エンジンカバーがついている意味・効果とは?飾りだけではない理由

NISMOエンジン

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燃費性能が重視され、電動化も進んでいる昨今、かつてのようにエンジンがセールスポイントとなることも減っているように感じます。そのためボンネット(エンジンフード)を開けてエンジンを眺める機会も減っているかもしれません。もっとも、いまどきはボンネットを開けてもエンジンを見ることはできないクルマも増えています。エンジンを覆うように大きなエンジンカバーが付いているからです。なぜ、エンジンカバーを備えたクルマが増えているのでしょうか。

文・山本晋也
Chapter
エンジンルームの見映えを良くする
ノイズを遮音して静かなキャビンに
衝撃吸収をして歩行者保護にも貢献

エンジンルームの見映えを良くする

ボンネットを開けるユーザーが減っているといっても、いざ開けたときにごちゃごちゃしていてはクルマの価値が感じられづらいものです。

そこで、エンジンカバーによって見映えをよくしようというのが、第一の役割。エンジンカバーが増えてきた1990年代には、まさに見映えが主な役割でした。さらに最近では、軽量化や生産性からカムカバーなどが樹脂となっているので妙に安っぽく見えるエンジンも増えています。エンジンカバーを外すわけにはいかないのです。

ノイズを遮音して静かなキャビンに

さらに、最近ではほとんどのガソリンエンジンが直噴化しています。直噴エンジンというのは、燃料ポンプなどノイズの発生源が増えてしまいます。そこでエンジンカバーの役割が増えました。

それが遮音性能です。最近のエンジンカバーを外して裏返してみると、成形されたウレタン状の遮音材・吸音材が備わっているのが確認できます。各種ノイズを遮断するためにエンジンカバーは欠かせないアイテムとなっているのです。

衝撃吸収をして歩行者保護にも貢献

それだけにはとどまりません。自動車の安全性能というのは乗員を守るだけでなく、他車や歩行者、サイクリストへの攻撃性を抑えることも求められています。そのためボンネットとエンジンの間にスペースを確保して歩行者の頭部が当たったときに衝撃を吸収するよう狙っています。ここでもエンジンカバーを衝撃吸収材として利用することで、さらに歩行者保護性能を高めようというアイデアが生まれました。

つまり、現在のエンジンカバーは見映えをよくし、ノイズや振動を遮断・減衰させ、歩行者との衝突時に衝撃を吸収する役割を担うようになっているのです。

一方で、冒頭で記したようにそもそも見映えを気にせずともよい状況になりつつあるので、エンジンカバーを使わずに遮音性能を実現し、歩行者保護も十分な性能を満たすようになっている面もあります。

たとえば、スバル・インプレッサは補機類のベルトカバーがついているだけで、エンジン自体はむき出しですが、歩行者用エアバッグを備えることで十分以上の歩行者保護性能を実現しています。スバルの場合は水平対向エンジンという他社にはない特徴もあるからできることかもしれませんが、エンジンカバーに頼らないアプローチも増えてくるかもしれません。

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