故障車で公道を走るのは違反?最新の道路交通法で確認

事故車

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車が少し故障していても走って大丈夫? 一般ドライバーにとって気になる疑問です。エンジンやブレーキなど走行に重大な部品でなければ「多少の故障なら問題ないのでは」と思いがちですが、故障の種類によっては法律違反となり得ます。日本の道路交通法および道路運送車両法では、2025年時点でどのような解釈になっているのでしょうか。

CARPRIME編集部

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Chapter
車が故障したまま走るのは違反?安全基準の基本を解説
道路交通法で禁止される「違反となる車の故障」一覧
【整備不良違反①】ブレーキ・タイヤ・ハンドルなど走行装置の不具合
【整備不良違反②】ウインカー・ブレーキランプなど灯火装置の球切れ
【整備不良違反③】フロントガラス、ワイパー、ミラー等の不備
【整備不良違反④】マフラーの不備、排気ガス、エンジン不調に関する問題
違反にならない車の故障とは?走行OKなケース
車内の快適装備の不具合(パワーウインドウ・エアコンなど)
外装の小さな傷や凹みなど軽度の損傷
注意!法律違反となる可能性が高い故障ケース
エンジンチェックランプの点灯やセンサー異常
整備不良での違反点数と反則金|取締りを受けた際の罰則一覧

車が故障したまま走るのは違反?安全基準の基本を解説

日本では自動車が公道を走行するために、道路運送車両法の保安基準を満たし、いわゆる車検(継続検査)に合格している必要があります。この保安基準にはブレーキやタイヤ、灯火装置(ライト類)など走行安全に関わる項目が網羅されており、基準を満たさない車は道路交通法第62条で公道走行を禁止されています。つまり、故障の結果これら安全基準を満たせなくなった車は車検にも通らない状態であり、「公道を走れる状態ではない」ということです。そのまま運転すれば整備不良車両運転の違反に該当し、警察に検挙される可能性があります。

道路交通法で禁止される「違反となる車の故障」一覧

【整備不良違反①】ブレーキ・タイヤ・ハンドルなど走行装置の不具合

ブレーキが効かない、ブレーキパッドの摩耗が激しすぎる、タイヤの溝が極端に少ない、パワーステアリングの不調でハンドル操作が困難、クラッチが滑ってまともに発進できない等は典型です。例えば、道路運送車両の保安基準ではタイヤの溝は1.6mm以上必要と定められており、残り溝が1.6mm未満の状態で公道を走行すると、整備不良(制動装置等)違反となります。この場合、違反点数2点が加算され、反則金9,000円(普通車)が科されます。  

また、クラッチは法的にはブレーキなどの「制動装置」とは異なり、「動力伝達装置」に分類されます。しかし、クラッチ滑りによって発進が困難になるなど、交通に重大な危険を及ぼす場合は、ブレーキの不具合と同等の危険性があると見なされ、「整備不良(制動装置等)」として、同様に違反点数2点が加算、反則金9,000円(普通車)の対象となる可能性があります。ブレーキそのものの不具合やタイヤの破損・過度な摩耗など、「走る・曲がる・止まる」に直結する故障は厳禁です。

【整備不良違反②】ウインカー・ブレーキランプなど灯火装置の球切れ

ウインカー(方向指示器)やブレーキランプ、テールランプなど灯火類の球切れも違反対象です。たとえば片側のウインカーが切れて点灯しないままだと、周囲の車両や歩行者に進行方向を適切に示せず大変危険です。その状態で走行すると整備不良(尾灯等)違反となり、違反点数1点が加算され、反則金7,000円(普通車)が科されます。ブレーキランプやテールライトが片方切れている場合も同様です。  

また、夜間にヘッドライトが点灯しない状態で走行することも重大な違反ですが、これには原因によって適用される違反が異なります。ヘッドライトの故障が原因の場合は「整備不良(尾灯等)」違反(違反点数1点、反則金7,000円)に該当します。一方で、正常に機能するライトを点け忘れた場合は「無灯火違反」となり、違反点数1点が加算、反則金6,000円(普通車)が科されます。ライト類の不具合は自車の存在や意思表示が他者に伝わらず事故につながるため、見逃されないポイントです。

【整備不良違反③】フロントガラス、ワイパー、ミラー等の不備

運転者の視界確保や他者への安全性に直結するこれらの装置の不具合は、重大な整備不良違反と見なされます。

・フロントガラスの損傷
道路運送車両法の保安基準では、フロントガラスは「損傷した場合においても運転者の視野を確保できること」「容易に貫通されないこと」という二つの重要な安全原則を満たす必要があります。したがって、違反となるかどうかは、ヒビの大きさそのものよりも、その存在が運転者の視界を明確に妨げたり、ガラスの強度を著しく低下させたりする場合に判断されます。例えば、運転席の目の前にある小さなヒビでも視界を妨げると判断されれば違反となる可能性があり、最終的な判断は検査官に委ねられます。  

・ワイパーおよび洗浄液噴射装置(ウォッシャー)の不備
保安基準が求めるのは、単にワイパーが動くことだけではありません。雨天時や汚れが付着した際に、ワイパーとウォッシャー液が連動してクリアな視界を確保できる「システム」全体が正常に機能することが求められます。そのため、ワイパーゴムの著しい劣化による拭きムラや、ウォッシャー液が噴射されない状態も整備不良に該当します。  

・後写鏡(ミラー)の損傷
ドアミラーやフェンダーミラーといった車外の後写鏡は、ひび割れや著しい損傷があると後方確認が不十分となり、明確な保安基準違反です。一方で、車内のルームミラー(バックミラー)は、法律上、必ずしも装備が義務付けられているわけではありません。荷室などで後方が見えない貨物車のように、左右のドアミラーで安全が確認できる構造の車では、ルームミラーが破損していても、あるいは取り外されていても、直ちに違反とはならない場合があります。  

・車体外装の鋭利な突起物
事故でバンパーが外れて尖った部分が露出するなど、車体外装に鋭利な突起物が存在する場合も、歩行者等に傷害を与える危険性があるため保安基準違反となります。  

これらは、いずれも放置すれば整備不良と見なされ、その状態で公道を走行することは違反行為です。

【整備不良違反④】マフラーの不備、排気ガス、エンジン不調に関する問題

排気システムに関する不具合は、「騒音」と「排出ガス」という異なる二つの観点から規制されています。

・マフラーの破損・脱落(騒音の問題)
マフラーはエンジンの騒音を抑制するための「消音器」です。これが破損・脱落することで基準値を超える過大な騒音を発生させる状態は、「消音器不備」という整備不良に該当します。この場合の違反点数は2点、反則金は普通車で6,000円です。  

・排気ガス浄化機能の不全(排出ガスの問題)
一方で、「排気ガス浄化機能」は、主に排気システムに内蔵された触媒(キャタライザー)が担っています。この装置が劣化・故障し、一酸化炭素(CO)などの有害物質が基準値を超えて排出される状態は、騒音の問題とは別の「排出ガス規制」に関する保安基準違反となります。これら二つは法的に区別される問題です。  

・その他のエンジン関連の不調
エンジンの重大な不調によって「著しい振動」や異音が発生している場合も、安全な運行に支障をきたす整備不良と判断される可能性があります 。また、意図的にマフラーや触媒を取り外すといった行為は、単なる整備不良ではなく、より罰則の重い「不正改造」という犯罪行為に問われる可能性があります。

違反にならない車の故障とは?走行OKなケース

車内の快適装備の不具合(パワーウインドウ・エアコンなど)

パワーウインドウ(電動窓)が動かない、カーナビやオーディオが映らない・音が出ない、エアコンが故障して冷暖房が効かない等。これらは車両の安全な走行性能に直接関係しないため、法律上の整備不良違反には問われません。ただし快適性を損ねるため早めの修理が望ましいでしょう。

外装の小さな傷や凹みなど軽度の損傷

車体の凹みや塗装の剥がれ、小さなキズ程度で、鋭利な突起などがなく機能に影響がない場合。ドアやフェンダーが少々凹んでいる程度なら走行は問題ありません。ただし、衝突などによって金属部分が裂け、歩行者などに危害を及ぼすおそれのある鋭い突起が露出している場合は、道路運送車両法の保安基準に違反します。その場合はガムテープで応急処置をするなど、安全を確保した上で速やかに修理する必要があります。

注意!法律違反となる可能性が高い故障ケース

エンジンチェックランプの点灯やセンサー異常

エンジンチェックランプなどの警告灯が点灯した状態で公道を走行することは、法律違反となる可能性があります。2017年2月以降、エンジン、ブレーキ、エアバッグなどの主要な警告灯が点灯・点滅している車両は車検に通りません。車検に通らないということは、道路運送車両法が定める保安基準に適合していない「整備不良車両」とみなされ、その状態での運転は道路交通法で禁止されています。  

警察官が車内の警告灯を直接確認してその場で取り締まることは少ないかもしれませんが、法的には違反状態にあることに変わりはありません。放置すれば重大な故障につながるだけでなく、車検切れのまま走行してしまい、より重い「無車検運行」の罰則(違反点数6点、懲役または罰金)を受けるリスクもあるため、警告灯が点灯した際は速やかに専門家による点検・修理を行うことが極めて重要です。

整備不良での違反点数と反則金|取締りを受けた際の罰則一覧

・ブレーキやタイヤなど制動装置等違反の罰則
 
違反点数2点。反則金は車種によって異なり、大型車12,000円、普通車9,000円、二輪車7,000円、原付6,000円です。例:ブレーキの不調、スリップサインが出たタイヤでの走行など。  

 
・ウインカー・テールランプの灯火類違反の罰則
 
違反点数1点。反則金は車種によって異なり、大型車9,000円、普通車7,000円、二輪車6,000円、原付5,000円です。例:ウインカーやブレーキランプ、ヘッドライトなどの球切れ。  

 
・マフラーの故障による消音器不備違反の罰則
 
違反点数2点。反則金は車種によって異なり、大型車7,000円、普通車6,000円、二輪車6,000円、原付5,000円です。例:マフラーの取り外しや破損による騒音。  

 
・ヘッドライト無点灯による無灯火違反の罰則
 
違反点数1点。反則金は車種によって異なり、大型車7,000円、普通車6,000円、二輪車6,000円、原付5,000円です。これは、夜間やトンネル内などでライトを点灯させなかった場合の違反で、ライトの球切れなどの整備不良(灯火類違反)とは区別されます。
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