プレミアムから“レーシー”へ 〜レクサスRC F

アヘッド プレミアムから“レーシー”へ 〜レクサスRC F

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レクサスといえばプレミアムなイメージが強いが、スポーティな側面をアピールする戦略に切り換えたようだ。いやもっとストレートに〝レーシー〟と言った方がいいかもしれない。そのターニングポイントとなるモデルが「RC F」だ。

text:世良耕太 [aheadアーカイブス vol.138 2014年5月号]
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プレミアムから“レーシー”へ 〜レクサスRC F

プレミアムから“レーシー”へ 〜レクサスRC F

●レクサス RC F(北米仕様)
価格:未定(2014年後半に発売予定)
全長×全幅×全高(㎜):4,705×1,850×1,390
定員:4名 エンジン:5.0ℓV型8気筒
排気量:4,969cc 最高出力:330kW(450ps)以上
最大トルク:520Nm(53kgm)以上
最高速度:270㎞/h(リミッター作動)


ベースの「RC」は'13年の東京モーターショーで初公開された。その「RC」をベースにした「RC F」は'14年のデトロイトモーターショーで発表された。「RC」は3.5ℓV6または2.5ℓハイブリッドシステムを搭載するが、「RC F」は5ℓV8を搭載。高出力のエンジンに合わせてトランスミッションやサスペンション、空力パーツなど、走行関連を中心に専用装備が投入されている。

レクサスのスポーツ性を表現する「F」のエンブレムを持つモデルには'07年にデビューした「IS F」がある。走りの性能を徹底的に磨いたモデルには違いないが、モータースポーツとは縁が薄かった。

だが、「RC F」は違う。国内ツーリングカーレース最高峰の「スーパーGT」は、'14年からドイツの「DTM」と技術規則を共有することになった。それにともない、参戦各メーカーは車両を新設計する必要に迫られたのだが、レクサスはそれまでの「SC430」に替えて「RC F」を投入したのである。

'14年後半に発売され、日本の道路を走ることになる「RC F」は、同時にレース仕様が日本のサーキットを駆け巡り、レクサスとFの称号と、「RC F」それ自体のスポーツ性をアピールして回ることになる。
▶︎ジュネーブでお披露目された「RC F GT3 コンセプト」。世界各地でのレース参戦に向け、今年はテスト走行に力を入れる。


それだけではない。3月に開催されたジュネーブモーターショーでは、GT3規格の「RC F GT3コンセプト」が発表された。'15年から正式モデルを供給するという。

FIA(国際自動車連盟)が定めるGT3規格は、「スーパーGT」や「スーパー耐久」といった日本のレースだけではなく、ドイツで開催される「ニュルブルクリンク24時間」などへの参加も可能。近年、世界的に最もにぎわっている規格であり、新型車の投入が相次いでいる。

購入後に大きな手を入れることなく、高い戦闘力が得られることから海外のプライベーターを中心に人気だ。その人気を当て込み、世界中のプレミアムブランドがGT3規格に力の入ったモデルを送り込んでいる状況だ。「ポルシェ911」しかり、「メルセデス・ベンツSLS AMG」しかり、「マクラーレンMP4-12C」しかり、といった具合である。

つまりレクサスは、国内だけでなくワールドワイドで、「RC F」を通じてレクサスの(かなりハードな)スポーツ性をアピールする決意を固めたということだ。「RC F」の活躍いかんによってはレクサスのイメージが大きく変わりそうだ。

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text:世良耕太/Kota Sera
F1ジャーナリスト/ライター&エディター。出版社勤務後、独立。F1やWEC(世界耐久選手権)を中心としたモータースポーツ、および量産車の技術面を中心に取材・編集・執筆活動を行う。近編著に『F1機械工学大全』『モータースポーツのテクノロジー2016-2017』(ともに三栄書房)、『図解自動車エンジンの技術』(ナツメ社)など。http://serakota.blog.so-net.ne.jp/
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