ランエボ・フォーエバー

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2.0ℓという限られた排気量内で最高のパフォーマンスを目指し、モータースポーツを通し技術力と速さに磨きをかけてきたのがランサー・エボリューションだ。WRC(世界ラリー選手権)で大暴れし、数多くの神話を築いたランエボが、年度内でSST車(*)の生産を終える。

text:片岡英明 [aheadアーカイブス vol.140 2014年7月号]
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ランエボ・フォーエバー

ランエボ・フォーエバー

▶︎2代目ランエボで3ナンバーのワイドボディになったランエボV('98年1月発売)。当時、群を抜いて速く、メカニズムも洗練されていた。名声はこの2代目で確立した。


ランエボの終焉が三菱と日本の自動車界に与える影響は限りなく大きい。

ランエボのデビューは鮮烈だった。1992年9月、三菱はWRCを制するために、ギャランVR-4より軽量で、戦闘力の高いスーパーウェポンとしてランエボを開発。当初2500台を限定発売したところ、わずか2日間で完売。衝撃的なランエボ神話の幕開けとなった。

初代ランエボは荒削りだったが、ネーミングから分かるように、毎年のように進化を続けていく。エンジンは直列4気筒DOHCターボの4G63型だ。改良に次ぐ改良によって2006年のランエボIXまで使用され、名機の称号を手にしている。ちなみに第1世代は、'95年1月に登場したランエボⅢまでだ。

第2世代のランエボIVは'96年夏にベールを脱いでいる。初めて280psレベルに到達した記念すべきモデルだが、左右後輪への駆動力を変化させ、旋回性能を高めるAYCを採用したことでも注目を集めた。'98年に登場したランエボVは、ブレーキやタイヤを大径化するために3ナンバーの凛々しいワイドボディをまとった。WRCでも破竹の快進撃を続けるなど、世界に誇る2.0ℓスーパー4WDスポーツへと成長を遂げている。

2度目のモデルチェンジを行い、第3世代にバトンを託すのは、21世紀になった'01年2月だ。新しいボディは剛性が高く、ハンドリングも軽快だった。最大のニュースは、前後輪の差動制限を電子制御で行うACDを採用したことである。路面状況によって3つのモードを切り換えることができ、意のままの気持ちいい走りを満喫できた。
▶︎3代目のランエボIX MR('06年8月発売)


また、この3代目では6速MTを投入するとともに、スポーツモード付き5速ATも設定している。日本のセダンに初めてカーボン製リアスポイラーやアルミ製ルーフを採用したのは、ランエボⅧのときだ。最大トルクもついに40kgm台に乗っている。最終型のランエボIXでは、初のワゴンもリリースした。

ランエボはWRCの世界から退いた後も真摯に精進を続け、2.0ℓという排気量の枠のなかで最高のパフォーマンスと走りの速さを追求している。開発陣の高い志がクルマから伝わってくるのがランエボシリーズだ。数多くの栄光と神話に彩られたランエボSST車の最終モデルを手に入れるのは、今しかない。

*SST車とは、ツインクラッチのトランスミッション採用車のこと。MT車については、来年度以降も生産を続ける方針。
▶︎初代のランエボⅢ('95年1月発売)
▶︎今のランエボX

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