話題のZC33スイフトスポーツ TEINの車高調とEDFCで走りは変化するのか?斎藤聡がインプレッション

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2018年2月現在、オーダーから納車まで半年待ちもザラになってきたZC33型スズキスイフトスポーツ。
このモデルには走りを重視するユーザーには大注目株であります。
各社から続々専用車高調がリリースされたくさんの選択肢がある中で、緑のサスペンションでお馴染みのTEINはどうでしょうか?
今回は、斎藤聡氏にその評価を委ね、TEIN製の車高調及び、EDFCの力を試してみました。
Chapter
インプレッションドライバー紹介
仕様について
いざテスト!
ワインディングで走行
まとめ

インプレッションドライバー紹介

斎藤 聡


モータージャーナリスト。車両のインプレッションはもちろん、タイヤやサスペンションについて造詣が深く、業界内でも頼りにされている存在。多数の自動車雑誌やWEBマガジンで活躍中。某メーカーのドライビングインストラクターを務めるなど、わかりやすい解説も人気のヒミツ。

仕様について

新型スイフトスポーツに装着されていたのは、TEINのスポーツ用車高調『MONO SPORT』。
これにダンパーの減衰力を室内から、手動/自動でコントロールできるEDFC ACTIVE PROを組み合わせている。
この車高調MONO SPORTはワインディングロ-ドからサーキットをターゲットに開発されたモノチューブダンパー(単筒式ダンパー)で、減衰力16段調整式。有効ストローク量とバネのプリロードを変えずに車高を調整できる全長調整式車高調である。
もう一つの特長は、ストロングチューブ正立式であること。ストラット式のスポーツサスペンションの場合、ストラット(≒ダンパー)の曲げ剛性を高めるため、取り付け方向を天地逆にした倒立式が使われることがある。ストロングチューブ正立式は、さらにストラットを外筒で覆い、もう一回ひっくり返して正立式にしているのだ。

MONO SPORTは、ピストンロッド先端で減衰力調整を行うため、倒立式だと調整ネジが下を向いてしまい減衰力調整の作業性も悪く、またEDFCモーターを取付けにくいからだ。もちろんストラット(フロントダンパー)の曲げ剛性が高くなるというメリットもある。

今回試乗したのはスイフトスポーツ。組み合わされるバネレートはフロント7キロ/リヤ4.2キロ。

いざテスト!

試乗してまず感じたのは、ゴツゴツした硬さが思いのほか少ないこと。減衰力の高いスポーツダンパーは、減衰力調整機構 にて減衰力を低くした場合、ハンドリングに影響する低速領域の減衰力がより低くなり、ハンドリングレスポンスが悪化する。これを嫌って減衰力を高めると ゴツゴツした乗り心地になりやすい。
MONO SPORTは、アドバンスM.S.V.という微低速用バルブを追加して、減衰力を低くしても微低速域で適度な減衰力を発揮し、ハンドリングレスポンスの向上を図っている。
しかも、マニュアル操作で16段調整のダンパーは、EDFC ACTIVE PROの機能によって、最大64段調整まで調整幅を細かくコントロールできる。EDFC ACTIVE PROは、車速と内蔵の3軸Gセンサーによって減衰力を自動調整可能。オートモードでは、4つのダンパーを独立制御することが可能なので、前後左右の減衰力を車速や加減速G、コーナリングGに応じて最適にコントロールできる。
そんなダンパーの性能評価をするにあたり、ノーマルよりぐっと直進性が良くなっているのに感心した。
じつはスイフトスポーツの数少ない欠点の一つが直進性なのだ。それがあっさりと良くなっている。標準車高は前-35mm/後-30mmで、わずかだが前下がりのバランスとなっている。
これは直進性を悪くする要因になりやすいのだが、MONO SPORTは減衰力の前後バランスがよく、高速道路巡航ではドシッとした安定感さえ感じた。ダンパーの基本設定がちゃんと直進性を考慮した味付けになっているのだ。
つまり、スイフトスポーツのウイークポイントを洗い出し、サスペンションの特性に合わせたチューニングが施されているということだ。そこがまず、このダンパーの良いところ。

ワインディングで走行

全体の味付けはどちらかといえば“硬め”といえる味付けなのだが、ワインディングロードをスポーツドライブしても突っ張るような硬さがない。路面のギャップや補修跡を拾っても、シュタン! と軽々受け止めてくれる。
なにより路面をガチッと捉えて離さない安定感があるのがいい。足回りを硬めるというと、跳ねるような動きを連想しがちだけれど、このサスペンションキットはすごく懐が深い。このあたりにダンパーの素性の良さがうかがえる。
それに加えて、EDFC ACTIVE PROの性能がまた凄いのだ。コーナーのアウト側はガッチリダンパーを硬め踏ん張り感を出している一方で、イン側のダンパーは減衰力を低めにして積極的にサスペンションを伸ばしタイヤの接地性を高めている。
一般的なダンパーは、左右で減衰力をコントロールできないので、減衰力を高くすればイン側のダンパーの動きは硬くなる。減衰力を高くするということは、ダンパーの動きがしぶくなるわけで、特にイン側のダンパーの路面への追従性が悪くなる。コーナリング中、イン側のタイヤがキュキュキュ…鳴くのは、減衰力の高さが原因でイン側のタイヤの接地性が悪く、アウト側のタイヤの荷重が集中してしまうからだ。

まとめ

味付け的には硬めのセッティングなのだが、MONO SPORTを装着したスイフトスポーツは、足回りを固めたことによる悪癖が見当たらず、それどころかビタッ! とタイヤが路面に貼りついているかのような接地感と安定感がある。
ダンパーの素性も確かに良いのだが、EDFC ACTIVE PROが、乗り心地、操縦性、接地性、安定性を高めているのだ。本来走行中には不可能なコントロールが、EDFC ACTIVE PROはできてしまうのだ。ストリートユースとしてはやや硬めなのだが、スポーツドライビングを楽しみたいというなら、この車高調はオススメだ。そしてEDFC ACTIVE PROの装着は必須だ。

TEIN ZC33 スイフトスポーツギャラリー

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