3気筒1リッター直噴ターボ、MQB採用のフォルクスワーゲン新型ポロ試乗記

フォルクスワーゲン ポロ

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昨2017年6月にドイツ・ベルリンにて世界初公開。日本ではこの3月20日に正式発売されたフォルクスワーゲン新型ポロ。CarMe[カーミー]では、国内デビューのひと足先にテストドライブを行うチャンスに恵まれた。
文・武田公実/Takeda Hiromi
Chapter
MQBが新型ポロにも採用された
荒れた路面でも、実に快適な走行マナー
3気筒と感じさせない新型ポロのパワーユニット

MQBが新型ポロにも採用された

新型ポロについて最も興味深いのは、車体の基本構造。いわゆる「アーキテクチャー」である。

現行ゴルフⅦを皮切りに、ミドル級4ドアクーペ「アルテオン」やSUVの「ティグアン」などにも採用されているVW/アウディのモジュラー型アーキテクチャー「MQB」が、ついにセグメントBコンパクトである新型ポロにも採用されたことは、テクノロジー面において極めて注目すべきトピックなのだ。

持ち前の軽さと剛性の高さで、既に絶大な評価を受けているMQBだが、上級モデルとスカットルを共有する構造ゆえのことなのだろうか、従来型のポロでは1,685mmだった車幅が1,750mm、いわゆる「3ナンバーサイズ」に成長した。

その分、キャビンの幅にも余裕ができたのは好ましいことなのだが、その上サイズの拡大で心配される取り回しについても、よく切れるステアリングや見切りの良さのおかげで、何らの不安は感じられない。例えば、今回のテストドライブで農村の狭い生活道路に迷い込んでも、臆することなど皆無だったのだ。

荒れた路面でも、実に快適な走行マナー

そして誰もが気になるに違いない、ドライブフィールについてもお話しせねばなるまい。

これまでのMQB採用車両にトーションビーム式のリア・サスペンションを組み合わせるのは、フォルクスワーゲンとしては新型ポロが初めての事例だろう(ティグアン前輪駆動モデルを除く)。

でも、MQBそのものの資質なのか、あるいはサスペンションチューンがより巧みになったせいなのかは定かではないが、例えばゴルフⅦと比べてもその差は筆者ていどのスキルでは体感できないレベル。荒れた路面でも、実に快適な走行マナーを見せる。
また、従来型ポロでも既に定評のあったスタビリティについてもさらなる向上を見せてくれたのだが、その一方で身のこなしの軽さも印象的。

上級モデルとアーキテクチャーを共用することから想像される重々しさは、まったく感じられない。というより、軽快なハンドリングが積極的に楽しめる一台に仕上がっていたのだ。

3気筒と感じさせない新型ポロのパワーユニット

ところで新型ポロでは、先代の4気筒1.2リッター直噴ターボから、現代のトレンドでもある3気筒、1リッター直噴ターボへと「ダウンサイジング」されたパワーユニットも注目すべきポイントだろう。

これまでの乗用車用3気筒エンジンでは、半ば常道と化していたバランサーシャフトが組み込まれていないとのことながら、乗る前に予想されていた不快なノイズの高まりや振動はついぞ感じられない。ちょっと意地悪く、深めにアクセルを踏み込んで強い負荷をかけても快適至極で、試乗に同乗していたCarMe[カーミー]富永編集長に「これってホントに4気筒じゃないの?」となんども尋ねてしまったほどだった。

加えて、実用域でのトルク感も充分。今やすっかり洗練度を増した7速DCTと相まって、街中からクルージングまで、あらゆる場面でストレスフリーなのである。
2010年にデビューし、欧州カー・オブ・ザ・イヤーおよびワールド・カー・オブ・ザ・イヤー受賞車となったフォルクスワーゲン・ポロが、完全リニューアルされた新型に移行するというのは、それだけでも大きなニュースと言えるだろう。

しかも、シャープかつ作りの良さを感じさせるエクステリアデザインや、さらに質感が向上したインテリアも含めて全方位で進化を遂げた新型ポロは、従来のコンパクトカーの常識を上書きするような出来ばえを見せてくれた。

かくしてセグメントBコンパクトの「世界基準」は、また一歩先の世界へと歩みを進めたのである。
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