ツインターボとツインスクロールターボの違いとは?

トヨタ スープラ 2.5GT ツインターボ

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若い方だと、ターボという装置は耳慣れないかもしれません。しかし、アラフォー世代にとってはすでに馴染みのデバイスです。そんなターボが、ここ数年、復権をはたしているようなのですが、最近はツインターボ、ツインスクロールターボ、あるいはツインエントリーターボ、ツインパワーターボなど、メーカー、エンジンによって違った呼び名となっています。それらはそれぞれどう違うのか?似ているようで似ていない、これらターボチャージャーについて注目してみたいと思います。
Chapter
ターボチャージャーいろいろ
ツインターボはターボを2つ備えたもの
ツインスクロール、ツインエントリーは排気導入通路が2つあるターボを1つ備えたもの

ターボチャージャーいろいろ

アラフォー世代以上の方がイメージするターボチャージャーと、現代のターボチャージャーでは、シリンダーへの充填効率を高め出力を得ようという、仕組み上の考え方においては同じですが、その目的が違っています。

現代のターボは、エンジン排気量を小さくして燃費とパワーを得ようという効率最優先で、以前のガソリン大食いの大食漢からヘルシーな体質へと変化を遂げました。

呼び名の違いですが、簡単に言ってしまうとツインターボというのは、ターボチャージャーを2基備えているもの。

一方、ツインスクロール、ツインエントリーと冠されたシステムではタービンはひとつ。タービンが必要とする排気エネルギーを効率よくコントロールするために、2系統の排気エネルギー導入回路を持つものです。

ターボチャージャーは排気ガスによってタービンを回します。それをうまく効率よく回すために、工夫を凝らしたものということですね。

ちなみにツインパワーターボはBMWが使っている呼称で、ツインパワーはエンジンの機構(直噴と可変バルブ)を指しています。

ツインターボとツインスクロール、ツインエントリー、ツインパワーは、大雑把にこのように大別できると思います。

ツインターボはターボを2つ備えたもの

ターボチャージャーを2つに分ける目的は、マルチシリンダーやV型、水平対向において効率良く力を発揮させるためです。

たとえば6気筒で3気筒ごとにそれぞれタービンを配置することができれば、タービンは小型化が可能で、それより質量が軽くなることでフリクションも低減、低速からレスポンスの良い効きを味わえるといったメリットが挙げられます。

日本で初めてツインターボを搭載したGA70スープラやGZ20ソアラ、GX71/81マークⅡなどのGTツインターボ(直列6気筒)はまさにこの狙いでした。

当時、トヨタ自動車はライバルの日産自動車がターボエンジン車を実用化してからというもの、ターボ車のターボラグを徹底して嫌っていましたから、その結果、アクセル操作に遅れの少ない、レスポンス重視のツインターボという構成に行き着いたのでしょう。

またこれらとは別に、シーケンシャルツインターボというものがあります。これは、2基のターボチャージャーを2段階で作動させるもので、低速時域と、高速域にの高負荷時に、それぞれ専用のタービンを備えています。これもまた別の考え方に基づいたツインターボです。マツダのロータリー13B-REWなどがその代表例と言えます。

また日産のVG30DETTを搭載したフェアレディZでは、V型配置のシリンダーのバンクごとにターボチャージャーを配置し、左右別系統の給排気を持つというユニークな構成。しかしこの方式を得てフェアレディZのツインターボ車は、輸出仕様で300psという高出力を得ることに成功しています。

現代の環境対応エンジンにおいても、このツインターボは存在しています。ターボ1つでいくのか2つでいくのかは、各社まちまちですが、ツインターボとなるとやはり排気量の大きい、マルチシリンダーという傾向がありそうです。

ツインスクロール、ツインエントリーは排気導入通路が2つあるターボを1つ備えたもの

昨今の環境対応ターボエンジンでは、ツインスクロール、ツインエントリーといったサブネーム(?)付きシングルターボを多く目にします。

排気の力で片側のタービンを回転させて、それと対になった吸気側のコンプレッサーがまわり、圧縮した空気をエンジンに送るターボチャージャーは、タービンの回し方ひとつで出力特性は大きく変化し、この部分がターボエンジンの調整のしどころというわけです。

そこで、タービンへの排気導入経路を2つにして、低回転での立ち上がりを改善したものが、ツインスクロール、またはツインエントリーターボというものです。

昨今の環境対応ターボ車の多くが、たとえば1,500~4,500回転などの広い回転域で高いトルクを得ているのはこのあたりに秘密がありそうです。

このおかげで走りの印象はドカーンと爆発的に力を発揮するというより、どの回転からもモリモリと力を発揮する、言い換えれば排気量が上がったような印象。ダウンサイジングエンジンに、こうした性質のターボチャージャーは大変ありがたいわけです。

また一方で、2つ排気導入経路の太さを変えるやり方もあります。1本の管には開閉弁が備わっており、一定の負荷、あるいはアクセルワークを感知して弁を開き、より高いパワーを得るという目的のものです。これによって低速域でのターボラグを解消しつつ、ターボエンジンならではの息の長い加速が味わえるという仕組みなのですね。

ただその調整はかなり神経を使う部分で、うまくやらないとスムーズに作動しません。メーカーのチューニングセンスが問われる部分です。

今回はツインターボとツインスクロール、ツインエントリーターボについて注目してみました。すでにターボエンジンを購入して日々の足として使用されていらっしゃる方も多いことと思います。

愛車のエンジン、またはターボチャージャーの構成と特性をよくチェックして、ターボの効き味を楽しみましょう。
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