BMWはあがりのバイクなのか?
更新日:2024.09.09
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BMWが「あがりのバイク」などと言われるようになってから、ずいぶんと永い年月が経っていると思う。そもそもこの「あがりのバイク」という呼び方は、果たして褒め言葉になっているのだろうか?
text:鈴木大五郎 [aheadアーカイブス vol.150 2015年5月号]
text:鈴木大五郎 [aheadアーカイブス vol.150 2015年5月号]
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- BMW SPORTS LINE UP
BMWはあがりのバイクなのか?
生涯で最後のバイクに選ぶのが「あがりのバイク」。そしてそれがBMWである。メーカーにとってこれは非常に名誉なことであり、そういったニーズにも応えた開発を行なってきた一面もあるのかもしれないが、なんだかちょっとした寂しい気分になる。若かった頃と違い、体力も判断力も落ちていく。しかし、バイクにはもう少し乗っていたい。そんな葛藤の末での仕方ない選択が「あがりのバイク」なのか?
スクーターとか小型レジャーバイクといったものではなく、本格的なモーターサイクルにはこだわりたい。単に乗れるだけではなく、様々な安全性や快適性に結びつく最新テクノロジーも味わっていたい。
また、最後のバイクだと思って買ったにも関わらず、マシンの方が音を上げてしまったら…。そう考えると、調子を崩さない信頼性や機械としての耐久性もポイントになる。そうなるとBMWがそれらの要求に応えられる最もバランスの良いメーカーだったのだ。
そんなBMW製バイクの乗り味は、ひとことで表すならとにかくジェントル。高い剛性による安心感や4輪車の雰囲気をどこかに漂わせるマシン造りも魅力だ。
しかし、その完成度の高さがライディングのエクスタシーを奪っているという意見も聞かれていたのは事実。ライダーの技量や判断スピードの低下を補うそれらの美点がでしゃばり過ぎているような印象があった。
エンジン特性、車体作り、コンピューター…それぞれを単独で見ると、どれも素晴しい仕事をしているように感じられるし、安全面に大きく寄与していたのも間違いない。
ところが、ちょっとペースを上げてみると、バイクの動きとライダーの感覚が微妙にシンクロしていなかったのだ。他メーカーよりも一歩先を行くハイテクではあったが、人間の感性を納得させることは簡単ではないのだなと実感した記憶がある。
それでも「そんな走りをしなければ良いんじゃないの。BMWの良さを分かってないねえ…」 そういう大人のユーザーに支えられてきたのがBMWでもあるのだ。スポーツバイク好きとしてはそこに冒頭の寂しさを感じていたのかもしれない。
しかし、そんな従来のイメージを持ったまま、現代のBMWに触れると驚くことになる。安全性や質実剛健はぶれることなくそのままに、スリル感やバイクとの一体感を純粋に味わって欲しいという想いがヒシヒシと伝わってくる。
スクーターとか小型レジャーバイクといったものではなく、本格的なモーターサイクルにはこだわりたい。単に乗れるだけではなく、様々な安全性や快適性に結びつく最新テクノロジーも味わっていたい。
また、最後のバイクだと思って買ったにも関わらず、マシンの方が音を上げてしまったら…。そう考えると、調子を崩さない信頼性や機械としての耐久性もポイントになる。そうなるとBMWがそれらの要求に応えられる最もバランスの良いメーカーだったのだ。
そんなBMW製バイクの乗り味は、ひとことで表すならとにかくジェントル。高い剛性による安心感や4輪車の雰囲気をどこかに漂わせるマシン造りも魅力だ。
しかし、その完成度の高さがライディングのエクスタシーを奪っているという意見も聞かれていたのは事実。ライダーの技量や判断スピードの低下を補うそれらの美点がでしゃばり過ぎているような印象があった。
エンジン特性、車体作り、コンピューター…それぞれを単独で見ると、どれも素晴しい仕事をしているように感じられるし、安全面に大きく寄与していたのも間違いない。
ところが、ちょっとペースを上げてみると、バイクの動きとライダーの感覚が微妙にシンクロしていなかったのだ。他メーカーよりも一歩先を行くハイテクではあったが、人間の感性を納得させることは簡単ではないのだなと実感した記憶がある。
それでも「そんな走りをしなければ良いんじゃないの。BMWの良さを分かってないねえ…」 そういう大人のユーザーに支えられてきたのがBMWでもあるのだ。スポーツバイク好きとしてはそこに冒頭の寂しさを感じていたのかもしれない。
しかし、そんな従来のイメージを持ったまま、現代のBMWに触れると驚くことになる。安全性や質実剛健はぶれることなくそのままに、スリル感やバイクとの一体感を純粋に味わって欲しいという想いがヒシヒシと伝わってくる。
特に2009年にリリースされた「S1000RR」は、BMWの底力をまざまざと見せつけた。得意の電子制御技術が進み、エキサイティングさはしっかり盛り込まれているのに、全く転倒する気がしない。
しかも速いという次元が市販車最速級なのだから恐れ入る。その上、現在進行形で数年毎にアップデートされているのだから、凄いとしか言いようがない。この変貌ぶりに日本のバイクメーカーも脅威を感じているはずだ。
もちろん、そんなレーシングマシン的なモデルだけではなく、BMWの代名詞となるボクサーツインエンジンを搭載した「R1200R」やパラツインの「F800R」にも磨きが掛かっている。電子制御の進化による操作感のナチュラルさから、本格的なモーターサイクルだけが持つ魅力をより深く味わえるようになった。
さらに言えば、バイクの性質上、完全には避けて通れないリスクに備えてライダー自身のメンタルやテクニックを向上させる独自のライダートレーニング(40年近い歴史を持つ)も強化しているのだ。
BMWが「あがりのバイク」という要素を持つことは昔も今も変わらないが、単にコンサバな「あがりのバイク」ではなくなっている。キャリアのあるライダーが心から満足出来るディープでアクティブな、真の意味での「あがりのバイク」になったと言えるだろう。
しかも速いという次元が市販車最速級なのだから恐れ入る。その上、現在進行形で数年毎にアップデートされているのだから、凄いとしか言いようがない。この変貌ぶりに日本のバイクメーカーも脅威を感じているはずだ。
もちろん、そんなレーシングマシン的なモデルだけではなく、BMWの代名詞となるボクサーツインエンジンを搭載した「R1200R」やパラツインの「F800R」にも磨きが掛かっている。電子制御の進化による操作感のナチュラルさから、本格的なモーターサイクルだけが持つ魅力をより深く味わえるようになった。
さらに言えば、バイクの性質上、完全には避けて通れないリスクに備えてライダー自身のメンタルやテクニックを向上させる独自のライダートレーニング(40年近い歴史を持つ)も強化しているのだ。
BMWが「あがりのバイク」という要素を持つことは昔も今も変わらないが、単にコンサバな「あがりのバイク」ではなくなっている。キャリアのあるライダーが心から満足出来るディープでアクティブな、真の意味での「あがりのバイク」になったと言えるだろう。