忘れられないこの1台 vol.49 ホンダ アコードワゴンCE1

アヘッド ホンダ アコードワゴンCE1

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社会人になって初めてクルマ雑誌の編集に携わった20代前半の頃、すでに著名だった先生の受け売りで、ホンダ車に傾倒した。その理由は、本田宗一郎氏の不屈の精神とスポーツマインドだった。

text:緒方昌子 [aheadアーカイブス vol.127 2013年6月号]
Chapter
vol.49 ホンダ アコードワゴンCE1

vol.49 ホンダ アコードワゴンCE1

▶︎1994年3月に発売開始、1997年9月終了。2.2L SOHC16バルブ+PGM-FIエンジンを搭載する3ナンバーの上質なツアラーとして、初代のU.S.アコードワゴンに続き北米で開発・生産された。高級感のある装備と開放的な室内空間を持ち、斜めに傾斜したテールゲートやグラマラスで個性的なボディに人気爆発、ワゴンブームの火付け役となった。


話を聞かせてくれた先生は、「創業当時の会社は、小さかったけど夢があったよ。無茶だと言われる挑戦もしていてね」と、楽しそうにニコニコしていた。クルマは機械で、無機質でイマイチ好きになれないかも…そう思っていた編集者になりたての私は、「夢がある」という言葉に化学反応を起こした。

それから2台のホンダ車を乗り継ぎ、結婚・出産・シングルアゲインと、人生も慌ただしく変化した。そして娘と私を応援してくれたのは、両親や友人だけでなく、ホンダ・アコードワゴン(以後CE1)だったなあとつくづく思う。

グラマラスなCE1に一目惚れしたおかげで、バブルがはじけた後に、ドレスアップという言葉が一世風靡した90年代半ばから2006~7年頃まで、CE1が仕事に導いてくれ、クルマだけでなくアフターマーケットのいろいろなことを学ばせてくれた。

プライベートでも、たくさんの荷物が積めるワゴンは旅行やキャンプに大活躍だった。我が家のCE1の色はボルドーレッドパールで、娘が「いちごちゃん」と命名し、クルマは決して無機質なものではなく、共に人生を豊かにする相棒なんだなあと、あらためて愛着を持ったものだ。
CE1との出会いは日本での発売前の'94年2月。東京・青山のホンダに恭しく飾られたのを見てビビビっときた。居ても立ってもいられないって気持ちで予約した。当時の自分には価格も維持費も厳しいものだったが、そんな苦労もいとわないと思うほど惚れ込んだ。

肉感的なボディがセクシーで艶っぽかったし、生まれは北米だっていうところも反則だ。本物の海外ブランドではないのに、走らせてみるとトルクフルでアメリカンな香り。欧州的な洗練感とは違う存在感が、こ洒落たイメージを好む自分にぴったりだった。

また、CE1を購入当時、娘は4歳でチャイルドシートを運転席の後ろに装着して乗せていた。それまでクルマ酔い知らずの娘が、「気持ち悪いよ。ママ運転下手になったの?」と訴えた。

「えええ〜」と戸惑ったが、よく考えてみると、それまで乗っていたスポーツ色の濃いホンダ・クイントインテグラの硬い足回りに比べ、CE1はアメリカ的なゆったりソフトな味付けで、タイヤと足回りを交換したら酔わなくなった。

その経験が、チャイルドシートに座った子どもがクルマ酔いをしない足回りとかクルマ選び、ママと子どものカーライフといった方向に向かわせてくれたと、今でも感謝している。

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text:緒方昌子/Masako Ogata
自動車雑誌編集者を経てカーライフジャーナリスト に。母親の視点を活かしたクルマ購入アドバイスか らチャイルドシート指導員としてのチャイルドシート 選びまでカーライフ全般のサポートを手がける。ま た、国内外オフロードレースも好きで、8 月にはラ リー・モンゴリア 2013 に出場予定。RJC カーオブ ザイヤー選考委員。
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