なぜエンジンオイルは定期的な交換が必要なのか?
更新日:2019.01.16
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愛車を大事にしているオーナーであれば、定期的にエンジンオイルを交換していると思う。なにしろ、オイル交換を怠るとエンジン内部に汚れが付着してしまい、エンジンを傷めてしまう。エンジンオイルが汚れていると、燃費も悪くなりがちであるし、設計値通りのパワーだって期待できない。定期的な交換はエンジン性能を維持するのである。では、なぜエンジンオイルの定期交換は必要なのだろうか?どんなに高価なオイルを使っても劣化が避けられない理由について、整理してみたい。
文・山本晋也
文・山本晋也
エンジンオイルの機能は7つ、徐々に劣化する
さて、エンジンオイルの役割としては、主に7つの機能が挙げられる。もっとも認知されているのは潤滑作用だろうが、そのほかに冷却・密封・防錆・清浄・緩衝・酸中和といった機能をエンジンオイルは持っている。エンジン内部の温度を一定に保とうとすること、往復運動するピストンのわずかな隙間を埋める効果などをエンジンオイルは担っているのだ。
しかし、こうした機能を維持するのは難しい。エンジンオイルは高熱にさらされ、またピストンやクランクシャフトの運動において衝撃を受け続けている。そのため徐々に劣化していってしまうのだ。
しかし、こうした機能を維持するのは難しい。エンジンオイルは高熱にさらされ、またピストンやクランクシャフトの運動において衝撃を受け続けている。そのため徐々に劣化していってしまうのだ。
劣化の主な原因はせん断・加熱・希釈・酸化
劣化の原因となるファクターとしては大きく4つが挙げられよう。エンジン内部では様々な部品の隙間にエンジンオイルが入り込むことで、潤滑・緩衝といった機能を果たしている。とくに緩衝作用のために、オイルを構成している物質が「せん断」されていく。これによりオイルとしての粘性を徐々に失ってしまう。同様に加熱によりオイルの温度が上がることでも粘性は失われていく。
また、ピストンの隙間から燃え残りの燃料が落ちてくることもある。エンジンオイルは燃料により薄められてしまう。これを燃料希釈といい、やはりオイルの劣化につながっていく。さらに、ほとんどエンジンをかけずに置いていたとしてもエンジンオイルは傷んでしまう。それは大気中の酸素と反応して酸化が進んでしまうためだ。
もちろん、エンジンオイルに含まれる清浄剤により、エンジン内部のスラッジ(汚れ)を落としていくため、オイル自体に汚れ成分が溶け込むことになるのも劣化につながる要素だ。
また、ピストンの隙間から燃え残りの燃料が落ちてくることもある。エンジンオイルは燃料により薄められてしまう。これを燃料希釈といい、やはりオイルの劣化につながっていく。さらに、ほとんどエンジンをかけずに置いていたとしてもエンジンオイルは傷んでしまう。それは大気中の酸素と反応して酸化が進んでしまうためだ。
もちろん、エンジンオイルに含まれる清浄剤により、エンジン内部のスラッジ(汚れ)を落としていくため、オイル自体に汚れ成分が溶け込むことになるのも劣化につながる要素だ。
見た目ではわかりづらいので定期的な交換が必須
そうして劣化したエンジンオイルは、色が真っ黒になったり、抜いたときにサラサラであったりとすることで新品時とは異なる状態になっていると判断することもあるが、オイルレベルゲージの先端についているオイルをウェスで拭きとったくらいでは、そこまで傷んでいるかどうかを判断するのは難しい。
じつは清浄作用もあって、新品オイルはあっという間に黒く変色してしまう。そのため色だけでは判断しがたいのだ。
専用の試験機を使ってオイルを分析すれば、粘度変化や酸化具合などは判別できるが、分析コストは安いものではない。維持費として考えれば、走行距離や時間経過を目安に交換時期を決めておくのがベターといえる。
自動車メーカーでは、環境負荷も考えて、あまり小まめにエンジンオイルを交換しないよう、サイクルを長めに表示する傾向にある(もちろん、耐久テストを行なった結果でもある)。あまり短いサイクルで交換する必要もないが、メーカーの推奨値は交換サイクルの最低ラインと考えておくのがいい。
ちなみに、日本では多いといわれる近距離の走行を繰り返すといった使い方はエンジンに厳しいシビアコンディションなので、メーカー推奨値の半分程度を目安に交換するといいだろう。
じつは清浄作用もあって、新品オイルはあっという間に黒く変色してしまう。そのため色だけでは判断しがたいのだ。
専用の試験機を使ってオイルを分析すれば、粘度変化や酸化具合などは判別できるが、分析コストは安いものではない。維持費として考えれば、走行距離や時間経過を目安に交換時期を決めておくのがベターといえる。
自動車メーカーでは、環境負荷も考えて、あまり小まめにエンジンオイルを交換しないよう、サイクルを長めに表示する傾向にある(もちろん、耐久テストを行なった結果でもある)。あまり短いサイクルで交換する必要もないが、メーカーの推奨値は交換サイクルの最低ラインと考えておくのがいい。
ちなみに、日本では多いといわれる近距離の走行を繰り返すといった使い方はエンジンに厳しいシビアコンディションなので、メーカー推奨値の半分程度を目安に交換するといいだろう。
山本晋也
自動車メディア業界に足を踏みいれて四半世紀。いくつかの自動車雑誌で編集長を務めた後フリーランスへ転身。近年は自動車コミュニケータ、自動車コラムニストとして活動している。ジェンダーフリーを意識した切り口で自動車が持つメカニカルな魅力を伝えることを模索中。