超音波で水をはじく?車のワイパーが必要なくなる日は来るのか?

ワイパー

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雨や雪の日には必要なワイパー。現在の自動車には必ず装備されているものの1つですが、技術の進歩により、今のような形のワイパーが無くなる日が来るかもしれません。ワイパーの歴史やワイパーいらずになるかもしれない技術の一部を見てみましょう。
Chapter
ワイパーの歴史
マクラーレンが開発中の「超音波ワイパー」
各社も研究していた高周波振動によるワイパー装置
新技術によるワイパー装置の実用化は?

ワイパーの歴史

自動車に乗る方なら恐らく使用した事があろうワイパー装置。自動車のフロントガラスやリアガラス、車によってはヘッドライトやその他ミラー類にも装着され、ガラスやミラーの外側表面に付着した雨滴や雪、汚れなどを払拭して視界を確保する装置です。

そして、現在、自動車をはじめとする乗り物に用いられているワイパー装置の構造は、ゴム(ラバー)を装着したワイパーブレードを取り付けたアームを左右に振るものがほとんどです。

このような構造のワイパー装置の基本的な構造は、発明以来100年以上ほとんど変わっていません。ちなみに上記のようなゴムを装着したワイパーブレードとバネ式のアームを使用した現在の形のワイパー装置は、1903年にアメリカのメアリー・アンダーソンさんによって特許が取得され、その後の特許切れを期に世界中の自動車に標準装備されるようになっていきました。

マクラーレンが開発中の「超音波ワイパー」

先に記載したように100年以上も基本構造に変化がなかったワイパーですが、2013年にはイギリスの自動者メーカーマクラーレンが超音波振動を利用した装置を研究しているとの情報がありました。詳細は公開されていませんが、これはウインドウの隅などに超音波振動を発生させる装置を取り付け、超音波浮揚の効果により水滴などをウインドウに寄せ付けないという仕組みのようです。

マクラーレンのデザインチーフであるフランク・ステフェンソン氏によると、元々この技術は軍事技術の転用で、ジェット機のウインドウにはワイパーが無い事に疑問を持ったことがきっかけだったようです。なお、2013年時点でマクラーレンは、2015年までにこの装置を25万ドルクラスのスポーツカーに搭載する事を予定していたようですが、現行モデルで最も高価なP1や2015年モデルの650Sにも搭載されていない事から、少々予定とは違った状況になっているようです。

各社も研究していた高周波振動によるワイパー装置

先にマクラーレンが研究開発しているという超音波ワイパー装置をご紹介しましたが、日本のメーカーでも過去にアーム式のワイパー装置を用いない水滴除去装置の特許出願がされていました。今回はそのうちの2つ旭硝子株式会社とトヨタ自動車株式会社が特許出願したものの概要をご紹介したいと思います。

過去にこの2社が特許出願していた装置は、簡単に言ってしまうと高周波でガラスを振動させることにより、ガラス面上の小さい水滴を集めて大きな水滴に変え、その自重で落下させたり、走行による風圧で弾き飛ばしたりするというというものです。実用化されている仕組みとして近いのは、最近のデジタル一眼レフカメラなどに搭載されている、CCDなどの汚れを超音波振動により落とすものなどでしょうか。

この特許出願内容がマクラーレンの研究している装置と違うところは、マクラーレンの装置が超音波浮揚の効果により水滴などをそもそもガラス面に触れさせないという仕組みなのに対し、ガラス面に付着した水滴などを高周波振動により落とすという点です。そして、その効果を最大限にするには、ガラス面などが一定以上の撥水能力を持っている前提となります。ちなみにこの2社の特許出願は、なんと旭硝子が20年前の1995年、トヨタ自動車が2007年に出願していました。

新技術によるワイパー装置の実用化は?

このように既に研究がされている新しいワイパー技術ですが、実際には実用化に至っていません。実用化されれば、現在のワイパーのように接触部分しか綺麗にできないという事も無くなり、安全性向上にも役立ちます。旭硝子やトヨタ自動車もかなり以前から特許出願しているにもかかわらず、実用化されていないのはなぜでしょうか?

その理由として考えられるのがコストや技術的な問題です。先に書いたようにカメラの撮影素子程度の大きさであれば振動発生装置もごく小型のもので済みますが、これが車のウインドウガラスという大きなものとなると、そう話は簡単で無くなってしまうと思われます。

振動による様々な弊害や装置の耐久性、故障時のリスクなども出てくるでしょうし、ガラス自体や周辺部の素材や耐久性の問題も出てきそうです。これらを考えるといくら機能的には便利だと分かっていても、それに見合うコストでは収まらなくなるでしょう。広く普及させるためには、更なる技術の進歩と大量生産によるコストダウンが必須となりそうですね。
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