いすゞのSUV、ビッグホーンってどんな車?

いすゞ ビッグホーン 初代

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皆さんは、1980年代から2000年代初頭まで、いすゞ自動車が製造していた「ビッグホーン」というクルマをご存知でしょうか?現在では、トラックやバスのイメージしかないいすゞですが、過去には魅力的な乗用車を数多く世に送り出していました。そのなかで、現在のSUV市場に影響を与えたクルマがビッグホーンです。そんな、いすゞ ビッグホーンについて解説していきます。

文・赤井福
Chapter
サーフやパジェロよりも先、SUVの先駆者
いすゞの本気が見える乗用車
いすゞ乗用車からの撤退

サーフやパジェロよりも先、SUVの先駆者

1981年、ピックアップトラックのシャシーに乗用車のコンポーネンツを用いたRVの「ビッグホーン」がデビューしました。ボディは、ショートバン、ロングバン、ショートソフトトップのという3タイプを用意しますが、貨物車登録のみという設定がアダとなり、販売は伸び悩むことになりました。

当時は、貨物登録=仕事というイメージが強く、乗用車を求めるユーザーは敬遠したのです。

そこで3年後の1984年、大幅な改良を加えると同時に普通車登録となる5ナンバーワゴンを追加設定。もともとクロスカントリー性能が高かったところに、居住性も大幅に向上したビッグホーンは、市場でも徐々に受け入れられるようになり、後のハイラックスサーフやパジェロの人気の元を作るきっかけとなったのです。

いすゞの本気が見える乗用車

1991年にフルモデルチェンジした2代目のビッグホーンは、貨物登録モデルを廃止し、初代で問題となっていた車室内環境に大きくメスを入れました。3ドアのショートボディと5ドアのロングボディを用意し、乗車定員も5名を基本に、ロングボディでは7人乗りも用意されました。

グレードは、ハンドリング バイ ロータス、イルムシャー RS、イルムシャーと、通常のビッグホーンという4つを用意。高級路線のロータスに対し、イルムシャーはスポーティグレードという棲み分けでした。

ちなみに、イルムシャーとはドイツのチューニングメーカーで、ビッグホーンより以前にジェミニのチューニングをしたことで知られていました。

ビッグホーンのチューニングは、サスペンションを始め、オフロード用の機構、さらにはシートヒーター付きレカロシートの採用など、当時のクロカンとしては異色の仕様で話題を集めました。

この2代目は、1992-1993年の日本カー・オブ・ザ・イヤー特別賞を受賞したほか、1994年にはチーム青柳からパリ・ダカールラリーに参戦。イルムシャー RSで、市販車無改造クラスで優勝を果たしました。

いすゞ乗用車からの撤退

ビッグホーンは、ホンダ(ホライゾン)、スバル(ビッグホーン)、シボレー(トゥルーパー)、オペル&ボクスホール(モントレー)、ホールデン(ジャッカル)と、RVを持たないメーカーに広くOEM供給された車種でもありました。

しかし2002年、いすゞは乗用車部門からの完全撤退を発表。これにより、20年もの長きにわたってクロスカントリーSUVの先駆者として君臨してきたビッグホーンの幕が降ろされることになります。

かつてのビッグホーンを筆頭に、ミュー、ウィザード、ビークロスといった個性的なSUVを世に送り出してきたいすゞ。

いまや遠い昔の話に感じますが、当時としては非常にニッチな市場に目をつけ、こだわりをもって作られてきたビッグホーンは、いすゞの歴史のなかでも大きな1ページであり、いすゞだからこそ作ることができた名車といえるでしょう。

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文・赤井福
大学卒業後、金融業に従事。その後、6年間レクサスの営業マンとして自動車販売の現場に従事する。若者のクルマ離れを危惧し、ライターとしてクルマの楽しさを伝え、ネット上での情報発信を行っている。

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