2016-2017 日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞!新型インプレッサのキーワードは「安全性」

インプレッサ(COTY2016-2017受賞車)

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2016年の日本カー・オブ・ザ・イヤーはスバル インプレッサスポーツ、および同インプレッサG4に決まりました。今年は国産ノミネート車、つまりデビューした国産車自体が少なかった中、昨年末デビューのプリウスと新世代プラットフォーム車同士で激しい争いになった事が注目されますが、受賞車となったインプレッサの決定打は「誰にでも手が届く安全性」でした。
Chapter
国産車の少なかった日本・カー・オブ・ザ・イヤー2016-2017
実質はインプレッサとプリウスとの新世代プラットフォーム一騎打ち
エコカーとして高い評価を得られなくなったプリウス
「安全性を安価で入手」が最大限に評価されたインプレッサ

国産車の少なかった日本・カー・オブ・ザ・イヤー2016-2017

日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会により、日本国内で販売されている乗用車から最優秀車を選ぶ「日本カー・オブ・ザ・イヤー」(以下、COTY)受賞車が今年も決まりました。

「その年にデビューしたクルマの最優秀車を決める」賞は他にも別団体で行われているものがありますが、RJCカー・オブ・ザ・イヤーと並んでメーカーによる宣伝でもよく強調されるのが、このCOTYです。

選考基準の主なものは以下のようになります。

“1.対象車は、前年の11月1日から当年の10月31日までに日本国内で発表または発売された全ての乗用車で、次の条件を満たしていること。
1-1.継続的に生産・販売され、年間の販売台数が500台/年以上見込まれること。
1-2.選考委員にそのクルマを充分に理解する機会が与えられており、事前にテストドライブ、資料提供等が可能であること。
1-3.当年の12月下旬までに一般消費者が日本国内で購入出来ること。
2.対象車はさらに次の条件の少なくとも1項目を満たしていること。
2-1.新しいコンセプトに基づいて作られたクルマであること。
2-2.本質的に新しい機構を採用していること。
2-3.新しいボディ、あるいは新しいエンジン、ドライブトレイン、サスペンション機構等を採用していること。”(日本カー・オブ・ザ・イヤー公式HPより)

つまり、モデルチェンジして日本国内デビューしたクルマの中でも量産目的の乗用車であり、年内にユーザーが購入できるだけではなく、選考のためのテストドライブができる事が条件になります。

それにより2016年度は34台の新型車、およびモデルチェンジされたクルマがエントリーされたのですが、そのうち国産車はわずか8台。

国産車も輸入車も「日本国内で販売されている」限りは同じ土俵で勝負しなければならず、日本も数ある自動車生産国の1つにすぎないがゆえですが、少し寂しい状況ではありますね。

実質はインプレッサとプリウスとの新世代プラットフォーム一騎打ち

そして2016年のCOTYは最終的に、昨年末にモデルチェンジしたトヨタ プリウスと、10月にモデルチェンジしたスバル インプレッサスポーツ/G4の一騎打ちとなりました。

両者の得票は、
スバル インプレッサスポーツ/G4:420点 トヨタ プリウス:371点

見事にインプレッサが勝利し、スバル車としては2003年のレガシィ以来、13年ぶり2度目の受賞となっています。

インプレッサとプリウス、前者は運転支援システムや安全性、後者は最高水準の燃費性能を持つハイブリッド車という特徴を持ちますが、共通するのは両者とも新世代のプラットフォームを採用した事です。

インプレッサはSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)、プリウスはTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)という、今後両メーカーで開発されるクルマの根幹をなす新プラットフォームです。

それぞれ、新プラットフォームをベースにパワーユニットやサスペンション、ボディなどを市場に最適化された組み合わせを行い、「自動車という工業製品を組み上げていく」というコンセプトは共通しており、そこに大きな差はありません。

つまり今年のCOTYは新世代プラットフォームを採用している事が最低条件となり、その上でどのような差があったのか?という事になります。

エコカーとして高い評価を得られなくなったプリウス

COTYの選考目的を振り返ってみましょう。

「市販を前提として日本国内で発表される乗用車の中から、年間を通じて最も優秀なクルマを選定し、そのクルマに日本カー・オブ・ザ・イヤーのタイトルを与え、その開発・製造事業者を称えることにより、一層の性能・品質・安全の向上を促すと共に業界発展と地球環境保護、交通安全に寄与する」
というわけです。つまり安全性のインプレッサか、エコカーのプリウスかという争いになったわけです。

そして結果的には「国産車初の歩行者保護エアバッグ、運転支援システムのアイサイトをはじめとする多くの安全装備を標準装着するなど世界トップレベルの安全性能も実現したことは見事。さらに200万円を切る手頃な価格からラインナップしたことも高く評価した」という理由でインプレッサがCOTY2016-2017に選ばれました。

この重要なポイントは2つあります。

1つは、JC08モード燃費最高40.8km/Lを誇るプリウスに対し、インプレッサは同18.2km/Lにすぎない事。

最近の燃費偽装問題や、今後は燃費測定がJC08モードから国際基準のWLTPモードに切り替わる事から、JC08モードでどれだけ燃費が良くても、それを基準としてエコカーかどうかを評価するのが、もう時代にそぐわない、という事でしょう。

最近ではエコカーの話題は、EV(電気自動車)やハイブリッドの中でも高性能バッテリーに充電を行う事でEVとしての航続距離を伸ばしたPHV(プラグインハイブリッド)に集中しています。

一応PHVもあるとはいえ、あくまで従来型のハイブリッドがメインのプリウスは、エコカーとしてJC08モードに優れるだけでは高い評価を受けられなくなったという事かもしれません。

「安全性を安価で入手」が最大限に評価されたインプレッサ

もう1つ重要な事は、インプレッサが高い評価を受ける原因となったアイサイトや歩行者保護エアバッグが、単に「装備している」ではなく、「全グレードに標準装備されている」という事です。

もっとも安価な1.6i-L EyeSight」の2WDモデルの価格は192万2,400円(税込)。

軽自動車のトップクラスモデルより安い価格で、いわゆる自動ブレーキである「プリクラッシュブレーキ」も、車線逸脱やふらつき運転を抑止するアクティブレーンキープも、歩行者保護エアバッグも、ほとんどの安全装備がついてきます。

安全装備というものはただ設定されていれば良いというものではなく、誰にでも手が届く価格で購入できなければ意味がありません。

その意味で、プリウスと大きな差が生まれたと言えるでしょう。

もちろん新プラットフォームやスバル独自のボクサーエンジン、シンメトリカルAWDといった走りの評価もあったとは思いますが、そこで及第点を出した上で「誰もが手の届く安全性」がCOTY2016-2017のキーワードだったと言えます。

毎年のCOTY受賞車を眺めるとと、その年ごとにキーワードが異なる事が伺えますが、来年のCOTYは何が重要になるでしょうね。
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