ホンダ インスパイアとはどんなクルマだったのか?

ホンダ・5代目インスパイア

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ホンダの高級車としてラインナップされていたホンダ インスパイア。当初はホンダはアコードの上級車種として登場させましたが、国内では2012年を最後に販売終了となり、現在は中国向けのモデルとしてその名前が残っています。今回は、そんな歴代アコードを中古車価格ともに紹介します。

吉田 恒道|よしだ つねみち

1980年代、大学卒業後ファッション・モード専門誌「WWD Japan」編集部勤務を皮切りに編集者としてのキャリアを積む。その後、90年〜2000年代、中堅出版社ダイヤモンド社の自動車専門誌・副編集長に就く。以降、男性ライフスタイル誌「Straight’」(扶桑社)など複数の男性誌編集長を歴任し独立、フリーランスのエディターに、現職。著書に「シングルモルトの愉しみ方」(学習研究社)がある。

吉田 恒道
Chapter
【1989年~1995年】ホンダ 初代インスパイア (CB5/CC2/CC3型)
【1995年~1998年】ホンダ 2代目インスパイア (UA1/UA2/UA3型)
【1998年~2003年】ホンダ 3代目インスパイア (UA4/UA5型)
【2003年~2007年】ホンダ 4代目インスパイア (UC1型)
【2007年~2012年】ホンダ 5代目インスパイア (CP3型)
【2018年~】ホンダ 6代目インスパイア (CV型)

【1989年~1995年】ホンダ 初代インスパイア (CB5/CC2/CC3型)

当時ホンダは小型から大型まで多彩なボディーサイズのセダンを発売してきましたが、1985年のホンダ 初代レジェンドの登場によって、アコードとの間に空白ができてしまいました。

そのため初代インスパイアは当初「アコードインスパイア」の車名を与えられ、アコードの上級車種に位置づけられました。そして1992年に行われたマイナーチェンジで「インスパイア」に改称。アコードから独立した車種となります。

エンジンは165PSを発揮する2L 直列5気筒のGA20A型と、190PSを発揮する2.5L 直列5気筒のGA25A型が搭載され、ホンダ 初代レジェンドが搭載する2L V型6気筒のC20A型エンジンに対しコストを抑えていたとされています。

レジェンドではボディーサイズを拡大し、2.5L V型6気筒のC25A型エンジンを搭載したグレードもあり、より豪華なレジェンドに対し、インスパイアはあくまで弟分に徹するポジションだったと言えるでしょう。

そんな初代インスパイアですが、中古車市場でもまだ購入するチャンスがあります。2020年8月時点の大手中古車Webサイトでは、「アコードインスパイア」と「初代インスパイア」を合わせると8台が掲載され、最低価格は28.8万円、状態の良いものは119万円のプライスタグも付いています。

【1995年~1998年】ホンダ 2代目インスパイア (UA1/UA2/UA3型)

ホンダ 2代目インスパイアはボディーサイズを初代から拡大します。ホンダが海外で展開する高級車ブランド「アキュラ」ではアキュラ TLとして販売され、レジェンドに次ぐ高級車としての完成度を高めていきました。

エンジンは旧モデルにも搭載されていたGA20型とGA25型に加え、210PSを誇る3.2L V型6気筒のC32A型も設定され、フロントシート(前席)エアバッグをはじめとするさまざまな安全装備も追加されています。

現在では珍しい直列5気筒エンジンを搭載する希少なクルマですが、中古車の数は年々減少傾向にあります。実際に、20208月現在大手中古車Webサイトでは掲載台数が0台であり、ある意味「希少なクルマ」と言えるでしょう。

【1998年~2003年】ホンダ 3代目インスパイア (UA4/UA5型)

初代から2代目まで国内で生産されていたホンダ インスパイアですが、ホンダ 3代目インスパイアは海外生産に切り替えられ、生産拠点をアメリカのメアリーズビル工場へと移します。その背景には生産性の向上や日米貿易摩擦があったとされ、結果として2代目インスパイアに対してアメリカの現地事情に適応した大型セダンとなりました。

エンジンは初代と2代目に採用されていたGA型が廃止され、200PSを発揮する2.5L V型6気筒のJ25A型と、225PSを誇る3.2L V型6気筒のJ32A型に統合。兄弟車種であるアキュラ TLも基本的に同じ仕様となっています。

3代目インスパイアは海外生産車となり当時の日本の道路事情とマッチしなかったためか、2020年8月の大手中古車Webサイトでは掲載台数が5台に留まっています。価格は15万円から47万円となり、日本で人気を得ることが難しかったことが伺えます。

【2003年~2007年】ホンダ 4代目インスパイア (UC1型)

生産拠点が北米となったホンダ 3代目インスパイアでしたが、4代目インスパイアは国内生産に回帰。ボディーサイズはさらに拡大されたものの、車体やサスペンションの見直すことでより良い乗り心地を実現し、高級感を高めました。

グレードは「30TL」、「30TE」、「30TEリミテッド」、「アバンツァーレ」を設定。一方でエンジンは250PSを発生する3L V型6気筒のJ30A型に統一されています。安全装備は3代目インスパイアからさらに進化し、現代のACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)に相当する「IHCC」などの装備も追加されました。

比較的新しいクルマであることや一定の台数が販売されたことから、2020年8月現在でも4代目インスパイアは中古車市場に流通しています。大手中古車Webサイトには19台が掲載され、最安値は14万円、最高値でも72万円と、高級車としてはお買い得の価格となっています。

【2007年~2012年】ホンダ 5代目インスパイア (CP3型)

ホンダ 5代目インスパイアは、国内で販売されたインスパイアとしては最終モデルとなり、ボディーサイズは全長4,940mm×全幅1,845mm×全高1,475mmと、歴代インスパイアのなかでもっとも大きなものとなっています。

エンジンは4代目から排気量を拡大し、最高出力が280PSに達した3.5L V型6気筒のJ35A型となり、走行状況に合わせてエンジンの燃焼気筒数を変化させる可変シリンダーシステムを採用し、燃費性能にも配慮しています。

国内最後のインスパイアであり、最終モデルの販売終了から10年に満たないクルマであるため、5代目インスパイアは旧モデルに比べて中古車の数も豊富です。大手中古車Webサイトでは69台が掲載され、価格も26万円から88万円台と幅広く、好みに合う1台が探せるモデルと言えるでしょう。

※ 2020年8月現在

【2018年~】ホンダ 6代目インスパイア (CV型)

ホンダ 6代目インスパイアは、中国向けのモデルとして2018年に登場しました。エンジンは2L 直列4気筒エンジンに2モーターを組み合わせたハイブリッドモデルのLFA型となり、歴代インスパイアに比べて環境性能を大きく向上させています。

海外専売の新型車であることから情報も少なく、中古車として手に入れることが難しいクルマとなっています。実際に、大手中古車Webサイトでは6代目インスパイアのカテゴリー自体が存在しないため、事実上5代目インスパイアが最終モデルになっていると言えるでしょう。
かつてはレジェンドとアコードの中間を補完する車種として登場したインスパイアですが、アコードのボディーサイズが拡大していったことやホンダの高級車戦略の変遷にともなって、国内では2012年に約23年の歴史に幕を降ろしました。

現在は中国でその名が残されていますが、いつの日か日本に舞い戻ることがあるかもしれません。
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