私の永遠の1台 VOL.19 ユーノス ロードスター

アヘッド ユーノスロードスター

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クルマに試乗し、原稿を書き、そして時にはレースをする……。クルマ好きのなれの果てといっていい現在の職業は、まさに夢のような世界だ。時には様々な壁にぶち当たり趣味を仕事にしてしまったことを後悔することもあるが、おおむね目指した方向へと向かっている。ま、まだまだ道半ばではありますが。

text:橋本洋平 [aheadアーカイブス vol.179 2017年10月号]
Chapter
VOL.19 ユーノス ロードスター

VOL.19 ユーノス ロードスター

▶︎壊滅的だった小型2シーターオープンスポーツ市場を復活させたのが初代ロードスターだった。後に世界のメーカーもその市場に追従したことは、日本の誇りといえる存在。走りの歓びを提供するマツダのアイデンティティになったといっても過言ではないだろう。FF車ばかりの世の中に風穴を開けたFRだったこともまた、ヒットに繋がった要因である。


そこに導いたのは、そして人生を良い意味で狂わせたのは間違いなく初代ロードスターだ。学生時代、将来を考えてドライビングテクニックを学ぶにはどんなクルマを選ぶべきなのか、悩みに悩んだ。

きちんとクルマを見るためには、走りのスキルが絶対に必要だろうと中古車雑誌を見つめていた。はじめはAE86レビン・トレノやS13シルビア、そしてR32スカイラインあたりにしようかと探していたのだが、その考えはあるレースを見てガラリと変わることになったのだ。

それが本誌でも度々登場するメディア対抗ロードスター4時間耐久レースだ。自動車雑誌の編集部員やレーシングドライバーがロードスターに乗り競い合う、1年に1度のお祭り的レースだが、それを見て「これはドラテク磨きにピッタリじゃん!」と飛びついたわけだ。

手に入れたロードスターはそのレースで使われているものと同じ仕様にした。買った翌週には6点式ロールケージをブチ込み、足回りやブレーキを次々に強化。いざとなればプロとタイム比較できる環境を整えた。

いま考えてみればかなりオタク的発想なのだが、そこまでやってみてはじめて、雑誌に登場するプロたちの走りがどれだけ凄いのかを痛感した。キレイに丁寧にドライビングしなければタイムは出せない。そこが楽しく、そして自身の成長にもなった。

ロードスターが与えてくれたのはそれだけじゃない。人との繋がりが広がったこともまた財産だった。雑誌の企画に応募してプロドライバーと出会うことができたし、後にお仕事でもご一緒する一方で、ロードスター4耐でライバルとして戦えるようになったことは嬉しい。

また、サーキットや走りのステージで出会ったロードスター仲間とは、いまもなお付き合いが続いている。レースの応援に全国各地に駆けつけてくれるし、逆に仲間が結婚するとなれば、式の幹事を受けているほど。仕事もプライベートも、ロードスターが無かったらいまの状況は成立していなかっただろう。

走りもシッカリ、そしてコミユニケーションツールとしても役立つなんてクルマはなかなか存在しない。改めて振り返ってみると、ロードスターは僕にとっての〝道しるべ〟といっていい。だからこそ、いまもなお心に残る永遠の1台なのだ。

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text:橋本洋平/Yohei Hashimoto
自動車雑誌の編集部在籍中にヴィッツ、フォーミュラK、ロドスターパーティレースなど様々なレースを経験。独立後は、レースにも参戦する“走り系モータージャーナリスト”として活躍している。走り系のクルマはもちろん、エコカーからチューニングカー、タイヤまで執筆範囲は幅広い。「GAZOO Racing 86/BRZ Race」には、84回払いのローンで購入したトヨタ86 Racingで参戦中。
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