ホンダ NSXがマイナーチェンジ!ひと足早く公道試乗してみた
更新日:2024.09.09
※この記事には広告が含まれます
メーカー希望小売価格2,370万円(税込)という高価なスーパースポーツ、ホンダ NSXがマイナーチェンジを実施した。といってもマイナーチェンジが発表されたのは2018年10月25日で、実際にデリバリーが始まるのは2019年5月となっている。こうしたスケジュールは、NSXが少量生産のスーパースポーツであり、またアメリカで製造される輸入車だからゆえといえそうだ。そう、ホンダのスポーツフラッグシップであるNSXは、オハイオ州にあるNSX専用工場で、8台/日というペースでじっくりと作られている。
文/写真・山本晋也
文/写真・山本晋也
シャシーは引き締め、レスポンスはマイルドに
2019年モデルのNSXの外観では、フロントグリルをボディ同色として、メッシュパーツ類をグロスブラックにしている程度で、本当にマイナーチェンジ(小変更)といった雰囲気。ボディカラーに新色サーマルオレンジ・パールが追加されたのが目立つくらいだ。じつは価格も据え置きだったりする。
フットワークについてはタイヤが専用セッティングを受けたコンチネンタル・スポーツコンタクト6にグレードアップされ、さらに前後スタビライザー(アンチロールバー)のバネレートを上げ、リアのサスペンションブッシュやハブベアリングの剛性アップをすることで、ハンドリングを改善している。
フロント2モーター、リア3.5L V6ツインターボ+ワンモーター+9速DCTからなる“ハイブリッド”パワートレインはメカニズムこそ変わっていないが、ドライバーとの一体感をより高めるよう制御系の味付けを変えている。
フットワークについてはタイヤが専用セッティングを受けたコンチネンタル・スポーツコンタクト6にグレードアップされ、さらに前後スタビライザー(アンチロールバー)のバネレートを上げ、リアのサスペンションブッシュやハブベアリングの剛性アップをすることで、ハンドリングを改善している。
フロント2モーター、リア3.5L V6ツインターボ+ワンモーター+9速DCTからなる“ハイブリッド”パワートレインはメカニズムこそ変わっていないが、ドライバーとの一体感をより高めるよう制御系の味付けを変えている。
スポーツハイブリッドSH-AWDはスムースに
そうした進化は市街地走行でも十分に確認することができた。フロントの左右それぞれに独立した駆動モーターを配し、その駆動力によってハンドリングのレベルを上げようというのがNSXにおけるスポーツハイブリッドSH-AWDの狙いだ。
ところが、マイナーチェンジに合わせて熟成したことでSH-AWDの「わざとらしさ」が消え、いつモーター駆動がハンドリングに介入してきたのか、まったく感じられないようになっている。
ありがたみは感じづらいかもしれないが、スムースでナチュラルなハンドリングは従来型よりも印象を良くしている。従来型であってもSH-AWDの制御がハマっている領域では、両腕とフロントタイヤがつながったかのような一体感を覚えたが、その領域が広がっているといったら理解いただけるだろうか。
また、前述したようにリアのサスペンション周りで剛性アップしたことは後輪からのインフォメーションを増やした。さらに電動調整シートが標準装備になったことでシートレールの剛性感も上がった。
こうした相乗効果は、自分の体がクルマとシンクロしているかのような感覚さえ味合わせてくれる。ドライバーは曲がりたいようにステアリングを操作すれば、あとは機械が理想的なラインをトレースしてくれるのだ。
ところが、マイナーチェンジに合わせて熟成したことでSH-AWDの「わざとらしさ」が消え、いつモーター駆動がハンドリングに介入してきたのか、まったく感じられないようになっている。
ありがたみは感じづらいかもしれないが、スムースでナチュラルなハンドリングは従来型よりも印象を良くしている。従来型であってもSH-AWDの制御がハマっている領域では、両腕とフロントタイヤがつながったかのような一体感を覚えたが、その領域が広がっているといったら理解いただけるだろうか。
また、前述したようにリアのサスペンション周りで剛性アップしたことは後輪からのインフォメーションを増やした。さらに電動調整シートが標準装備になったことでシートレールの剛性感も上がった。
こうした相乗効果は、自分の体がクルマとシンクロしているかのような感覚さえ味合わせてくれる。ドライバーは曲がりたいようにステアリングを操作すれば、あとは機械が理想的なラインをトレースしてくれるのだ。
スーパースポーツらしい緊張感が少ないのもNSXの特徴だ。バッテリーが十分に充電されている状態であれば低速時にはEV走行をする(フロントモーターだけで走る)ことができ、エンジンは停止しているのでキャビンは驚くほど静か。ハイグリップなワイドタイヤからの入力は気になるが、市街地をEV走行している限りはスーパースポーツの押し出しは感じない。まるでフィットを運転しているかのようなリラックスした気分になれる。
もちろん、そこからアクセルペダルを踏み込むと、本当に一瞬で法定速度に達してしまうほどのパフォーマンスを確認でき、スーパースポーツの実力を垣間見ることができる。
ハイブリッドのスポーツカー、スーパースポーツというのは他社からも登場しているし、世界的な電動化トレンドを考えるとハイブリッド・スーパースポーツのライバルは増えていくのだろう。
しかし、スポーツハイブリッドSH-AWDによる異次元のハンドリングやEV走行でのフレンドリーさはNSXだけの価値である。イタリアンスーパーカーと比べると刺激という要素では物足りないと思うかもしれないが、それがホンダのスーパースポーツらしい特徴といえるだろう。
もちろん、そこからアクセルペダルを踏み込むと、本当に一瞬で法定速度に達してしまうほどのパフォーマンスを確認でき、スーパースポーツの実力を垣間見ることができる。
ハイブリッドのスポーツカー、スーパースポーツというのは他社からも登場しているし、世界的な電動化トレンドを考えるとハイブリッド・スーパースポーツのライバルは増えていくのだろう。
しかし、スポーツハイブリッドSH-AWDによる異次元のハンドリングやEV走行でのフレンドリーさはNSXだけの価値である。イタリアンスーパーカーと比べると刺激という要素では物足りないと思うかもしれないが、それがホンダのスーパースポーツらしい特徴といえるだろう。
同価格帯のポルシェ911の倍近く売れている!?
そんなNSXだが、意外に街中では見かけないという声もある。ホンダの本社がある東京・青山辺りで道行くスーパースポーツを探していても、フェラーリのほうが見かけるし、マクラーレンやテスラのほうが目にとまる。
しかし、ホンダに聞くと、日本でのローンチからマイナーチェンジ発表以前までの、およそ一年半(2017年2月~2018年9月)において日本のユーザーに届けられたNSXは381台と計画の倍以上なのだという。さらに2,000万円以上の2ドアクーペという条件で販売台数を調べると、日本国内でもっとも売れたモデルがNSXなのだという。
ちなみに、2,000万円以上のグレードに限ったライバルの販売台数はAMGが358台、ポルシェ911は191台、アウディR8は129台ということだ(数字はホンダ調べ)。
それでもNSXを見かけないと感じる理由は、おそらく販売エリアが他のスーパースポーツとは異なるからだろう。なにしろNSXは北海道から鹿児島まで全国122店舗のNSXパフォーマンスディーラーにて購入できる。他のスーパースポーツが都市部で密度を高めているのに対して、全国に散らばっているため見かける機会が少ないと考えられる。
また、ナンバーをつけずにガレージに保管しているオーナーも少なくないという。381台のうち一割以上の個体が、そうやって公道を走らないまま保管されているという噂もあるほどだ。
アメリカで生産される立派な輸入車ではあるが、やはりホンダの意思が入っているクルマだけに、どこか奥ゆかしい感じのあるNSX。そうしたキャラクターもあってオーナーが見せびらかさないことも、また「見かけない」という印象につながっているのかもしれない。
しかし、それこそがNSXのテイストであり、このスーパースポーツを選ぶ人にとっては重要な価値となっているはずだ。
しかし、ホンダに聞くと、日本でのローンチからマイナーチェンジ発表以前までの、およそ一年半(2017年2月~2018年9月)において日本のユーザーに届けられたNSXは381台と計画の倍以上なのだという。さらに2,000万円以上の2ドアクーペという条件で販売台数を調べると、日本国内でもっとも売れたモデルがNSXなのだという。
ちなみに、2,000万円以上のグレードに限ったライバルの販売台数はAMGが358台、ポルシェ911は191台、アウディR8は129台ということだ(数字はホンダ調べ)。
それでもNSXを見かけないと感じる理由は、おそらく販売エリアが他のスーパースポーツとは異なるからだろう。なにしろNSXは北海道から鹿児島まで全国122店舗のNSXパフォーマンスディーラーにて購入できる。他のスーパースポーツが都市部で密度を高めているのに対して、全国に散らばっているため見かける機会が少ないと考えられる。
また、ナンバーをつけずにガレージに保管しているオーナーも少なくないという。381台のうち一割以上の個体が、そうやって公道を走らないまま保管されているという噂もあるほどだ。
アメリカで生産される立派な輸入車ではあるが、やはりホンダの意思が入っているクルマだけに、どこか奥ゆかしい感じのあるNSX。そうしたキャラクターもあってオーナーが見せびらかさないことも、また「見かけない」という印象につながっているのかもしれない。
しかし、それこそがNSXのテイストであり、このスーパースポーツを選ぶ人にとっては重要な価値となっているはずだ。
山本晋也
自動車メディア業界に足を踏みいれて四半世紀。いくつかの自動車雑誌で編集長を務めた後フリーランスへ転身。近年は自動車コミュニケータ、自動車コラムニストとして活動している。ジェンダーフリーを意識した切り口で自動車が持つメカニカルな魅力を伝えることを模索中。