がついているので…」という回答。
このように世相と合わないクルマに対して、販売現場の不満もあるようです。
「水平対向を待ち望んでいるお客様はいるものの、それは既存のコアなスバリスト(スバルファン)で、その方々はスバルの新型が水平対向エンジンを積んでいれば自然と購入していきます。しかし、他メーカーからの代替えとなったときに、燃費性能や価格で比べられると、そのテーブルでは太刀打ちできないのです。一時期はアイサイトで強みを発揮しましたが、いまやどのメーカーにも同じような装備がついているので…」という回答。
このように世相と合わないクルマに対して、販売現場の不満もあるようです。
水平対向エンジンは今後どうなるのか?
スバルが、水平対向に見切りをつけて、すべてを直列4気筒をベースにした低燃費エンジンに移行することは、これまでスバルを支えてきたスバリストたちへの裏切りともなり、なによりもスバルのアイデンティティが消えてしまいます。
筆者は、スバルは過度な燃費競争には参加をせず、スバルとしての”個”を打ち出していけば良いと考えます。スバルの推奨する低重心と走行安定性の高さがあるのであれば、どっぷりとスポーツの方向にシフトして、尖った部分を全面に押し出していけば良いでしょう。
700万円を超えるS208が限定450台ながら即完売となりました。スバルを選ぶユーザーは、STIに代表される、スバルスポーツの進化を望んでいるのだと思います。
一般受けを狙うなら水平対向はスパッとやめる、いまのユーザーを大事にするなら、水平対向を限りなくスポーティに進化させ、購買意欲を訴求することが、水平対向エンジンとともにスバルが生きてゆく道なのではないでしょうか。
独特の文化である水平対向エンジンを消してしまうのは、クルマに携わるものとして悲しいことですが、いまのままでは水平対向どころかすべてを失ってしまいかねません。
水平対向へのこだわりは未来永劫続いていくと思いますが、イノベーションを起こさなければ、スバルも水平対向も生きていく道は閉ざされてしまうでしょう。
筆者は、スバルは過度な燃費競争には参加をせず、スバルとしての”個”を打ち出していけば良いと考えます。スバルの推奨する低重心と走行安定性の高さがあるのであれば、どっぷりとスポーツの方向にシフトして、尖った部分を全面に押し出していけば良いでしょう。
700万円を超えるS208が限定450台ながら即完売となりました。スバルを選ぶユーザーは、STIに代表される、スバルスポーツの進化を望んでいるのだと思います。
一般受けを狙うなら水平対向はスパッとやめる、いまのユーザーを大事にするなら、水平対向を限りなくスポーティに進化させ、購買意欲を訴求することが、水平対向エンジンとともにスバルが生きてゆく道なのではないでしょうか。
独特の文化である水平対向エンジンを消してしまうのは、クルマに携わるものとして悲しいことですが、いまのままでは水平対向どころかすべてを失ってしまいかねません。
水平対向へのこだわりは未来永劫続いていくと思いますが、イノベーションを起こさなければ、スバルも水平対向も生きていく道は閉ざされてしまうでしょう。
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文・赤井福
大学卒業後、金融業に従事。その後、6年間レクサスの営業マンとして自動車販売の現場に従事する。若者のクルマ離れを危惧し、ライターとしてクルマの楽しさを伝え、ネット上での情報発信を行っている。
文・赤井福
大学卒業後、金融業に従事。その後、6年間レクサスの営業マンとして自動車販売の現場に従事する。若者のクルマ離れを危惧し、ライターとしてクルマの楽しさを伝え、ネット上での情報発信を行っている。
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