ボルボ V90はどんなクルマ?各モデルの違いなど徹底解説!

近年のボルボはSUVにも注力しているが、ブランドを象徴する存在なのは、やはりステーションワゴンだろう。V90は、ボルボの最上級ワゴンであり、同ブランドのフラッグシップといえるモデルでもある。どんな性能と機能を備え、パワートレーンが用意されているか解説する。

文・塚田 勝弘

Chapter
V70を受け継ぐ2代目V90
V70より小さくなっても広大なラゲッジが魅力
排気量2.0Lのディーゼル・ガソリン・PHEVを設定
「D4」はディーゼルエンジンらしいトルクフルな走り
最も軽快な走りが可能な「T5」
力強い加速とAWDのガソリンエンジン仕様の「T6」
ガソリンエンジンが前輪を駆動しモーターが後輪を駆動させる「T8」
グレードに左右されずに自分に合った仕様を選びたい

V70を受け継ぐ2代目V90

2017年2月に日本に登場した現行ボルボV90は、V70のバトンを受け継ぐ形でV90の車名が復活し、20年ぶりのV90としては2代目となるフルモデルチェンジで送り出された最上級ステーションワゴンだ。

セダンのS90、V90クロスカントリーと共に、電動化やコネクティビティ、自動運転なども見据えて開発された新世代プラットフォーム「スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー(SPA)」を採用している。同プラットフォームを使った、新生ボルボ第1弾として90シリーズ(S90・V90・V90クロスカントリー)が送り出されたことになる。

V70より小さくなっても広大なラゲッジが魅力

伸びやかなサイドビューと、ボルボらしいクリーンなライン、フロントマスクが印象的なV90は、全長4,935mm×全幅1,880(1,890)mm×全高1,475mmという堂々たるボディサイズ。

荷室容量は後席背もたれを立てた状態で560L、後席バックレストを前倒しすると、最大1,526Lまで拡大する。なお、先代にあたるV70は、575L-1,600Lだったので少し容量は減っているが、傾斜したリアゲート(リアウインドウ)などデザイン優先という理由もあるだろう。

筆者が2017年にボルボ・カー・グループのデザイン部バイスプレジデントのジョナサン・ディズリー氏に伺った時には、「ネット通販の普及で以前のように大型家具を買って自分で運ぶようなことは少なくなった」という回答を得た。

それでも、キャンプ・ウインタースポーツ・マリンスポーツ・ゴルフなど多くの荷物や大きな物を積み込む際でも容量不足はほとんど感じない。

排気量2.0Lのディーゼル・ガソリン・PHEVを設定

パワートレーンは、ボルボの自社製エンジンである「Drive-E」と呼ばれる2.0L直列4気筒ディーゼルとガソリンエンジンを搭載。同エンジンに、過給器やモーターを組み合わせることで、グレードにあった動力性能を与えている。

「D4」はディーゼルエンジンらしいトルクフルな走り

2.0L直列4気筒直噴ディーゼルターボの「D4」は、「Momentum(モメンタム)」、「Inscription(インスプリクション)」の2グレード構成。最高出力190PS/4,250rpm、最大トルク400Nm/1,750-2,500rpmというアウトプットで、1,770kgの車両重量を走らせるには十分なトルク感が得られるのが美点だ。

また、スムーズな変速マナーが自慢の8ATとのマッチングも良好で、高速道路を使った巡航では非常に楽に加減速が可能。過給器は小型のターボと、高出力を得られる大型ターボの2つが搭載されていて、高回転域でのパンチ力もまずまず。

JC08モード燃費は16.2km/Lで、大きなボディを考慮すると健闘している。高速道路を使う機会が多く、距離が延びる方に最適だ。なお、駆動方式はFFのみとなる。

最も軽快な走りが可能な「T5」

ガソリンエンジンの「T5」は、2.0L直噴ターボが積まれていて、最高出力254PS/5,500rpm、最大トルクは350Nm/1,500-4,800rpm。「D4」よりも車両重量は30kg軽いが、50Nm低くなる最大トルクの差もあって低速域で湧き出るようなトルク感はない。それでもフロントノーズが軽く、フットワークは軽快。

さらに、ターボの過給が始まれば意のままの加速を引き出すことが可能だ。高速巡航も苦にせず、街中や郊外でも扱いやすいパワートレーンなので、静粛性も重視する人に最適だろう。「T5」は、「Momentum(モメンタム)」グレードのみで、V90のエントリーグレードだが、同ワゴンの魅力は十分に味わえる。こちらも駆動方式は、FFになる。

力強い加速とAWDのガソリンエンジン仕様の「T6」

力強い加速とAWDによる高い機動力を備えるのが「T6」だ。グレードは、「T6 AWD Inscription(インスプリクション)」のみで、2.0L直列4気筒直噴ガソリンエンジンに、低速域を担うスーパーチャージャーと中・高速域で加勢するターボのダブル過給器を搭載する。

最高出力320PS/5,700rpm、最大トルク400Nm/2,200-5,400rpmのスペックが示すとおり、どこから踏んでも湧き出るトルク感と、高速道路での追い越しも余裕でこなしてくれる。4WD化により車両重量は、1,840kgと「T5」よりも100kg重くなっているが、動力性能の面では重さによるネガはほとんど感じさせない。

ワインディングでのフットワークは、軽やかとはいえないものの、適度な重さによる乗り心地の良さが美点だ。降雪地域の人はもちろん、スキーなどのウインタースポーツなどを積極的に楽しむ層に最適な大型ワゴンといえるだろう。

ガソリンエンジンが前輪を駆動しモーターが後輪を駆動させる「T8」

最上級モデルとして君臨するのがPHEVモデルの「T8」。グレードは、「T8 Twin Engine AWD Inscription(インスプリクション)」のみとなる。「ツインエンジン」は、エンジンを2つ搭載しているのではなく、エンジンとモーターの組み合わせ。

また、「T6」同様に、2.0L直列4気筒直噴ガソリンターボエンジンには、スーパーチャージャーとターボが積まれている。最高出力は318PS/6,000rpm、最大トルクは400Nm/2,200-5,400rpm。リヤに搭載されるモーターは、240Nmのトルクを発生し、後輪を駆動する。

つまりガソリンエンジンは前輪を、モーターは後輪を駆動する。システム合計で405ps/640Nmというアウトプットを得ていて、最もパワフルなパワートレーンになっている。

なお電子制御リアエアサスペンション、ドライビングモード選択式「FOUR-C」アクティブパフォーマンスシャシーは、「T8」にのみ標準装備(ほかはオプション)で、しなやかな乗り味と、状況や好みに応じて、快適な乗り味や俊敏なフットワークを選択できる。

なお、充電は普通充電のみで急速充電には対応していない。モーターによる航続可能距離は最大で40km、ハイブリッド燃費は15.0km/L。200Vの普通充電で、満充電までは約3時間となっている。

グレードに左右されずに自分に合った仕様を選びたい

さて、ボルボの各モデルは、グレード間に当然ながら性能差や機能の差(先進安全装備は全車同等で標準化されている)はあるものの、ヒエラルキーを構築するのではなく、機能や装備などはニーズに応じて選んでもらうというスタンスを取っている。

「最上級グレード=好みの乗り味」とは言い切れず、可能であれば気になるグレードを試乗してから選択したいところ。先述したように、エントリーモデルの「T5モメンタム」でもV90ならではの魅力を十分に享受できるだろう。

塚田 勝弘|つかだ かつひろ

自動車雑誌、モノ系雑誌の新車担当編集者を約10年務めた後に独立し、フリーランスライターとしても10年が経過。自動車雑誌、ライフスタイル雑誌、Web媒体などで新車試乗記事やカーナビ、カーエレクトロニクスなどの展開している。

塚田 勝弘|つかだ かつひろ