日本人の足型で作るメイド・イン・イタリー

アヘッド 靴

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一種の強迫観念というものかもしれないが、ブーツを履くときは必ず左足からというクセがぼくにはある。これから始まるライディングを、事故なく終わらせたいという願いを込めたおまじないだ。そしてバックルをひとつひとつ締めながら、緊張感を高めていく。

text:春木久史 photo:長谷川徹 [aheadアーカイブス vol.168 2016年11月号]
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日本人の足型で作るメイド・イン・イタリー

日本人の足型で作るメイド・イン・イタリー

▶︎画像左 SG-12(エスジー12)→価格:¥67,000(税別)、サイズ:26.0〜28.0cm(0.5cm刻み)、重量:1,950g(26.5cm片足)
 画像右 GP-1(ジーピーワン)→価格:¥39,000(税別)、サイズ:25.0〜28.5cm(0.5cm刻み)、カラー:4色、重量:1,070g(26.5cm片足)



左20年来愛用し、信頼を寄せているガエルネというメーカーのブーツは、履くたびに、このブーツでよかったと思える履き心地と安心感を与えてくれる。ブーツは単なる「履き物」ではない。

ライダーとモーターサイクルをつなぐインターフェイスであり、また大切な運動器を守るプロテクターでもある。一心同体と思えるブーツに出会うことは、モーターサイクルの性能よりも、時に重要だともいえる。

軍用靴を製造するために多くの靴職人が集められ、その後、登山靴やスキーブーツなどの主要な生産拠点となる北イタリアのトレビーソ地方。ガッゾーラ・エルネスト氏は、そこで靴職人としての修業を積んだ後、1962年に自らの靴メーカー「ガエルネ」を創業する。

1970年代に息子のジュリアーノのために作ったモトクロスブーツが、現在のガエルネの原点だ。頑丈で、しかも履き心地もよく、足をしっかりと保護しなければならない登山靴の製造で培われた技術と経験は、オフロード用ブーツの製造にしっかりと活かされ、ガエルネはこの分野のトップブランドに成長した。

僕がガエルネの製品に信頼を置く理由は、もちろんそれだけではない。最も重要なことは、これを日本のライダーに紹介し、供給しているディストリビューターの存在だ。

ジャペックスという商社なのだが、ただ単に商品を輸入して販売するのではなく、ガエルネの工場と連携し、日本人の平均的な足に合う専用の木型によってブーツを製造。そのことによって、ガエルネの製品が本来持つ履き心地の良さ、フィット性が100%活かされた製品ができる。

「ガエルネは履き心地がいい」と言われるが、これはたいていの場合、並行輸入品には当てはまらない。「ジャペックスのガエルネ」がいいのだ。

ソールの張替えなど修理、メンナンスを担当する専用のサービスセンターの存在も、ユーザーにとって重要だ。ブーツは高価だし、長く使用することで出てくる良さがある。修理から戻ってきたブーツの仕上がりには感動を覚えることすらある。

「靴」とは職人の仕事なのだということを改めて思う。

あまり多くないが、時々、ロードサーキットでのライディングテストの仕事をすることがある。もちろん使用するのはガエルネのロードレース用ブーツだ。

オフロードを専門にしている僕にとってサーキットはまったく「アウェイ」な空間なのだが、ガエルネを左足から履いてファスナーを上げていくうちに、不思議と安心感を得ることができる。信頼できる「モノ」と付き合うというのは、幸せなことなのだ。
▶︎TOUGH GEAR FLAT(タフギアフラット)
→価格:¥20,000(税別)、サイズ:23.5〜28.5cm(0.5cm刻み)、重量:630g(26.5cm片足)

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