トヨタ「ランドクルーザー(300シリーズ)」の先代比較!先代モデルから、どのような点が進化しているのか?【プロ徹底解説】

トヨタ ランドクルーザー

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2021年に登場したのが最新型の「ランドクルーザー(300シリーズ)」です。そして、その前のモデルとなるのが2007年に登場した「ランドクルーザー(200シリーズ)」です。先代モデルと最新モデルとの違いは、どこにあるのかを解説します。

文・鈴木 ケンイチ/写真・PBKK

鈴木 ケンイチ

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)

鈴木 ケンイチ
Chapter
3つの系統に分かれた「ランドクルーザー」
先代の「ランドクルーザー(200シリーズ)」の特徴は
先代と最新モデルのボディ関係は?
ガソリン・エンジンだけだった先代とディーゼルもある新型
悪路を走るための電子制御
安全をサポートする先進運転支援システム
価格の違い

3つの系統に分かれた「ランドクルーザー」

「ランドクルーザー」は、1951年に初代モデルが登場し、今も続く、トヨタとして最も古くから続いているモデルです。ただし、1つの「ランドクルーザー」として生まれたものの、1967年にステーションワゴン版、1985年にライト・デューティ版が登場したことで、もともとあるモデルをヘビー・デューティ版として、合計3つのモデルに系統が分かれています。そして、それぞれには、型式を使った~シリーズという名称が与えられています。

本家本元のヘビー・デューティ版の最新モデルは70シリーズ、ライト・デューティは150シリーズ(ランドクルーザープラド)、そしてステーションワゴンの最新が300シリーズとなります。また、ステーションワゴンの先代モデルは200シリーズと呼ばれています。

先代の「ランドクルーザー(200シリーズ)」の特徴は

先代モデルとなる「ランドクルーザー(200シリーズ)」は、2007年に登場。その後、2021年の現行「ランドクルーザー(300シリーズ)」までの間、14年にわたって作り続けられました。それ以前は、ほぼ10年おきに登場したことを考えると、歴代モデルよりもモデルライフが長かったのが特徴でしょう。

そのため2009年にエンジンを換装、2012年にマルチテレインセククトを採用、2015年にエクステリアを一新、衝突回避支援パッケージ「トヨタ・セーフティ・センスP」を全車標準にするなど、大幅な改良が施されています。

ただし、車本来のコンセプトは「The King of 4WD」であり、トヨタの最上級SUVというもの。これは「ランドクルーザー」のステーションワゴンのシリーズの歴代を踏襲しています。

先代と最新モデルのボディ関係は?

「ランドクルーザー」は、ラダーフレームを使う、タフな4WDであることは伝統となっています。先代モデルでもラダーフレームを採用していましたし、最新モデルもラダーフレームのまま。ただし、ラダーフレームやボディは当然、最新技術を使って「GA-Fプラットフォーム」に刷新され、剛性は高められ、それでいて軽量化も果たされています。新型ではボディにアルミを多用したことで、車全体として約200kgも軽くなっています。
ボディ寸法は先代が全長4950×全幅1970×全高1880mmにホイールベースが2850mm。それに対して新型は全長4985×全幅1980×全高1925mmにホイールベースが2850mm。その変化はわずかなものにとどまっています。また、悪路走行に重要な車体ディメンションは、先代ではアプローチアングル30度、デパーチャーアングル20度、最大安定傾斜角44度、登坂能力45度。これに対して新型は、アプローチアングル32度、デパーチャーアングル26度、最大安定傾斜角44度、登坂能力45度。先代よりも優れた数値を誇ります。

また、先代モデルは、3列シート8人乗車定員のみでスタートし、後に2列シート5人乗車定員を追加しました。一方、新型では、最初から3列シート7人乗車定員と2列シート5人乗車定員が用意されています。また、先代モデルの3列目シートは、左右に跳ね上げ収納式であったのに対して、新型モデルではフロア床下収納に進化しています

ガソリン・エンジンだけだった先代とディーゼルもある新型

パワートレインでは、先代モデルはガソリン・エンジンだけであったのに対して、新型はガソリンとディーゼルの2種類を用意するのが違いとなります。

先代モデルは、当初、最高出力212kW(288馬力)・最大トルク448Nmの4.7リッターV8ガソリン・エンジンと5速ATを組み合わせでデビュー。2009年に、エンジンを新しく、最高出力234kW(318馬力)・最大トルク460Nmの4.6リッターV8ガソリン・エンジンと6速ATに載せ替えます。燃費性能は、2020年の最終モデルで、最大で6.9km/l(WLTCモード)となっています。
それに対して新しいモデルのパワートレインは、最高出力305kW(415馬力)・最大トルク650Nmの3.5リッターV6ツインターボのガソリン・エンジンと、最高出力227kW(309馬力)・最大トルク700Nmの3.4リッターV6ツインターボのディーゼル・エンジンの2種類を用意。トランスミッションは、どちらも10速ATが組み合わされます。燃費性能は、ガソリン・エンジンで最高8.0km/l(WLTCモード)、ディーゼルで9.7km/l(WLTCモード)。新しいパワートレインは、旧型よりも、当然のように、パワフルかつ低燃費を実現しています。

悪路を走るための電子制御

先代の「ランドクルーザー(200シリーズ)」は、悪路を走破するための電子制御を数多く採用したのが特徴です。2007年の登場時は、世界初となる「クロールコントロール」を標準装備しました。これは、自動で極低速走行を維持するというもの。ドライバーはステアリング操作に集中できため、悪路やスタックしたときに大変に助かる機能です。また、油圧で前後のスタビライザーの効き目を制御する「KDSS(キネティック・ダイナミック・サスペンション・システム)」も標準装備としました。さらには、2012年に路面状況にあわせてエンジンやブレーキを統合制御する「マルチテレインセレクト」を採用したのもトピックです。

新しい「ランドクルーザー(300シリーズ)」は、こうした機能を踏襲するだけでなく、「KDSS」は、電子制御の「E-KDSS」に進化させています。

安全をサポートする先進運転支援システム

2007年に登場した先代モデルにも衝突被害軽減自動ブレーキとなるミリ波レーダー方式の「プリクラッシュセーフティシステム」が用意されていました。ただし、最初はオプションでの設定です。しかし、2015年のマイナーチェンジで、ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせ、衝突被害軽減自動ブレーキだけでなく、いわゆるACCと呼ばれるレーダークルーズコントロール(ブレーキ制御付)も備わった「トヨタ・セーフティ・センスP」が全車標準装備となりました。

それに対して、最新モデルでは、ミリ波レーダー&単眼カメラの「トヨタ・セーフティ・センス」は全車に標準装備に。また、機能自体も先代よりも大幅に充実しています。こうした先進運転支援システムは、日進月歩のスピードで進化するため、新型モデルが優れているのは、当然のこととなります。

価格の違い

最後に価格はどれくらい違っているのでしょうか?

先代モデルが2007年に登場した時の価格は、470~540万円でした。その後、何度かのマイナーチェンジで価格を修正してゆき、最後の2017年6月の一時改良時点の価格は約473~684万円となっています。

一方、新型モデルは、510~800万円。スタート価格はそれほどの差はありませんが、上位グレードの価格は、より高くなっています。
2007年に「The King of 4WD」をコンセプトに誕生したのが先代となる「ランドクルーザー(200シリーズ)です。2021年に登場した新型「ランドクルーザー(300シリーズ)」と比較すると、パワートレインや装備などに違いはありますが、基本的なコンセプトは、それほど変化はありません。伝統を継承しつつ、ブラッシュアップしてゆく。それが「ランドクルーザー」の進化なのでしょう。
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