ahead × EYEMETRICS 土屋圭市

アヘッド 土屋圭市

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質問です。時速250㎞で走っていたときは見えたのに、300㎞になったら見えなくなったものは何でしょう。

text:世良耕太 photo:渕本智信 [aheadアーカイブス vol.115 2012年6月号]
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アスリートならこれしかない 信念を持つオトコが選ぶアイメトリクスのメガネ

アスリートならこれしかない 信念を持つオトコが選ぶアイメトリクスのメガネ

▶︎Keiichi Tsuchiya
1956年長野県生まれ。峠道で腕を磨き、1977年富士フレッシュマンレースでプロデビュー。以降、レーシングドライバーとして活躍する。“ドリキン”(ドリフトキング)と呼ばれ、日本のみならずアジア各国でも絶大なる人気を集める。現在は国内最高峰のS-GTでARTAのエグゼクティブアドバイザーを務める。


答えはピットサイン。

ピットサインはレース中、ホームストレートにあるピットウォールからコースに向けて掲げ出す大きな板のことで、周回ごとに記号や数字を付け替えてドライバーに示す。これを見たドライバーは、後ろからライバルが追い上げてくるだとか、燃料をセーブするためにペースを落とさなければならないだとか、次の周にピットに入るといった情報を受け取る。チームとドライバーの重要なコミュニケーションツールだ。

300㎞/hでそのピットサインの文字が読み取れなくなったのが、メガネをつくるきっかけになったと土屋圭市さんは説明する。「プロのレーシングドライバーになり、'90年頃からどんどん速いクルマに乗るようになりました。ストレートでは、1コーナーの進入に備えて正面をしっかり見て、左右にクルマがいないかどうか確認し、同時にピットサインに目をやって情報を読み取る。ところが、クルマが速くなって時速300㎞になったら、文字が読めなくなってきた。これはメガネを掛けたほうがいいなと。で、メガネをかけたら、ばっちり見えた。動体視力も上がったかも知れない」。

ピットからの指令を受け取るのは無線で十分ではないかと思いがちだが、そうではない。
「僕は無線に100%頼りません。無線が聞こえなくなるトラブルは必ず起きます。F1でも起きる。無線で聞き取れなかった内容はピットサインで確認するし、聞こえていたとしても必ずピットサインを見ます。なぜなら、『いまの無線本当かな?』という状況がよくあるからです。レース前のミーティングでは予定していたピットストップのタイミングまであと3周のはずなのに、無線で5周と言ってきた。ピットサインを見たら、あと5周と書いてあった。あ、5周で間違いないのか。そういう使い方ですね」。
エンターテインメント性にあふれた(つまり、周囲を愉快にする)普段の言動とは違った一面を印象づけるエピソードだ。その土屋さんが真剣勝負に必要なツールとして選んだのがアイメトリクスだった。「コレしかない」と言い切る。

「一度でもアイメトリクスをかけたら他のメガネはかけられない。アスリートならコレしかないでしょう」。
アイメトリクスを推す最大の理由はフィット感だ。レーシングドライバーは職業柄ヘルメットを被って勝負に挑むが、すると、必然的にめがねの腕(ツル)を顔の側面とパッドの間に押し込むことになる。

「アイメトリクスだとまったく疲れない。顔の側面も耳も。それこそいろんなバリエーションを作ってもらいました。耳当ての部分は普通カールしているのですが、ヘルメットに差し込みやすいように半分カットしてもらったり。既製品も試しましたが、顔の形に合わないせいか、すぐ疲れてしまう。その点、アイメトリクスは顔の形に合わせて設計してくれるので、フィット感が違う。どこも痛くならないし、疲れない」。

だいたい、耳に何かがあたって痛くなるとか、顔の側面に何かがあたって気になるといったことが起きていては、レースに集中できないと土屋さんは言う。

「僕は現役で26年間レースをやりました。そのキャリアを通じて、自分に合った状態でしかベストのパフォーマンスを発揮できないのはわかっている。シートにしてもステアリングにしても、ペダルの置き方にしてもそう。少しでも違和感を感じた時点で運転に集中できない。それはメガネも一緒です」。
▶︎土屋氏のEYEMETRICSは、顔の3D計測により設計される、オーダーメイドの[3D・Formレンズ]。


フィット感のほかに土屋さんが大事にしているこだわりがある。それはレースでもそうだし、ドリフトしたり街を流したりするクルマでもそうだし、公の場に出るときでもそう。靴、腕時計、シャツ、カバンなど、身につけるものすべて言えることで、それが「カッコイイ」ことが大事なのだ。機能と格好とどっちを取りますか? といじわるな質問を向けたところ、「それは格好でしょう」と、土屋さんは即答した。

がすぐに、「ただし…」と続ける。 「ダサいのは嫌いだからどうしても格好から入りがちなんだけど、実はそれで何度も失敗してきた。やっぱり格好だけでもだめなんだ。見た目に機能が備わっていると判断して、初めて自分のものにする。なぜなら、そうでないとファンを裏切ることになるから」。

土屋さんは'90年代初頭に創刊した映像媒体で得意のドライビングを披露しつづけている。その媒体には熱烈なファンがついていることを土屋さんは強く意識している。間違ったモノを選んで、ファンをがっかりさせてはいけないという気持ちを人一倍強く抱いている。

シャレではないが、そうした強い信念を持った土屋さんのお眼鏡に適ったのがアイメトリクスだった。「格好と機能の両立」。それこそが土屋さんのこだわりで、靴もシャツも身につけるならコレ、というブランドがあるそうだが、メガネも同じ。コレしかないという絶対の自信がある。自信があるからこそ、人にも勧められるのである。
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text:世良耕太/Kota Sera
F1ジャーナリスト/ライター&エディター。出版社勤務後、独立。F1やWEC(世界耐久選手権)を中心としたモータースポーツ、および量産車の技術面を中心に取材・編集・執筆活動を行う。近編著に『F1機械工学大全』『モータースポーツのテクノロジー2016-2017』(ともに三栄書房)、『図解自動車エンジンの技術』(ナツメ社)など。http://serakota.blog.so-net.ne.jp/
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